WORLD CONNECTION
世界の今と繋がろう。
6月14日の放送では、
現役東大院生のラッパー・法念さんをお迎えして
ラップで世界史を楽しく紐解く法念さんの視点から
世界の歴史について伺いました!
小川:様々な国の最新カルチャーに注目する「WORLD CONNECTION」。
突然ですが、みなさんは学校の世界史の授業は好きでしたか? 私は正直、少し苦手意識がありました。
どうしても暗記科目という印象があって、テスト前に一気に覚えて、
そのまま忘れてしまうような感覚があったんです。
今日は、そんな世界史をラップで楽しく、わかりやすく伝える活動をされている方をお迎えしました。
現役東大院生でラッパーの法念さんです。よろしくお願いいたします。
法念:法念です。よろしくお願いいたします。
小川:改めてご紹介します。法念さんは現在、東京大学大学院博士課程に在籍され、
西アフリカの歴史を研究されています。また、2020年に「法念の世界史チャンネル」を開設。
「東大生ラッパーが教える ラップで学ぶ世界史」や「アフリカの歴史と今がわかる本」などの著書も出版されています。
まず、「法念」という活動名ですが、どのような由来があるのでしょうか。
法念:本名とは別の名前なんですが、中学・高校時代に一緒にラップをやっていた親友が付けてくれた名前なんです。
小川:ご友人が付けてくれたんですね。最近はカタカナやアルファベットのアーティスト名も多いですが、漢字二文字というのがまた印象的です。
法念:そうですね。
小川:「報いる」の“報”に、「念じる」の“念”。とても渋くてかっこいい名前ですよね。
私も「法念の世界史チャンネル」を拝見しましたが、本当に素晴らしかったです。
2020年開設とのことですが、高校生の頃にこういうコンテンツがあったら良かったなと思いました。
ギリシャ文化史やイスラーム世界史、産業革命など、さまざまなテーマをラップで紹介されていますが、まずは実際に聴いていただきましょう。「19世紀ヨーロッパ文化史〜文学・美術編〜」です。
〜楽曲オンエア〜
小川:いかがでしたか。ゲーテやシラーから始まり、西洋文化史の重要人物や出来事がリズムと韻に乗って次々と登場します。これをどのようなきっかけで作り始めたのでしょうか。
法念:僕自身が暗記が苦手だったんです。語呂合わせで覚えることも多かったので、
「高校生の頃にこんなものがあったら良かったのに」という思いから始めました。
小川:本当に画期的ですよね。暗記の方法はいろいろありますが、自分で語呂を作るのも大変ですし、動画で楽しく覚えられるのは大きいと思います。
ちなみに、1本作るのにどれくらい時間がかかるんですか。
法念:正直かなり大変で、1週間くらいかかります。
小川:やはりそうですよね。使う単語は歴史用語として決まっていますし、その中で韻を踏みながら成立させるわけですから。
しかもテーマによって曲調も違いますよね。イスラーム世界史の回なども印象的でした。
法念:フローや韻の踏み方を変えながら、みなさんが飽きないよう工夫しています。
小川:それぞれの曲に個性があって、覚え分けもしやすいですよね。
そもそもラップを始めたのは中高生の頃とのことですが、もともとヒップホップがお好きだったんですか?
法念:そうですね。当時まわりでヒップホップが流行っていて、自分も聴くようになり、やるようになりました。
小川:それがまさか世界史ラップにつながるとは思っていなかったのではないですか。
法念:まったく思っていなかったですね。世界史も苦手だったので。
小川:そんな中で、現在は西アフリカ史を専門に研究されています。なぜその道に進まれたのでしょうか。
法念:受験勉強を通して世界史が好きになったんですが、教科書の中でアフリカ史の扱いが少ないんです。
だからこそ、そこにロマンを感じて研究したいと思うようになりました。
小川:情報が少ないからこそ、自分で知りたくなったわけですね。
法念:そうですね。
小川:歴史が苦手な人は、どうしても暗記だけで終わってしまいがちですが、点と点がつながることで面白くなっていくんですよね。
法念:例えば、突然「田中と鈴木が付き合った」と言われても面白くないですよね。
でも、その人物を知っているからこそ物語が面白くなる。歴史も同じで、まず覚えることが大事なんです。
小川:なるほど。歴史を面白がる第一歩ですね。
そのためにどんな工夫をしているのでしょうか。
法念:頭に残る言葉を使うようにしています。例えば「ゲーテとシラー 古典主義」を
「ゲテモノ カシラ コッテリしすぎ」という語感に変えて覚えやすくしています。
小川:面白いですよね。意味と音の両方で記憶に残ります。
法念:「レ・ミゼラブル」なら、「言うこと聞かずに惨めになる」といった具合に、作品の意味も取り入れています。
小川:そこも含めて秀逸だと思います。実際に公開してからはどんな反応がありましたか。
法念:「これで覚えられた」「試験中に曲が流れてきた」などのコメントをいただきます。作って良かったなと思いますね。
小川:受験生からのコメントも多いですよね。「助かりました」といった声を見ると応援したくなります。
法念:本当にそうですね。
小川:世界史を学び直したい大人にもおすすめですよね。
法念:ぜひ聴いていただきたいです。
小川:ちなみにリクエストも受け付けているんですか?
