DAIWA HOUSE Secret Notes

2017/02/08

あたたかい子守歌の世界-3-

日本でも明治・大正の時代から歌われてきた「ジョスランの子守歌」.
作曲したのは19世紀後半に活躍したフランスの作曲家バンジャマン・ゴダール。
彼はオペラをはじめ、たくさんの曲を残しましたが、
現在では、こほとんど耳にすることはありません。
その貴重な1曲です。「ジョスランの子守歌」。

ラマルティーヌ作詞、ゴダール作曲 「ジョスランの子守歌」。
この日本語歌詞を書いたのは、明治時代の訳詩家・近藤朔風。
「野ばら」「ローレライ」などの日本語訳詞で知られる人で、
西洋の歌曲の普及に大きな功績を残しました。
ただ、文語体ですので、現代人には難しいですよね。
「神が導いてくれた、この安らぎの場所に身を隠して、不安な夜を2人で休もう。
可愛い子よ、眠れ。マリア様、私たちを見守って下さい」
そんな内容の歌です。

もともとは1888年に初演されたゴダールのオペラ「ジョスラン」の
第2幕に登場するアリアで、主人公ジョスランによるテノールの歌。
もの悲しさと安らぎが醸し出すノスタルジックな雰囲気は、
確かに日本人の心に響きます。

ちなみに、映画監督の大林宣彦さんは、この曲に思い入れがあるようです。
「あの夏の日〜とんでろ、じいちゃん」そして「転校生 さよならあなた」。
この2作品で使っています。思い出せた方、いますか?

西村由紀江 (ピアニスト/作曲家)

幼少より音楽の才能を認められ、ヨーロッパ、アメリカ、東南アジ ア諸国への演奏旅行に参加し、絶賛を博す。
桐朋学園大学ピアノ科に入学と同時にデビュー。
年間60本を超えるコンサートで、全国各地を訪れる傍ら、ライフワークとして「学校コンサート」や「病院コンサート」も行っている。

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