WORLD CONNECTION

世界の今と繋がろう。

2026.09.13
世界の映画シーンの傾向や、是枝裕和監督の新作「ルックバック」 に注目!

映画の制作・配給を行うK2 Pictures プロデューサー
小出大樹さんをお迎えしました!

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小川: 今日は世界の映画シーンと公開中の話題作について、映画の制作・配給を行う「K2 Pictures」のプロデューサー、小出大樹さんにお伺いします。よろしくお願いします。

小出: よろしくお願いします。K2 Picturesの小出です。

小川: 大樹さんはですね、元々大学の先輩後輩でありまして。一緒に是枝監督の授業を受けていましたね。

小出: そうね。もう10年以上前。

小川: そうですね。10年経ってますね。その後、私が撮った初長編監督作の『海辺の金魚』で、プロデューサーをお願いして……

小出: 本当に遠い昔だよね。

小川: そうですね。

小出: コロナより前のことだったからね。

小川: はい。あの頃から大樹さんも色々歩まれて、今はK2 Picturesの立ち上げから関わって、映画界を今、変えようとしている……

小出: 微力ながら。

小川: いや、微力ではないです。本当に大きな動きだなと思うんですけど。今、ホットなトピックとしては、収を8月30日に行なっているんですけど、放映がされている頃には、イタリアで開催されているベネチア国際映画祭に参加してると言うことで。今回ベネチアにはどんな作品が行くんですか?

小出: 弊社からは2作品ありまして、1つは、僕がプロデュースさせてもらっている是枝裕和監督の『ルックバック』がコンペティション部門に、選んでいただいています。もう1作品が、三池崇史監督のドキュメンタリーになるんですが、『襲名』という作品がアウト・オブ・コンペティション部門に選んでいただいています。

小川: 凄いですね。K2 Picturesだって今、できてから何年目?

小出: ちょうど3年かな?

小川: 3年目でベネチアに今2作品行っているという。

小出: 運がいいなというか。本当にスタッフやキャストのみなさんのおかげだなと思ってます。

小川: さらに同時期に、トロントの方にも行ってるんですよね?

小出: そうですね。トロント映画祭には西川美和監督の『私の知らない子どもたち』がコンペティション部門のオープニング上映で。『ルックバック』も上映があります。

小川:今年もいろんな映画祭に、ベネチア、トロントだけじゃなくて、カンヌなんかも行かれてたと思うんですけど、今映画祭を回る中で感じる、この世界の映画シーンの「流れ」ってどう感じてますか?

小出: 映画祭を回る時の目的みたいなものは基本的に、僕にとっては1つあって。それは、カンヌ映画祭もベルリン映画祭もマーケットと言われる、ビジネスを担保しているところがあって。そこで、今作ってる作品だったり、これから作る作品の打ち合わせをしていくっていうことが、映画祭を回っていくところの目的なんですけど。
今年は、カンヌ映画祭では、日本が「カントリー・オブ・フォーカス」として、日本フューチャー都市だったので、日本の作品がかなり多く、企画の場でも話されることは多かったなという風には思っていますし。1年前2年前と比べると、そのマーケットの中で「セッション」って言われる、これから何が来るかの問題点だったりの話、みたいなトークセッションがあるんですけど、そのテーマが、この1年ぐらいで、やっぱりAIみたいなセッションテーマが少し増えたかなっていう風には感じました。

小川: 最新のテクノロジーの話題なんかもマーケットで交わされてる?

小出: そうですね。なんで、そこで上映される映画を題材に、国際共同製作をしたら、アジアとヨーロッパの共同製作する上でのケーススタディみたいなトークセッションもあれば、AIみたいなトークセッションでは、技術的な進歩と、それにおける権利だったり法整備ってどうなってるのか、各国の状況、みたいな話を聞けたり。そういう意味では凄く勉強になる場だなという風に、映画祭は捉えてますね。

小川: AIのこととか今、制作者がぶち当たってる壁でもあると思うので。それを国を超えて語り合える場がマーケットにあるんですね。

小出: そうですね。

小川: 元々このK2 Pictures、どんな理念で立ち上げられたんですか?

小出: 1つは、K2 Picturesとしてはクリエイターファーストでありたいっていうのがあって。スタッフ・キャストのみなさんにとって、クリエイターファースト、作品ファーストの制作環境を作りたいよねっていうところからK2 Pictures立ち上がっていったかなという風に思ってますね。

小川: クリエイターファーストにしたいっていうのは、今の映画界っていうのが、そこに至ってないというか、問題がある?

