大阪府羽曳野市でムートンアイテムを手がける有限会社クラフトワークス。代表の山本喜昭さんは、30歳だった1998年に独立して以来、ムートン一筋でものづくりを続けてきました。
長く扱ってきた山本さんが語るムートンの魅力は、まず「一度使うと忘れられないこと」だそうです。見た目にはあたたかそうで、夏は少し暑そうに感じるかもしれません。ところが実際は、そこがムートンのおもしろいところ。天然素材のウールには湿気を吸って外へ逃がす性質があり、長時間座っていても蒸れにくいのだとか。特にその違いがよくわかるのが、座り心地です。ムートンにはしっかりとしたクッション性があり、普通の椅子に座るのとは感覚がかなり違うそうです。山本さん自身も、その心地よさに魅了され、ずっとムートン専門で仕事を続けてきたといいます。
クラフトワークスでは、定番のクッションはもちろん、少しユニークなアイテムづくりにも取り組んでいます。その代表格が、ムートンのぬいぐるみです。きっかけは、ベビーベッドのそばに置かれたぬいぐるみでした。何気なく目にしたその光景から、「これをムートンで作れないだろうか」とひらめいたのが始まりだったそうです。一般的なぬいぐるみは布地で作られることが多いですが、ムートンは毛皮です。だからこそ、触れた瞬間の感触がまったく違います。ふわふわとしてやわらかく、思わず何度も触れたくなるような心地よさがあります。
とはいえ、制作は決して簡単ではありません。これまでクッションのような平面的なものを多く作ってきた山本さんにとって、ぬいぐるみのような立体物はまったく別の難しさがあったそうです。型紙づくりひとつをとっても、目の位置がわずか1ミリ違うだけで表情が変わってしまいます。「もう少し横にずらそうか」と細かな調整を重ねながら、一体ずつ丁寧に仕上げていくのだといいます。
現在はクマだけでなく、ゾウ、ドラゴン、カメ、サメなど、さまざまなモチーフが生まれています。贈り物として選ばれることも多く、特別感のあるギフトとして人気を集めているそうです。
もちろん、クラフトワークスではクッションも変わらず人気商品です。さらに車のシートカバーやフロアマットなどのオーダーメイドにも対応していて、「車にムートンを使いたい」という相談が寄せられることもあるのだとか。日常のさまざまな場面で、ムートンの心地よさを取り入れたいと考える人が増えていることがうかがえます。
そして、山本さんのものづくりには、もうひとつ大切な視点があります。それが、端材を活かすという考え方です。
もともとクッションを作る過程では、どうしても小さな端材が出ます。以前は捨ててしまうことも多かったそうですが、「もっと活かせないか」と考え続ける中で、ぬいぐるみのアイデアにつながりました。小さなものでは5センチ×2.5センチほどの細かなパーツを型取りし、それらを何枚もつなぎ合わせて一枚のプレートにします。そこからさらにぬいぐるみの形を切り出して、ひとつひとつのパーツにしていくのです。手間はかかりますが、その分、同じものはひとつとしてありません。使う端材は色合いも毛並みも少しずつ異なります。そのため、完成したぬいぐるみはすべて表情が違い、それぞれが自然と一点ものになります。
ムートンの魅力を知り尽くした職人の感覚と、素材をできるだけ無駄にしない工夫。その両方が合わさって、クラフトワークスのアイテムは生まれています。
