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時代の気になるキーワードを解説

「最新の暗号技術について」(プロファイラー:東北学院大学 電気情報工学科 教授 神永正博さん)

公開鍵暗号というのはですね、普通私たちは暗号と聞いたときにイメージするものは
部屋の鍵みたいなものだと思うんですけど、
部屋を開けるのも閉めるのも同じ鍵ですよね、
それを異なるようにすることができるのがこの公開鍵暗号というものです。
だから誰でも閉めることができる、閉めるための鍵は公開されていて、
開けるための鍵は自分しか持っていないというような暗号を作ることができます。
その中の代表的なものとしてRSA暗号というのがいろんなところで
有名になってきてますけど、
これは、掛け算は優しいんですけど因数分解が難しいよと、
1方向性と言うんですけどそういう性質を使っている暗号で、
これは今でも使われてますが、これはだいぶ前から発明をされていたんですけど、
ビットコインとかプレイステーションとかなどに
使われているのが楕円曲線暗号と言うもので、
こちらはRSA暗号とはちょっと違うもので非常に高速に処理もできて
今ではスタンダードとして君臨しています。
私の研究は割と解読がメインなので暗号を解くんですね、
だから今ある暗号をどういう状況でやったら解けるかといったことを
いっぱい研究しているわけですけど、
大体それをこういう使い方をしないでおこうとか、
こういう危ない数字を使わないでおくようにしましょうとか、
そういうことがだんだんわかってくるわけですね。
アタックの研究すると分かってきます。
それで実際に使える暗号はそういう穴が埋まっているので安全性が高まり、
そういう形で暗号も強くなっているということになります。
研究の目的というのは先回りすることにあって、
基本的にはアタッカーがそれを見つける前にここが危ないというのを見つけて
それをふさいでいくのが私たちの仕事ですね。
例えば先日WPA2通信というWi-Fiの暗号化に使われているプロトコル、
プロトコルというのはやりとりの仕方なんですけど、
それをマッシブという研究者に穴を見つけられたんですよね、
彼は事前に発表する前にマイクロソフトとかAppleとか、
いろいろな各社にそれを知らせておいて、あらかじめそれを塞ぐようにしていって、
それから発表しているんですね。
もしも発表しないで自分だけで使う気になればもちろん使えるんですけど、
それはもはや研究ではないし悪い事しているわけですから、
罰せられることだと思いますから、先回りして事前に塞いでおく事は大事な研究です。

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