KODANSHA CASE FILE

時代の気になるキーワードを解説

「戦争を伝える側が気を付けること」

伝える側がいくら熱心であったとしても受け手のメンタリティーを少し考慮しないと、やはり戦争は本質的には残酷なんですよね、見たくない場面もたくさんあります。だけどそれをあまりにもストレートに出してしまうことで、こんなのいいよと、戦争のこととかその話はもう結構ですっていう反応になってしまったら元も子もない訳ですね。戦争について考えてもらおうと思ってやってるのに逆にもう考えたくないってなってしまったら私たちの説明は失敗した事になるわけです。そういう点では今の若い子達は感性が非常に鋭いですから、あんまりストレートに持っていかないでややソフトにもっていくというやり方ですね。ですから展示なんかでもあんまり残虐な写真みたいなものをストレートに前面に出すのじゃなくて、少し間接的にそれを示すようにしています。例えば人体実験の資料とかそういうのは証言でまとめて、よく見ると内容が分かるようにしていてですね、色使いも少し親しみやすい色使い、パステルカラーにするとかですね、ソフトの形にしてます。そうしないと一生懸命にやればやるほど何か拒絶反応が強くなってしまったのでは意味ありませんからね。戦争って過去の歴史を見るとなんか知らないうちにじわじわ近寄ってくるんですよね。突然大戦争が始まるわけじゃなくて何か少しずつ少しずつそういう非日常的なものが強まっていって気がついたら戦争になってるみたいなんですね。気がついたら普通だったらやらないようなことまでやってしまってるっていうそんな世界だと思うんです。そういう意味では歴史を振り返る事でちょっと流れがおかしいんじゃないかとか、過去を見ることで現代や未来をちょっと考えるきっかけになるといいなと思うんですよね。過去をみるってのは過去の知識を知るって事だけではなくて、それをきっかけに現在とか未来を見ていく、何かステップにできることだとおもうんです、それだけ貴重な経験を私たちの先輩たちはしてきてるわけですからそれを活かすっていう事は大事なことじゃないかなと思うんですね。(お話:明治大学文学部教授/平和教育登戸研究所資料館館長/山田朗さん)

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