建築 × 写真　ここのみに在る光

東京都写真美術館で開催中の建築写真をテーマにした展覧会「建築 × 写真　ここのみに在る光」は、写真創世記に世界中で広まった、「ダゲレオタイプ」という銀板写真に写る建物の写真や、世界初の写真集に載っていた建築写真など、歴史的な側面から建築写真を見ていく第１章に始まり、１１人の写真家が建築をテーマに撮影した写真作品を展示する「建築写真の多様性」に注目した第２章へと続きます。東京都写真美術館の初代館長でもあった渡辺義雄さんが捉えた「伊勢神宮」の写真や、建築写真の第一人者とも言われている二川幸夫さんが日本の古い民家を撮影した作品、そして今回の展覧会開催のきっかけのひとつにもなったという村井修さんの作品、さらに、今回の展覧会のために撮り下ろされた瀧本幹也さんの「ル・コルビュジエ」をテーマにした作品など、所蔵作品を中心に164点の建築写真が展示されています。

また、人々の暮らしがあった時代に撮られた「軍艦島」や、今はもう取り壊されてしまった香港のスラム街的な建物「九龍城砦」など、現在はもう見ることのできない建物や空間をドキュメンタリー的な目線でも見ることができます。

建物の造形的な美しさと、それを撮影したそれぞれの写真家たちが、建築写真を通して何を見せたかったのかを作品を通して感じると共に、建築と写真が共に歩んできた変遷をたどるような展覧会となっています。