DAIWA HOUSE Secret Notes

2017/10/23

超絶ヴァイオリニスト、パガニーニの物語-1-

謎の天才ヴァイオリニストと言われるパガニーニ。
年齢も生い立ちもわからない、というのならともかく、
彼の生まれは1782年、イタリアのジェノヴァ。
父親は音楽好きの貿易商でした。

では、なぜ「謎の人」のように言われるのでしょうか?
それは、彼の腕前と佇まいが、
あまりにも人間離れしていたからなんですね。

悪魔に魂を売って手に入れたといわれる超テクぶり。
伸びっぱなしの長髪に鋭い目。
病弱のため恐ろしく痩せていて、顔色も悪い。
さらに、師匠も弟子もほとんどいない、
突然変異のような存在でした。

パガニーニが父親から
ヴァイオリンの手ほどきを受け始めたのは7歳の時。
夢中になったパガニーニは、
寝ても起きてもヴァイオリンを手放さないほどで、
その上達ぶりは、まさに神がかりでした。

父親は、当時の名ヴァイオリニスト、
アレッサンドロ・ローラに息子を預けますが、
ローラが教えたのはわずか半年。
13歳のパガニーニには、
もはや誰からも学ぶことは無くなっていたそうです。

やがて、ヨーロッパ中を演奏旅行するようになったパガニーニ。
とどろき渡る名声を受けて、当時の音楽家たちは、
こぞって彼の演奏を聴きに行き、ショックを受けます。

派手なパフォーマンスを好むリストは、
「僕はピアノのパガニーニになる!」と言って腕に磨きをかけました。
見世物的な演奏を嫌ったはずのショパンまでも、
彼の演奏に感激して、「パガニーニの思い出」という曲を書いています。

みんな毒気に当てられていたのですね。
やっぱりパガニーニは悪魔だったのかも。

西村由紀江 (ピアニスト/作曲家)

幼少より音楽の才能を認められ、ヨーロッパ、アメリカ、東南アジ ア諸国への演奏旅行に参加し、絶賛を博す。
桐朋学園大学ピアノ科に入学と同時にデビュー。
年間60本を超えるコンサートで、全国各地を訪れる傍ら、ライフワークとして「学校コンサート」や「病院コンサート」も行っている。

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