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時代の気になるキーワードを解説

「民話になった日本の神話」

おそらく日本の皆さんが親しんでいる浦島太郎の話とか花咲爺の話、
それからかぐや姫なんかもそうだと思うんですが、いわゆる神話が民話化してそれがまた
日本の場合は文字がありましたので御伽草子とか中世の文学に書かれ、
それが近世で物語化して一部講談本になったりとか、劇で演じられたりとかして、
明治時代になりますとやはり道徳の教科書で浦島太郎の話なんかは素材になりますので、
そういう形で私たちが今知ってる民話というのが、神話が起源なんだけど
だいぶ形が変わって伝わってるという事もたくさんあります。浦島太郎は一番古いのは風土記の逸文で、
逸文とはそれに入らなかった文書があるんですが、丹後の国、今の京都府の北の方ですね。
丹後の国風土記逸文に原型的物語があります。それはあの浦島太郎ではなくて
裏の島子という豪族の息子が釣りに出て五色の亀を釣り上げるとそれが美しい女の人に変わってですね、
彼女の誘いに応じて海の世界へ行くと。そこでしばらく楽しい思いをしているんですけども
故郷に帰りたくなって帰りたいって言ったら、じゃあ悲しいけれどもこれを持ってくださいと、
玉くしげと言うのですが、いやゆる玉手箱ですね、それを与えられると。でも開けてはいけないと。
でも最後に裏の島子は地上に戻ってから寂しくなって開けてしまうと老人になってしまって死んでしまったのかな、
そういう話の原型です。亀がいじめられたのを助けるとかいう話ではないんですよ、
だいぶ変わって、我々が知ってる浦島太郎の話は日本書紀万葉集に入ってそれから
中世の御伽草子に入って、近世でも物語が変わって最終的に明治時代の道徳の教科書に入ってくるんですね。
つまり動物をいじめちゃいけないよとか約束を破っちゃいけないよみたいな道徳本です。
江戸時代に儒教の思想がかなり入ってきてそういう教訓物として出来上がったのを我々が知ってるんですね。
原型とはかなり違う、そういうものはたくさんあります。

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