
2025.12.3
きょうは、Suicaのペンギンが
2026年度末で卒業というニュースを受け
企業のキャラクタービジネスに注目します!
お話を伺ったのは「キャラクター大国ニッポン」など、
たくさんの著書も書かれています、エンタメ社会学者の中山淳雄さん。
JR東日本のICカード「Suica」の顔として
25年にわたり愛されてきた「Suicaのペンギン」が、
2026年度末をもって
メインキャラクターを卒業するというニュースが話題となっています。
なぜ絶大な人気を誇るキャラクターが卒業するのか?
そして日本企業におけるキャラクタービジネスの現状とは?
■ なぜ「Suicaのペンギン」はこれほど愛されたのか?
Suicaのペンギンが登場した2000年代初頭は、
サンリオキャラクターの全盛期でありつつ、「たれぱんだ」や
「アフロ犬」といった
癒やし系・脱力系のキャラクターブームが起きていた時代でした。
中山さんは、Suicaのペンギンがここまで定着した理由について、
「露出の圧倒的な多さ」を挙げます。
毎日の通勤・通学で目にするICカードや駅構内のポスターなど、
生活動線の中に自然と入り込んでいたことが、
深い愛着を生んだと言えます。
また、企業がゼロから作った宣伝用キャラではなく、
さかざき ちはるさんの絵本『ペンギンゴコロ』という
原作が存在したことも大きな要因です。
背景にしっかりとした物語があったからこそ、
単なるアイコンを超えた存在になり得たのです。
■卒業の背景にある「大人の事情」
これほど愛されているキャラクターがなぜ卒業するのか。
中山さんは「キャラクタービジネスにおけるコストと鮮度の問題」を
指摘します。
人気が出れば出るほど、様々なグッズや広告展開が必要になりますが、
原作があるキャラクターの場合、
ライセンス契約の更新や使用料のバランスを定期的に
見直す必要があります。
また、Suicaというサービス自体がカードからモバイル、
クラウドへと進化する中で、25年という節目に
ブランドイメージを刷新する経営判断があったとも推測されます。
■ 日本独自の「八百万の神」的キャラ文化
日本は世界でも稀に見る「キャラクター大国」です。
中山さんは、日本人の精神性として
「小さなものや無機質なものに魂を見出す」
文化が根付いていると語ります。
無機質なICカードにペンギンのキャラクターを添えることで、
そこに温かみや愛着が生まれ、ただの決済ツール以上の存在になる。
これは日本特有の現象であり、海外、
特に中国などの企業も近年注目し始めている手法です。
■AI時代のキャラクター戦略とは?
現在、生成AIを使えば誰でも簡単にキャラクターを
作れる時代になりました。
しかし、中山さんは「簡単に作れるからこそ、生き残るのは難しい」と
警鐘を鳴らします。
かつての「ゆるキャラブーム」で大量のキャラクターが生まれ、
その多くが消えていったように、
単に見た目が可愛いだけでは定着しません。
重要なのは、そのキャラクターが背負う「ストーリー」と、
それをどう育てていくかという「運用戦略」です。
AIで量産されるキャラクターの中で、人々の心に残るのは、
やはり作り手の想いや物語が込められたもの。
Suicaのペンギンが残した功績は、
これからのキャラクタービジネスにおいても
大きなヒントになりそうです。
もう一度聴きたい! という方は
こちらから