今回は、今年の2月に講談社から『時間が足りない私たちの新定番「私、天才かも!」レシピ』という著書を発売されている、料理家で管理栄養士の長谷川あかりさんに、作れたら「私、天才かも!?」と思えるレシピを伺います。
料理本としてユニークなタイトル。長谷川さんは、料理は自分の手で時間をかけて作ったものが、一瞬で食べられて消えてしまう行為だからこそ、自分の手で“おいしい”を生み出せたという実感は、大きな自信につながると感じているそうです。毎日作るのが面倒だと感じる日もありますが、それでも一品でも、“私って、けっこうすごいかも”と思えるような体験が、日々を少しずつ明るくしてくれるのではないか、「レシピ通りに一度作ってみれば、それを作り上げたあなた自身が、すでに料理の天才。」そういう思いを伝えたかったそうです。
毎日の料理に真剣に向き合っている方こそ、「こうしなきゃ」と頑張りすぎてしまうことが多いとSNSを通じて感じているそうで、だからこそこの本では、いつもの材料でちょっと新鮮な味が楽しめたり、「これで良かったんだ」と思えるようなレシピが詰め込まれています。夜遅くても作りたくなるごはんや、気楽に作れるお弁当など、日々の体調や気分に寄り添ったテーマもたくさん。連載を通じて、日々の食に関する悩みに丁寧に向き合ってきたものを一冊にまとめまています。料理にまじめに取り組む方の心が少し軽くなって、「私って料理の天才かも」と思えるきっかけになればうれしいと、長谷川さんは仰っていました。
気温の変化で体調を崩しやすいこの時にぴったりのメニュー「鶏手羽中のレモンバター煮込み」のレシピを紹介してくれました。手羽中はどうしても味付けがワンパターンになりがちですが、この「手羽中のレモンバター煮込み」は一味違います。片栗粉をまぶしてこんがり焼き、水・レモン汁・塩で煮込み、最後に少量の醤油とバターを加えるだけ。アスパラガスをたっぷり入れて、ふたをせずに煮詰めることで、手羽の旨みと爽やかな酸味が凝縮されます。調味料は全部で9つほど、コンソメや出汁いらずのシンプルな構成で、食べ疲れしない軽やかさ。塩味ベースにバターと醤油のコクが加わった、使い勝手の良い一品です。
もうひとつのおすすめレシピは、夏野菜をたっぷり使った「トマトレモン煮込み」。レモン汁とカレー粉、塩だけのシンプルな味付けながら、トマトやオクラ、インゲン、玉ねぎ、セロリなどの野菜の旨みが詰まった、爽やかで滋味深い一品です。鶏肉には小麦粉をまぶして焼き、香ばしさととろみをプラス。さらに「とろみの素」として、小麦粉とオリーブオイルを混ぜたものを仕上げに加えることで、やさしいとろみが加わります。具材を炒めてから水とレモン汁を加えて20分煮込み、仕上げにカレー粉で香りを添えるだけで完成。手間は少しかかりますが、その分、特別感があり、おもてなしにもぴったりな一皿です。夏にぴったりの、軽やかで食欲をそそる煮込み料理です。
