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1月18日の放送では、
南極地域観測隊、初の女性隊長をつとめた
原田尚美さんをお迎えしました!
Q:第66次南極地域観測隊で、女性として初めて隊長を務められた原田直美さんです。
まずは、いつ頃南極へ行かれていたのか教えてください。
A:2024年12月から2025年4月までの約4か月間、南極に滞在していました。
Q:70年以上の歴史がある南極地域観測隊で、女性初の隊長という大役でしたね。
A:はい。結果的にそういう形になりました。
Q:原田さんは『南緯69度のチーム 南極地域観測隊』という書籍も出版されています。
まず基本的なところですが、今の時期、南極の気候はどのような感じなのでしょうか。
A:南半球なので日本とは季節が逆で、1月頃は南極では夏にあたります。
一年の中で最も天候が穏やかで、比較的暖かい時期ですね。
Q:南極で「暖かい」というと、気温はどのくらいですか?
A:昭和基地周辺では0℃前後です。日によってはプラスの気温になることもあります。
Q:では冬はどれくらいまで下がるのでしょうか。
A:冬はマイナス30℃ほどまで下がります。
Q:原田さんが南極に興味を持ったきっかけは何だったのですか?
A:大学4年生の卒業研究で指導してくださった先生が、南極での観測経験をお持ちの方でした。
フィールド研究の面白さや自然の美しさを聞くうちに、強く惹かれるようになりました。
Q:原田さんの専門分野は「古海洋学」ですが、これはどのような学問なのでしょうか。
A:海底に堆積した泥を調べることで、過去の海洋環境や気候変動を解析する研究分野です。
上の層ほど新しく、深くなるほど古い時代の情報が残っているので、
それを手がかりに温暖期や寒冷期の変遷を明らかにします。
Q:初めて南極へ行かれたのは大学院時代だったそうですね。
A:はい。1991年から92年にかけて、博士課程1年目のときに初めて参加しました。
研究室に国立極地研究所から学生支援の要請があり、手を挙げたのがきっかけです。
Q:当時、女性の観測隊員は非常に少なかったと思いますが、反対はなかったのですか?
A:指導教官からは最初は強く反対されました。博士論文のテーマが南極とは異なっていたこともあり、
研究への影響を心配されました。ただ、学位論文もきちんと仕上げること、南極の研究でも必ず論文を書くことを約束して、最終的に認めてもらいました。
Q:南極地域観測隊に参加するために、試験などはあるのでしょうか。
A:筆記試験のようなものはありませんが、公募ポジションに応募し、
書類審査と面接審査の二段階があります。面接では専門的なスキルに加えて、協調性やコミュニケーション能力も重視されます。
Q:参加が決まってから、出発までにはどのような準備をするのですか?
A:出発の約10か月前から冬山訓練を行います。長野と群馬の県境付近の雪山で、雪中テント泊や雪中行軍、クレバス救助訓練など、5日間にわたるフィジカルな訓練を行います。
Q:隊長として、100人規模のチームをどのようにまとめていったのでしょうか。
A:私一人ですべてをまとめるのは難しいので、各分野のリーダーが現場を率い、困ったときに最終判断を私が行うという形でした。また、隊全体の方向性を示すことが私の役割だったと思います。
Q:著書の中で「問題を早いうちに摘み取ることを大切にしている」と書かれていましたが、そのために意識していたことはありますか?
A:準備期間から、できるだけ何気ない会話を大切にしていました。昼食はできるだけ皆と一緒に取るなど、話しかけやすい雰囲気づくりを心がけ、小さな違和感でも相談してもらえる関係を作ることを意識していました。
Q:女性隊員の割合はどのくらいだったのでしょうか。
A:全体で2割強、114人中25人ほどでした。以前に比べるとかなり増えています。
Q:年齢層も変化していますか?
A:はい。以前は20〜30代が中心でしたが、現在は20代から60代までと、かなり幅広くなっています。
Q:現地ではどのような観測が行われているのですか?
A:温室効果ガスの長期観測や地図作成、内陸のドーム拠点での氷床掘削などがあります。氷のコアを採取し、過去100万年以上の気候変動を解析する研究も行われています。
Q:南極は環境問題の最前線とも言われますが、現地で感じることはありますか?
A:昭和基地周辺では、統計的にまだ明確な温暖化の兆候は見られていません。ただし、南極大陸には地球上の氷の約9割があり、温暖化が進めば海面上昇につながる大きなリスクがあります。観測を継続し、兆候を捉え続けることが非常に重要だと感じています。
Q:仕事以外の時間は、どのように過ごされているのでしょうか。
A:越冬隊を中心に、釣りや農耕などのクラブ活動があります。基地内でレタスなどの野菜を育てたりもしています。
Q:食事やお風呂など、生活環境はどうなっていますか?
A:お風呂は24時間循環式で、隊員が交代で清掃します。食事はプロの料理人が担当していて、毎日とても充実しています。バイキング形式なので、体重管理が課題になることもありますね。
Q:今後、また南極へ行きたいという思いはありますか?
A:自分自身が再び隊に参加する可能性は高くないかもしれませんが、機会があればもう一度行きたい気持ちはあります。研究は継続しているので、現場に立つことの重要性は強く感じています。
Q:最後に、リスナーの皆さんへメッセージをお願いします。
A:南極で行われている観測や研究が、私たちの暮らしと深くつながっていることを知っていただけたら嬉しいです。

