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待ちに待ったローマの地下鉄の駅が大注目

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待ちに待ったローマの地下鉄の駅が大注目

今回は、イタリア・ローマから届いた、
歴史と現代技術が融合したニュースをご紹介。

■ コロッセオの真横に地下鉄駅がオープン
2000年以上の歴史を持つ「永遠の都」ローマ。
この街で長年にわたり建設が続いていた地下鉄の新しい駅が、
ついに市民にお披露目されました。
その場所はなんと、あの「コロッセオ」の真横。「コロッセオ駅」です。

実はこの路線、計画からオープンまで実に
20年以上の歳月がかかっています。
ローマでの地下鉄建設がこれほどまでに難航した理由、
それは「掘れば必ず遺跡が出てくるから」という、
ローマならではの事情によるものでした。

■ 駅そのものが「博物館」に
今回の工事現場でも、紀元1世紀(およそ2000年前)の住宅跡や浴場、
石造りの井戸、陶器、そして生活道具など、
数え切れないほどの考古学的遺物が発見されました。

通常であれば、発見された遺跡は博物館へ運ばれて展示されます。
しかし、このコロッセオ駅が画期的なのは、
「発掘された遺跡そのものを、駅の中で展示している」という点です。

改札を抜け、エスカレーターで地下へと降りていくと、
ガラスケースの中に2000年前の陶器や石造りの遺跡が現れます。
さらに、スクリーンには発掘作業の様子も映し出されており、
利用者は駅を利用するプロセスそのもので、
ローマの歴史を体感できる仕組みになっています。
まさに、駅そのものが博物館になったと言えるでしょう。

■ 古代の兵舎跡も発見
同日にオープンしたもう一つの駅、「ポルタ・メトロニア駅」
でも驚くべき発見がありました。
こちらでは2世紀初頭に建てられた「軍の兵舎跡」が出土しています。
興味深いのはその構造です。部屋の出入り口が、
向かいの部屋と正面で向き合わないように設計されています。
これは、兵士たちが緊急時に一斉に部屋を飛び出した際、
通路でぶつからないようにするための工夫だったそうです。
当時の皇帝の護衛や都市警備を担う精鋭部隊の
宿舎だった可能性が高いと言われています。

■ 「歴史と交渉しながら、未来を掘り出す」
地下鉄C線全体の総工費は、日本円でおよそ1兆円を超える見込みです。
全31駅が予定されていますが、
現時点で開業しているのはまだ4分の3ほど。
全線開通は2035年と予想されており、まだ10年以上の歳月を要します。
膨大な時間と費用がかかるプロジェクトですが、
ローマ市と建築チームは「壊さずに未来を作る」という
姿勢を貫いています。
地下水を凍らせて地盤を安定させたり、
特殊なコンクリート構造で遺跡を守りながら掘り進めたりと、
最先端の技術が駆使されています。

ローマで語られている言葉が印象的です。
「ローマでは地下鉄を作っているのではない。
歴史と交渉しながら、未来を掘り出しているのだ」

完成すれば1日あたり最大80万人の輸送が可能になり、
観光客にとっても、ローマ市民にとっても大きな助けとなるこの地下鉄。
次のご旅行でローマを訪れる際は、移動手段としてだけでなく、
歴史を巡るスポットとして
この新しい駅を利用してみてはいかがしでしょうか。

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