小出:やはり変える余地があるんじゃないかなという風に、それはビジネス面でもそうですし、クリエイティブ面でもあるっていう過渡期にあるんだろうなと思っていて。今、K2 Picturesはファンドという方法で、お金を集めてはいるんですが「これだったら違うアプローチができるかもしれないね」っていうところで、K2 Picturesと、K2 Pictures Film Fundを立ち上げたっていうことかなと思ってます。

小川: 「K2P Film Fund」というのを立ち上げて、本当に色々なところから大きな資金を集めてたくさんの作品を作ろうとしているところですけど、本来の日本の映画界のシステムとこのファンドってどう違うんですか?

小出: 大きく違うのは、日本で映画を作る時は1作品に対して、出資をしてくれる人、映画会社だったりテレビ局さんだったり、パッケージ、ビデオグラムを売ってくれる会社さんたちを集めて、1作品に対して、投資をしてもらう、出資をしてもらうって形だと思うんですけど。
このファンドだと、みなさんにお金を入れてもらって、それをK2 Picturesは預かって、複数作品を作っていくっていうことなので、1本だけの投資じゃなく複数作品を、僕たちはこのファンドを通して作っていくと。そうなると、是枝監督の作品だったり若手の監督、実写映画、あるいはアニメーション映画とポートフォリオで様々な作品を作れるというところが、ある種リスクを分散しているっていう風にも言えますし、リスクの考え方がそれぞれ違いますよねっていうところが、分かりやすい特徴の1つかなと思います。

小川: 制作環境で工夫されていることとかありますか?

小出: 作品に寄ってしまうんですけれど、1つは西川監督の『私の知らない子どもたち』という作品では、主演の子が撮影時11歳、12歳の女の子だったので、やはり労働時間が限られてはいるっていうところもあって。1日の撮影時間をコントロールしていくと、どうしても撮影日数が長くなっていく。でもそれを、K2 Picturesとしては、整った撮影日数を準備させていただくっていうことをさせてもらったり。あとは、お子さんがいる、照明や撮影や美術のスタッフの方々が子供を預けられるような、現場のベビーシッターみたいなものを予算の中に盛り込ませていただいて、撮影ができる環境を整えたりとか。他にも西川監督のご提案で「ファミリーデー」みたいなものをやって、撮影の日に、家族やパートナーとかを呼んでもいいよっていう日を作って。自分のパートナーや家族がどういう仕事をしてるかっていうのを知ってもらう日を作る、みたいなこともやりましたね。

小川: やっぱり今一番話題なのは、是枝裕和監督の『ルックバック』。9月11日に公開になったばかりですけど。実写化されるって聞いた時ちょっとびっくりしたんですけど、どういう風に始まったんですか?

小出: 僕が前職、東映にいた時に『シン・仮面ライダー』という作品をプロデュースしていまして、その際に現場に藤本タツキ先生が、現場見学をしに来てくださったことがありました。ちょうどその1ヶ月前ぐらいに『ルックバック』がジャンプ+で公開されて、もちろんその日に読んで……

小川: もの凄い話題になりましたもんね!

小出: はい。もう凄くハマって、何度も読み返してて。藤本先生が現場に来るっていうのを聞いた時に、僕の中で「これは、是枝監督とこの作品をやらせてもらいたいな」っていう気持ちを持っているなっていうのを気づいて。それを後日、集英社の方にお伝えしてご提案させていただいて。と同時に是枝監督にも「一緒にやりませんか」っていう話をしたら、是枝監督も読んでいて、「おー! いや、本当に是枝監督としても凄く感じてた作品なので、一度話してみよう」っていうことになって、話が進んでいったと。

小川: 教授と生徒の関係だったところから、プロデューサーと監督になり、映画が立ち上がって、そしてベネチアに今行ってるっていう、そのストーリーが映画みたいだなって思います。

