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脱炭素社会実現へ!シンクタンクの最新調査結果に注目

今日は、脱炭素社会実現へ、
いま必要な働きかけについて掘り下げます!

お話を伺うのは、
SOMPOホールディンググループの
シンクタンク
SOMPOインスティチュート・プラスの
企画・公共政策グループの統括上席研究員
浜野 展幸さん!

政府の政策を分析、情報発信を行っていらっしゃいます。

ピックアップしてくださった記事は
「『カーボンプライシング』など
GX推進の新戦略を7月中めどに策定へ」


記事の概要
・6月末、国会で「GX推進法」成立
・GXとは…
グリーントランスフォーメーション
脱炭素社会に向けて再生可能な
クリーンエネルギーに転換していく取り組み。
・GX推進法は、企業が二酸化炭素を
できるだけ排出しないよう、
省エネルギー投資をしたり、
炭素の排出を抑えた商品開発したりするのを
国が支援すること。
そのために必要なお金を一種の国債で
集めてくること、国債を償還するために
カーボンプライシングを
導入することなどが定められた。

「カーボンプライシング」とは、
排出されるCO2に価格付けすること。
二酸化炭素を出さないように
社会全体の行動を変えていこうという政策。
・方法は2つ
①炭素税:
排出する炭素1トンあたりいくらかの
値段を決める仕組み
②排出権取引制度:
企業ごとに排出してよい二酸化炭素の量
(排出枠)を定めておいて、
排出枠を下回ったらその分を売りに出せて、
逆に排出枠を超えた企業がこの枠を買う仕組み。

Q.「GX推進法」の狙いは?
いかに二酸化炭素を出さない製品・
サービスを提供できるかという流れ。
世界的なカーボンニュートラルの競争に
乗り遅れないための政策。
・2022年の世界の脱炭素投資額は150兆円。
日本の場合、
市場での競争に勝っていくためには、
国の試算で、10年間で150兆円の投資が
必要とされている。
・しかし、年間で見ても15兆円。
脱炭素投資は巨額になるため、
民間任せでは投資が控え目になってしまう。
・そこで、国が民間に20兆円の
投資支援を行いつつ、規制も見直していく。
民間が脱炭素投資へ向かうように
国が背中を押す狙い。

Q.脱炭素への効果と
私たちの暮らしへの影響、実際どうなる?

・いち早くカーボンプライシングを導入した
ヨーロッパでは、グリーンインフレ―ション。
物価高につながっている。
一方、日本が計画する
カーボンプライシングは、
例えば、化石燃料の使用量が減ると、
その分エネルギーにかかる負担は減る。
その負担減少分の範囲で設定することになっているため、
それほど大きな影響は出ないと考えている。
逆に、水準がそれほど高くないからこそ、
その効果を疑問視する声も上がっている。
・私としては、高い価格を設定して
国民の行動を変えようというよりも、
投資の支援に必要なお金を生み出そう
としたことに意味があると考える。

Q.SOMPOインスティチュート・プラスで
脱炭素社会実現に向けた調査を行ったそう。
どんな調査?

・脱炭素に関する国民意識調査
・日本全体がグリーンな社会に移行していくためには、
国の取り組みもありつつ、国民1人1人に
脱炭素の意識が浸透していくことこそ大事。
・そこで、政府が行っている脱炭素に関わる政策を、
国民がどの程度知っているか賛同しているか、
脱炭素社会に移行するときに国民が負担する
コストをどの程度まで電気代の増加を許容するのか、
調査した。

結果は、例えば
・再生可能エネルギーの割合を
高めるべきと答えた方々に、
電気代が上がることを許容するか尋ねたところ、
約3割の方が許容できない、
「10%程度まで上がってもよい」と答えた方が約4割。
⇒移行コストはなかなか受け入れられていないという印象。
・脱炭素への認知度…
例えばカーボンニュートラルを聞いたことがある割合は
約75%。
一方、カーボンプライシング等、内容理解までは至っていない。
・興味深かった点…
20代(Z世代)は環境に関心があるイメージだったが、
アンケート結果からは、年代が上がるにつれて
脱炭素の関わる理解や、
例えば節電に協力する/省エネに気をつけるといった
行動をされている割合が高まっていくということ!

このような結果になった理由は?
・まだそこまで調査できていないが…
社会課題に関心がある若い方は、
積極的に活動し、情報発信がうまい。
結果、「若い方が関心がある・行動をしている」
という印象を我々が持った?
・一方、年代が高い方々は、社会経験が長い分、
ニュースに触れ、社会課題に関する知識を得ていて、
一般に考えられているよりも、次世代に対して
何か良いことをしたいという意識を持っている?
一方、自ら情報発信側に回ることが少ないのかもしれない。

Q.この結果を受けて、
脱炭素社会実現に向けて、
これからどんなプロモーションが有効でしょうか

・若い方に浸透しやすいような、
易しく親しみやすいプロモーションを考える。
・メディアやタレント、インフルエンサーとの
協業等も必要?
まずは「わかる」ということが大切。

・シンクタンクとしては…
消費者1人1人の意識変容の可能性を探る
値段が少しくらい上がっても、
消費者がプラスチックのストローを使わない
選択をすれば、企業はプラスチックに代わる製品を作る。
それが広がれば、価格差はなくなっていくだろう。

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