
2026.9.15
今日は、
今、変化が起きつつある民泊問題に注目!
東京23区で相次ぐ「民泊」の規制強化。
全国で最も多い新宿区は、すでに営業している施設も含めて
「原則禁止」という厳しい方針を固めました。
一方で、世田谷区では、「優良な業者はルールを緩和する」という
真逆の動きも出ています。
対応が真っ二つに分かれ始めた東京23区。
その背景とこれからの民泊問題について考えます。
お話を伺うのは、民泊問題に詳しい
JTB総合研究所 フェローの
山下真輝さんです!
●そもそも「民泊」とは、民泊新法に基づいて2018年からスタート。
「戸建ての住宅」や「マンションの空き部屋・空き家」などに、
旅行者を有料で泊める宿泊サービスのこと。
今、この潮目が変わってきているということでしょうか?
→2018年に始まったときは、空き家を活かそう、ホテル不足を補おうという、
わりと前向きな仕組みだったが、住宅街でもやっていいですよ、
と国が認めました。
それを今回、新宿区が住宅街と学校のまわりでは原則やめてください、
と決めたんです。
しかも、これから始める人だけじゃなく、いま営業している人も対象。
ここが全国で初めてとみられていて、大きなニュースになりました。
ただ、正確に申し上げておくと、明日から全部ダメ、という話ではなく、
新しく始めるのは禁止、すでにやっている方には2年の猶予があります。
それから、商業地域については禁止ではなくて、年間120日までならいいですよ、
という設計になっている。
つまり、新宿から民泊を全部なくすというより、住宅街からは退いてもらう、
という線の引き方。
●住宅街でのトラブル…とは、具体的にどんなものが多かったんですか?
→一番多いのは騒音、その次がゴミ。
それと、これは意外と知られていないんですが、区に多く寄せられているのが
『誤訪問』。
予約した民泊にたどり着けなくて、隣のお宅とか、別の部屋のインターホンを
鳴らしてしまう。
しかもチェックインが夜遅い方も多いので深夜や早朝に問題が起きる。
なぜ起きるかというと、家主さんが現場にいないから。
ホテルならフロントの人が案内してくれますけど、
民泊は自力でたどり着くしかないんです。
それからゴミの話。これも根が深い。
実はルール上、民泊のごみって『家庭ごみ』じゃない。
お店や会社と同じ扱いで、事業者がお金を払って、専門の業者に
頼まないといけない。
ホテルや旅館は全部そうしている。区のホームページにも、
区の通常収集は使えません、
費用は事業者の負担です、とはっきり書いてある。
ところが民泊は、家主さんが住んでいないことが多いので、
旅行者の方がそのまま近所のごみ集積所に出してしまう。
缶やペットボトルもたくさん出ますし、
分別のルールも収集日も分かりませんから。
●一方で、世田谷区では、「優良な業者はルールを緩和する」という
真逆の動きが出ているようですが、これはどういうことなのでしょう?
→世田谷区は、全く逆の素案を出して、
きょうからパブリックコメントが始まりました。
その素案は、「家主さんが住んでいて、きちんと運営している事業者については、
営業できる日数を増やす」というもの。
実は、データでも、家主さんが住んでいるタイプは、苦情が3分の1しかない。
当たり前ですよね、深夜に騒いだらその場で注意できるし、ゴミの出し方も
その場で教えられる。
しかもその方たちは、自宅ですから、引っ越すこともできない。
板橋区や杉並区は、家主さんが住んでいるタイプを規制から外しています。
●訪日外国人が増え続ける中、今後の民泊問題の対応、
山下さん的には、どう進めていくべきだと思いますか?
→日本はこれまで、日本に外国人観光客が『何人来たか』を追いかけてきました。
6,000万人という目標も掲げています。でも、世界はもうそこを見ていない。
いくつか例を挙げますと、まずバルセロナ。
2028年までに、市内の民泊を全部なくすと決めました。およそ1万件です。
観光が嫌いだからじゃない。家賃が10年で68%上がって、
住民が住めなくなったから。
ニューヨークも面白くて、規制で民泊の掲載を9割減らしました。
ところが、家賃もホテル代も下がらなかった。
ここは正直に言っておきたいところで、規制は「住環境」は守れるけれど、
「値段の問題」までは解決しない。
そしてつい先日、EUが法案を出しました。
住宅が足りていない地域では、民泊を規制していいですよ、と。
背景として、この10年でヨーロッパの住宅価格が6割、家賃が2割上がっている。
ただしその法案でも、自宅の一部を貸している個人の家主さんは対象外にしている。
こうして見ていくと、世界では『住民ファースト』がもう当たり前なんです。
住民がいなくなった街に、旅行者がわざわざ行きたいと思うか、という話。
実は日本も、今年3月に決まった国の観光計画で、一番目の柱に
『住民の生活の質との両立』が入りました。方向はもう示されているんです。
ですから今回の新宿区の話は、民泊だけの問題じゃなくて、日本の観光が
『数を追う時代』から『共存の条件を決める時代』に入った、
その第一歩だと思っています。
もう一度聴きたい! という方は
こちらから