今回は、東京・元麻布でケアリングフードを提供するレストラン『エピキュール』のオーナーシェフ、藤春幸治さんにお話を伺います。
藤春さんが手がけるのは、アレルギーや闘病中、減塩やヴィーガン、妊娠中など、さまざまな食事制限を抱える人のための“ケアリングフード”。店では小麦と乳製品を基本的に使わず、食材そのものにも強いこだわりを持っています。
今年で11年目となる『エピキュール』ですが、創業当初は藤春さんの理念がなかなか伝わらず、苦戦の連続だったそうです。「困っている人にどう届くかがわからなかった」と振り返ります。それでも少しずつ存在が広がり、「あってよかった」「やめないでね」という声が増えていく中で、自分の原点を思い返す瞬間があったといいます。
ある時、「夢は諦めることもあるから、使命だと思った方がいいよ」と言われたことがあったそうです。「人のためならどこまでもやる人間なんだから」と。その言葉が胸に残り、藤春さんは今、自分の料理を“使命”だと感じているのだとか。だからこそ、迷っても揺らいでも“続ける理由”が自然と見えてくるのでしょう。
そんな『エピキュール』には、今年もさまざまなお客さんが訪れたそうです。特に多いのは、妊婦さんやマタニティ期の方々。アレルギーに加えて、減塩が必要だったり、カフェインNGだったり、生ものを避けたいなど、複合的な制限を抱えるケースが増えています。お肉なら産地や飼料、魚なら水銀量まで気にされる方も多く、対応できる店が少ないことから『エピキュール』に辿りつくそうです。
面白いのは、予約の95%以上が“本人ではない”という点。妊婦さんの家族や友人、パートナーが「喜んでほしい」と予約することが多いのだとか。そのため、本人の好き嫌いが曖昧なまま進むこともあり、当日は柔軟にメニューを変えながらコースを仕上げていくそうです。「ほぼメニューがない」というのも、『エピキュール』らしさです。
さらに藤春さんが開発し特許を取得した、豆乳から作る植物性バター“FUJIHARU BUTTER”も店で味わえます。群馬・邑楽町の直営所『FUJIHARU BUTTER -ŌRA-』でも販売されていて、こちらも人気。
そして毎年大きな反響を呼ぶのが、『エピキュール』の御節。2026年版も多彩なラインナップです。スタンダード、糖質制限向け、マタニティ向け、減塩、アレルギー対応、ヴィーガン対応と、とにかく幅広い。中には「三段のうち一段は自分用のアレルギー対応、残りは家族のスタンダード」なんて注文も。藤春さんは「断れないんですよ、もう受けちゃう」と仰っています。なぜそこまでやるのか——。理由はただ一つ。「食で悩む人を一人でも笑顔にしたいから」。その理念を思えば、“大変だからやめる”という選択肢はないのだといいます。
藤原さんは毎年『ALL GOOD FRIDAY』の取材を受けていただいた後に、リスナーさんから問い合わせがあり合羽橋まで御節の箱を注文しに行っていただいていましたが、なんと今年は御節の箱が本当に残りわずかということで、藤春さんはすでに合羽橋へ在庫確認に。場合によっては、例年より少し大きめサイズになる可能性もあるそうで、なんだかお得なサプライズです。
注文は『エピキュール』への電話、またはホームページから。「『ALL GOOD FRIDAY』を聴きました。おせちまだいけますよね?」が合言葉です。