小出: 恐縮です。そういう意味では、サラちゃんと一緒に『海辺の金魚』を作って、阿久根市で撮らせてもらった時の経験とか本当に活きていて。その時と同じスタッフが今回参加してもらってるし、今回は、秋田県のにかほ市っていう市と一緒にやってはいるんだけど。市役所の方だったり、自場の企業というか、自営業の人たちだったりの応援の中で作っていく、凄くインディなことをやってるなって思ってはいて。その感覚はやっぱ『海辺の金魚』をやってなかったら、1作品どうやってコミットしていくかっていう、それも東京から見た時の地方みたいな方々と映画を作るっていう原体験は『海辺の金魚』だと僕は思ってはいるんで。そういう意味では規模感というか扱ってるものは異なるけれど、同じことをやってるなっていう部分は感じてたかなという。

小川: 私も一足先に『ルックバック』見させてもらって、やっぱり色々な関係性とかが作品に繋がっていったっていう、その裏側の感動も含めて、胸に来るものがあったんですけど。今おっしゃったように、今回の作品、秋田県のにかほ市というところで、地域のバックアップもある中で作られていて。今回実は、秋田新幹線のこまちと、『ルックバック』がコラボしていまして、秋田新幹線の車内で撮り下ろしの音声コンテンツが配信されていると。そこで私、ナビゲーターを務めさせていただきました。ありがとうございます。

小出: ありがとうございます。

小川: このコンテンツの中では、主演の出口夏希さんと、蒔田彩珠さんの2人の対談。それから、是枝監督と野呂佳代さんの対談が聞くことができますので、秋田新幹線にぜひ皆さん乗って、にかほに行っていただいて、音声も聞いていただければと思います。
先ほどおっしゃった西川美和監督の『私の知らない子どもたち』。10月16日公開ですけど、これもめちゃくちゃ良かったです!

小出: 本当に凄い作品を西川監督は作ってくださったなと、プロデューサーとして関わっていながら、驚いてるっていうか。

小川: 自分でも?

小出: いやー、凄いなって。編集を何度かこうやっていく中で、途中で凄い自分が没入している瞬間をやっぱり感じた時に「これは凄いな」って。もちろん『ルックバック』は『ルックバック』で感じてるんですけど、西川監督のこの作品も、本当に強く感じる作品になりましたね。

小川: この作品は戦後の、戦争孤児の子たちを主に描いている作品なんですけど、主演の小八重葵美さんも本当に素晴らしい演技でしたし、細部にこの戦争の「闇」みたいなものが、さりげなく散りばめられていて、それが後々尾を引くというか、凄い力のある作品でした。

小出: でも、最初西川監督からこの作品を提案された時は、凄く長いロングプロットだったので「これはどういう風にやっていくのかな?」っていうのが想像つかなくて、本当正直「もうビビるな」っていうボリューム感だったんですけど。こやみさんや二階堂ふみさんだったり、本当素敵な白組のVFXチームだったりのスタッフさんと出会ったおかげで1本の作品にまとまって、こう言う風な形になったのは凄い嬉しいなと思ってます。

小川:こちらも今、トロントで上映されたばかりの頃だと思いますので。海外の反応も、『ルックバック』も含めて楽しみですね。

小出: そうですね。それぞれやはり、どういう風に見られるのかっていうのが楽しみですし、同時に「やっぱ怖いな」っていうのはありますよね。

小川: これからも、いろんな作品手がけていくと思うんですけど、やっぱり「海外に届けていきたい」っていう気持ちが強いですか?

小出: 海外に届けたいありきで作ってるわけでは僕はなくて。お客さん、まずはやっぱ「クリエイターファースト」って最初に話したように、監督だったり、俳優だったり、各スタッフが心を込めて作品を作れる環境をちゃんとやって、作品の強度が強いものを作りたいなと。それをしっかり届けたいっていう時に、海外を目指しているというよりかは、国内のお客さんにも当然見てもらいたいし、その中で海外の人も見ていただけるものになったら嬉しいなとは思うんですけれど。「もう海外しか目指してませんから」って言われると、そういうことではなくて。やっぱ面白い、良い作品をクリエイターのみなさんと作るという、凄くシンプルなことを、まずはやりたいなってことかなと思っていますね。

小川: はい。いや、これからもね、どんどんアタックしていくK2 Picturesの作品楽しみにしています。

小出: ありがとうございます。

小川: ありがとうございました。ということでWORLD CONNECTION、今日はK2 Picturesのプロデューサー小出大樹さんにお話伺いました。ありがとうございました!

小出: ありがとうございました。


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K2 Pictures製作・配給、是枝裕和監督の『ルックバック』 は絶賛公開中!
詳しい上映情報は、公式サイトでご確認ください。

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