TOKYO TATEMONO
MUSIC OF THE SPHERES
ピアニスト、角野隼斗が音楽を通した様々な”出会い”を語る20分
1月25日の放送では、
ついにリリースされたニューアルバム「CHOPIN ORBIT」の
アルバム制作エピソードを収録曲とともに語りました。
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ここ数週間、オーストリア、スイス、ドイツ、イタリアなど、ヨーロッパ各地を回っていましたが、
日本に帰国し、現在は自宅のスタジオから録音しています。
さて今日は、僕・角野隼斗のニューアルバム『CHOPIN ORBIT』がリリースされたばかりということで、
アルバムについて楽曲をかけながらお話ししていきたいと思います。
本作は、日本では1月21日、世界では1月23日にリリースされました。
ショパンの楽曲と、僕自身の楽曲、あるいは他の作曲家の楽曲を交互に配置し、
19世紀の偉大な作曲家・ショパンと現代との対話を楽しめる構成になっています。
僕の楽曲は、ショパンの音楽からインスピレーションを受けて作曲、あるいは編曲したものです。
ショパンは1810年生まれ、19世紀に活躍したポーランド出身の作曲家で、若い頃にウィーンを経てパリに移り住み、そこで活動しました。当時としては珍しく、生涯のほとんどをピアノ曲の作曲に捧げた作曲家でもあります。
「ショパンといえばピアノ、ピアノといえばショパン」と言われるほど、
ピアノ音楽と切り離せない存在です。
ピアノを学ぶ者にとって、ショパンは誰もが通る作曲家です。
僕自身も、6歳か7歳の頃からショパンの音楽を弾き続けてきました。
そこから現在に至るまで、ショパンの音楽は、
ピアニストとしての人生において非常に大切な存在であり続けています。
ショパンの音楽は、ロマンティックさや、深い悲しみといった言葉で語られることが多いですが、
その魅力を言葉で表すのは非常に難しく、複雑な感情が絡み合っているように感じます。
一見穏やかな曲調の中に影が垣間見えたり、激しい負の感情に揺さぶられながらも、
常にエレガントさを保っている。その美意識に、僕は強く惹かれます。
ショパンの音楽は、どこを切り取っても完璧に構築され、美しい一方で、
まるでその場で生まれているかのような即興性も感じられます。この感覚こそが、
僕がショパンを愛する大きな理由の一つです。
その美意識を受け継ぎながら、現代を生きる自分としての表現を形にしたい――
そんな思いから、このアルバムは完成しました。
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今回のアルバムリリースにあたり、作家の平野啓一郎さんと対談を行いました。
平野さんの小説『葬送』は、ショパンと画家ドラクロワを題材にした作品で、
僕がショパン・コンクールに挑戦していた2021年頃に読んでいました。
平野さんがニューヨークに引っ越されたタイミングで、僕が滞在していた際にお会いする機会をいただき、ショパンについて対談をすることができました。『葬送』は、細部まで徹底的に調べ上げられ、
史実のように描かれた小説で、フランス文学への深い造詣や、当時の社会情勢、言語と音楽の関係など、
さまざまな話題について語り合いました。僕自身、「そうだったのか」と新たな発見も多く、
非常に刺激的な時間でした。
その後、カーネギーホールでのリサイタルにもご家族で足を運んでくださり、
翌月にはニューヨークで食事をご一緒する機会もありました。音楽家ではない立場から、
これほど深く音楽を理解し、外側の視点を示してくださることは、とても貴重で面白い経験でした。
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レコーディングは、昨年7月にベルリンで行いました。
約1週間かけて録音しましたが、どうしても納得のいかない部分があり、
10月に再度録音を行い、完成させました。
スタジオはB Sharp Studioという、
元はダンスフロアだった場所を改装した大きなレコーディングスタジオです。
日本のスタジオと違って印象的だったのは、外の音がかなり聞こえてくることでした。
一般的なレコーディングスタジオは完全に防音されているものですが、ここでは子どもの遊び声や、
時にはサイレンの音が聞こえてくることもありました。
さすがにサイレンが鳴った場合は録り直しになりますが、
土地から切り離されていない環境での録音は、とても新鮮な感覚でした。
グランドピアノに加えて、種類の異なるアップライトピアノを2台、チェレスタ、
さらにエレクトリックピアノも用意しました(エレピは結果的に使いませんでしたが)。
さまざまな楽器と奏法を試しながら制作したアルバムです。
ショパンに馴染みのない方にとっては、この作品がショパンの音楽への入り口になれば嬉しいですし、
すでに親しんでいる方には、新しい魅力を発見してもらえるアルバムになっていればと思います。
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角野隼斗がお届けしてきました。
今日は、今週リリースされたばかりのニューアルバム『CHOPIN ORBIT』についてお話ししました。
詳しくはオフィシャルサイトをチェックして、ぜひたくさん聴いていただけたら嬉しいです。
なお、「東京建物 Music of the Spheres」では、
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「ノート希望」と書いてご応募ください。



