ロンドンの美術館が巨大な楽器に!? 建物全体で音を奏でる、不思議なアート展とは
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『ロンドンの美術館が巨大な楽器に!? 建物全体で音を奏でる、不思議なアート展とは』
今日はイギリスのアートメディア
「FAD Magazine」からピックアックしました。
舞台はロンドンの現代美術館、テート・モダン。
ここで今週から音をテーマにしたちょっと変わった展覧会が始まりました。
タイトルは「ホールド」。掴まる、持つ、保つ、といった意味です。
手掛けられたのがレバノン出身のアーティストで作曲家の
タレク・アトウィさんです。
今回展示が行われているのは、
かつて発電所だった建物の内部にあるタービンホールという、
美術館の中のエリアです。
天井が高くて、奥までずっと続く巨大な吹き抜け空間です。
その中に入ると、まず目に飛び込んでくるのが、
空中に吊るされた3本の大きなラッパです。
1本は、中央アジアのウズベキスタンで使われる
「カルナイ」という伝統的な金管楽器で、
すごく長いブブゼラのような、あるいは長いトランペットのようなイメージです。
その隣には3Dプリンターで作られた2本の巨大なホーンが並んでいます。
こちらの素材がユニークで、
砂糖由来の樹脂と竹の粉を組み合わせて作っているということです。
ホールの奥に進むと、今度は天井から太鼓の皮、
あとはゴング、長い管、竹など、様々なものが糸のようなもので
天井から吊り下げられています。
人が歩けるという状況で、さらに長さ20mもの布が
天井から床に向かって垂れ下がっているんです。
巨大な楽器の部品が建物の中に浮かんでいるような
不思議な光景なのですが、このオブジェたちが実際に音を鳴らすのです。
例えば、竹と一緒に組み込まれているのは、
中国や東南アジアの伝統楽器で、
日本の雅楽でも使われる細長い複数の管を束ねたような「笙」の仲間です。
この展示ではコンピューターで制御されたモーターが
空気を送り込んで楽器を鳴らす仕組みになっています。
この20mの布には電気を流す特殊な塗料が使われていて、
空気の流れで布が揺れると、
その動きがシンセサイザーの低い音に反映される仕組みになっているそうです。
美術館の中を流れる空気までがこの演奏の一部になっています。
動きによっても音が変わっていきます。
ちなみにこの布には日本との繋がりもあって、
制作に関わったのは日本のファッションブランド、イッセイ ミヤケです。
デザイナーの近藤悟史さんが、和紙とコットンを組み合わせた
特殊な布の開発に協力しておりファッションに使われる素材が
音を生み出す装置になっているとのこと。
アトウィさんはイッセイ ミヤケのコレクションの時に
音響を担当したりと、これまでもコラボレーションの経緯があり
今回の展示に至っているそうです。
伝統楽器という文脈があり、そして3Dプリンターを使ってみたり、
日本のファッションの技術が入り込んできたり、
全く分野の違うものが一つの空間に集まっている展示ですが
アトウィさんがこの展覧会で大事にしていることが
「音を体で感じる」ということ。
会場には振動を伝えるスピーカーを組み込んだ石が設置されていて、
耳だけじゃなくて体でも音を感じられるようになっています。
あとは展示の中にマイクも組み込まれていて、
楽器の音だけではなくホールの中で聞こえる
様々な人が歩くことによって生まれるざわめきみたいなものも拾い
その音をソフトウェアで加工して再び空間に流します。
だから聞こえてくる音楽っていうのはずっと同じじゃないんですね。
自分がこのアートの、この音楽の、この楽器の
一部になれるということなんです。
アトウィさんは長年にわたって、
耳が聞こえない方や聞こえにくい人たちとも共同制作をしてきたっていうところで、
音楽を耳だけではなく体全体で楽しむっていうことも
かなり意識してアートを作られているそうです。
私たちの知らないうちに作品の一部になれるというのが魅力です。
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