TOKYO TATEMONO
MUSIC OF THE SPHERES
ピアニスト、角野隼斗が音楽を通した様々な”出会い”を語る20分
8月9日の放送では、フランスのラ・ロック・ダンテロン音楽祭に出演時のお話や
フランスの音楽について語りました!
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今回はニューヨークからお届けしています。
フランスの南の方、ラ・ロック・ダンテロン音楽祭に出演してきました。
場所で言うと、マルセイユから上に車で1時間ぐらい行ったところにあって、まあ野外フェスティバルで、「ピアノの森」みたいな世界観だなと思うんですけど。
そこでラフマニノフのコンチェルト2番を、ニース・フィルハーモニックと演奏しまして。ニースでリハーサルがあって、その後に、知り合いの別荘というかにお泊まりさせてもらえることになって。
それがコート・ダジュールっていう、南仏の地中海に面した海沿いですね。
もう本当に絵に描いたような地中海のバカンスっていうんですかね。
夏と冬で人口が10倍ぐらい違うらしいですけど、そんなところを楽しみつつ、そのあとラ・ロック・ダンテロンに向かい演奏しました。
印象的だったこととしては、すごい若いお客さんが多かったなーっていうのと、すごい山あいにあるんで「みんな、どうやって来てるのかな」とかも思うんだけど、いろんなところから来てくださってて。
フランスの若いピアノキッズたちも来てくれて、それで盛り上がったんですが。
盛り上がったで言うと、セミの鳴き声もすごくて。だいたい夜9時ぐらいからコンサートが始まるんですが、もうずっと鳴いてるんですよね。
野外コンサートでそういう生き物の声が聞こえるって、基本的に僕は好きなんですけど、このセミって周期的に鳴くじゃないですか。だから、そっちにリズムを作られるんですね。結構、遠くに聞こえるとかじゃなくて、もう間近で聞こえるから「ジジジジジジ……」ってずっと言ってるわけですよ。
ラフマニノフを我々は弾いてるわけですけど、我々にはもちろんテンポがあってリズムがあるんですが、セミはセミでそんなことお構いなしに自分らのテンポでやってるわけで。それがちょっと滑稽でしたね。たまにそれがシンクロする瞬間があって。
ラフマニノフの2番の3楽章の、第2主題が終わった後の、ゆっくりと3連符を演奏するところがあるんですけど、「タ・タ・タ・タ……」ってところで、セミが「ジ・ジ・ジ・ジ……」ってシンクロし始めてね。ちょっと笑っちゃいましたね。
なのでアンコールでは逆に、もうこちらからセミにシンクロしにいく、みたいな感じで演奏してました。
今日はフランスの音楽を紹介したいなーと思っていまして。
せっかくなので、フランス音楽と言ってもドビュッシーやラヴェルとかはさておき、フレンチ・ヒップホップにすごいハマってまして。何週間か前も流したと思うんですけど、オデット(Orelsan)とか。フランス語のリズムとヒップホップの親和性が僕はすごい好きだということに気づいて。
僕はあんまり攻撃性の高いヒップホップは好んで聴かないんですけど、こういうウィットに富んだ感じの、遊び心のあるヒップホップっていうんですかね。サウンドもだいたい生楽器のベースで、Pファンクとかの影響を感じられるような。とにかく、最近見つけたお気に入りのアーティスト、聴いてもらえたらと思います。
お送りしたのは Alliance Ethnik で『Simple & Funky』でした。「シンプルでファンキーに」っていうね、いいですね。95年の曲で僕と同い年のようですが。
やっぱりフランス音楽に共通する精神性みたいなのが、僕はある気がして。もちろん全部の曲がそうとは言わないんですが。フランス語は美しいですね。なんかちょっと RIP SLYME を彷彿とさせるような雰囲気もあり。
RIP SLYME は僕、小学校の頃に好きでよく聴いていたのですが、友達と一緒に踊ったこともありましたね。振り付けを誰がどうしたのか忘れたけど、『SPEED KING』っていう曲をみんなで踊ってましたね。
ちょっともう1曲か2曲紹介したいんですが。これはまた別のジャンルになりますが、Dhafer(ダファー・ユセフ)の『La Fièvre』という曲です。「熱」「フィーバー」のフランス語ですね。
これはトランペッターかつプロデューサーの方(※実際にはウード奏者・歌手のダファー・ユセフと、トランペッターのエリック・トラファズのコラボレーション)みたいですが、たぶん僕がInstagramか何かで見つけたんでしょうね。
モロッコの「ゲンブリ」っていう楽器を使っているらしいです。一見、ギターとかベースに聞こえるんだけど、ちょっとチューニングが不穏な感じがして、それがかっこいいですね。
お送りしたのは Dhafer Youssef と Mehdi Nassouli で『La Fièvre』でした。トランペットとかピアノとか西洋の楽器は「12平均律」で演奏されていて。
このゲンブリというアフリカの楽器が、なんか違う音律で弾いていて。違うのに、それが心地いいっていうのが、癖になりますね。
最後は少し古い曲を。
Françoise Hardy(フランソワーズ・アルディ)の『Comment Te Dire Adieu(さよならを教えて)』という曲で。
これは直訳すると「どうやって君にさよならを言えばいいのか」っていう意味ですけど、そんなに曲調は悲しい感じでもなく、むしろ軽快な、洒落た感じで進んでいくんですが。ずっと韻を踏んでるんですね。それがとっても心地よい一曲です。
角野隼斗がお届けしてきました「TOKYO TATEMONO MUSIC OF THE SPHERES」。
最後にお知らせです。
Penthouse のニューアルバム『Neon Garden』好評発売中です。そして『Chopin Orbit アラカルト版』というのが8月26日にリリースいたします。
ルーブル美術館展……ルネサンスの展覧会のテーマ曲『Forme』を書き下ろしたんですが、それなどが収録されております。
詳しくはオフィシャルサイトをチェックしてください。



