
今日取り上げるのは、19世紀後半に活躍した、ドイツの作曲家兼ピアニスト、グスタフ・ランゲの「花の歌」。
ピアノ小品集のCDでよく耳にする、親しみやすい名曲です。
ピアノを習っている方なら、発表会で弾かれたことがあるかもしれません。
「花の歌」だけが特別に有名になっていて、作曲者のランゲは、現在では一発屋のような存在になっています。
でも、実際は59年の生涯で、500曲近い作品を残しており、探してみると、「小さなさすらい人」「荒野のばら」「アルプスの山小屋」など、隠れたいい曲もたくさん発見できます。
19世紀の後半、前衛的な新しいスタイルの音楽が生まれつつあった時代。
一方で、音楽は市民の間に普及し、趣味としてピアノを学ぶ人も格段に増えました。
そんな人たちに愛されたのが、「人形の夢と目覚め」のテオドール・エステンや、「乙女の祈り」のバダジェフスカといった、サロン風な、弾きやすい小品を書く作曲家たち。
「花の歌」のランゲも、同じ時代の人でした。
幼少より音楽の才能を認められ、ヨーロッパ、アメリカ、東南アジ ア諸国への演奏旅行に参加し、絶賛を博す。
桐朋学園大学ピアノ科に入学と同時にデビュー。
年間60本を超えるコンサートで、全国各地を訪れる傍ら、ライフワークとして「学校コンサート」や「病院コンサート」も行っている。