DAIWA HOUSE Secret Notes

2019/02/14

愛する人に贈られた名曲-3-

「愛する人に自作曲のプレゼント」
これを一番実践していた人、といえばベートーヴェン。
常に恋をしていた彼は、多くの女性に
たくさんの作品をプレゼントしていました。
ピアノ・ソナタ第14番「月光」も、
彼がピアノのレッスンをしていた
ジュリエッタ・グイッチャルディという
伯爵令嬢に捧げられました。

「月光の曲」とか「ムーンライト・ソナタ」という愛称で、
今も人気の高い曲ですが、
彼自身が付けたタイトルではありません。
「スイスのルツェルン湖を映す月光の波に揺らぐ小舟のようだ」。
ベートーヴェンの死後、ドイツの詩人レルシュタープが
そう語ったことでイメージ付けされ、
さらに人気と知名度が上がったのです。

ベートーヴェンは、作品の大部分を、
貴族や後援者など世話になった人たち、
あるいはピアノのレッスンをしている、
お気に入りの令嬢たちに献呈していました。

キラー・コンテンツである自作を
「公私」にわたってうまく使いこなしていたのです。
おしゃれでもないし、気難しく、見栄えも決して
いいとはいえないベートーヴェンではありましたが、
当時ウィーンでは新進気鋭の音楽家。
彼からの曲のプレゼントは、誰もが嬉しかったはず。

それでも、立ちはだかった身分の壁は高く、
ベートーヴェンは結婚できませんでした。
「月光の曲」を贈られたジュリエッタも、
この時まだ17歳で、ベートーヴェンよりも14歳も年下。
彼女の両親が許すはずはありませんでした。

こんな手紙も残っています。
「結婚が幸せを与えてくれるかもしれないと考えたのは、
これが初めてだ。
ただ、残念ながら、身分が違うので、結婚はできないだろう」
その予感通り、ジュリエッタはその2年後、
ある伯爵に嫁ぎ、イタリアへ行ってしまいました・・・

西村由紀江 (ピアニスト/作曲家)

幼少より音楽の才能を認められ、ヨーロッパ、アメリカ、東南アジ ア諸国への演奏旅行に参加し、絶賛を博す。
桐朋学園大学ピアノ科に入学と同時にデビュー。
年間60本を超えるコンサートで、全国各地を訪れる傍ら、ライフワークとして「学校コンサート」や「病院コンサート」も行っている。

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