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2016.10.15
カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で受賞を果たした、現在公開中の映画『淵に立つ』。今日は、監督の深田晃司さんに、映画の街・カンヌでの出会い、撮影現場でのエピソードを伺いました。
「まず上映後、プレミア上映の時にやっぱりカンヌ恒例のスタンディングオーベーションというのが起きるんですね。なにしろ初めてなので、あ、これがよく日本でもよく報道されているスタンディングオベーションかと思ったんですけど、その時の感触としてはすごく熱気が強かった。終わった時の熱量が高いなと感じて。拍手も全然終わらなくて、逆にこっちは手持ち無沙汰になってきて、
どういう顔して今立っていればいいんだろうって。最初スタッフと握手して、その後まだ時間が余ったからもう一回握手するみたいな感じで。そうやって時間を潰すのに困るくらい拍手とかも続いて。でも、恒例なので。上映後にスタンディングオーベーションを受けるというのは。まあまあこんなものだと思っていたんですけど、他の作品でいち観客として観て、そのあとのスタンディングオーベーションと比較すると、『淵に立つ』のスタンディングオベーションは、かなり熱があったんだなというのは感じました。
芸術家、表現する人間というのは、崖に向かってチキンレースをしているようなものだ。つまり、少しでもいい表現をしようとすれば、それだけ人の心の闇を覗き込まなくてはいけないけど、その表現者自身が闇の中に落っこってしまっては、その表現なんてできなくなってしまうから、そのギリギリのところで踏みとどまって闇の中を覗けた者が芸術家をできるんだと。その言葉がすごく印象的で、『淵に立つ』という映画も、お客さんと一緒に崖に並んでその人の心の闇の闇を覗き込むようなそういう作品になればいいなと思ってつけたのを覚えています。」
(放送より抜粋)
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