法念:コメント欄に書いていただければ参考にしています。実際にリクエストから作った曲もあります。
小川:ぜひみなさんも覚えたいテーマをリクエストしてみてください。
〜〜〜〜〜
小川:法念さんは現在、東京大学大学院で西アフリカの歴史を研究されていますが、
なぜ西アフリカに興味を持たれたのでしょうか。
法念:アフリカは地理的にも心理的にも、日本人にとって遠い存在だと思います。
人類発祥の地としてロマンを感じる一方で、実際に訪れる機会はなかなかありません。
そんな中、中高生の頃にガーナへ行く機会があり、それがきっかけで興味を持つようになりました。
小川:ガーナへは留学で行かれたんですか?
法念:そのときは短期滞在でした。その後、大学に入ってから改めて留学する機会もあり、徐々にアフリカへの関心が深まっていきました。
小川:教科書の中で見ていたアフリカと、実際に訪れたガーナでは印象も違ったのではないですか。
法念:そうですね。本当に異世界のようでした。見た目も言葉も全く違いますし、
街の様子も日本とは大きく異なります。例えば、頭の上に商品を載せて売り歩く人たちがいたり、
バスが停車すると商品を売りに来る人たちが集まってきたりして、
「本当に違う世界に来たんだな」と実感しました。
小川:ガーナはアフリカのどのあたりに位置する国なんでしょうか。
法念:アフリカ大陸の西側、少し突き出した部分がありますよね。その南側の沿岸部に位置しています。
小川:日本ではチョコレートのイメージを持つ方も多いと思いますが、歴史的にはどんな国なのでしょうか。
法念:沿岸部ということもあり、早くからヨーロッパ人が交易拠点を築いた場所です。
近世には奴隷貿易の拠点となり、アシャンティ王国が栄えました。
その後、イギリス領ゴールドコーストとなり、独立して現在のガーナになりました。
小川:アフリカの歴史は、ヨーロッパの植民地支配と切り離せない部分がありますよね。現地では、その歴史の痕跡を感じることもありましたか。
法念:あります。奴隷を積み出していた拠点が今も世界遺産として残っています。有名な「ドア・オブ・ノー・リターン」という扉もあり、そこを通ると二度と故郷へ戻れないという意味が込められています。
小川:実際に訪れると、やはり特別な空気を感じるのでしょうか。
法念:そうですね。空気がひんやりとしていて、雰囲気も一変します。ぜひ一度訪れてほしい場所です。
小川:現在のガーナで、法念さんが注目していることはありますか。
法念:数年前に事実上のデフォルト、つまり債務不履行に陥りましたが、その後かなり回復しています。経済的には一度大きく落ち込みましたが、持ち直してきている状況ですね。
また、近年はアフリカ系のルーツを持つ人々が、自身のルーツを見つめ直す動きも活発になっています。その中でガーナは、自らの歴史やルーツをたどる場所として注目を集めています。
小川:法念さんの著書の中には、「生まれた曜日によって名前が付けられる文化」も紹介されていましたね。
法念:そうなんです。私もガーナへ行くまで、自分が何曜日生まれなのか意識したことがありませんでした。現地ではまず「何曜日生まれ?」と聞かれるんです。
私は金曜日生まれなので、「コフィ」という名前で呼ばれていました。
小川:金曜日生まれの男性はコフィなんですね。
法念:そうなんです。
小川:そうした文化を知るだけでも面白いですよね。
そしてアフリカは、2050年には世界人口の4分の1を占めるとも言われています。今後、世界の中でどのような存在になっていくと思われますか。
法念:政治的にも経済的にも重要性はますます高まると思います。中国やアメリカ、ロシアなど各国も注目していますし、市場としての価値も高まっています。文化面も含めて、今後ますます存在感を増していく地域になると思います。
小川:まさにグローバル・サウスの中心として注目されていますよね。
法念さんの著書『アフリカの歴史と今がわかる本』では、日本ではひと括りにされがちなアフリカについて、国ごとの違いも詳しく紹介されています。
アフリカには全部で何カ国くらいあるんでしたっけ。
法念:数え方にもよりますが、50数カ国あります。
小川:本当に多いですよね。
例えばモーリタニア。あまり馴染みがないかもしれませんが、日本で流通しているタコの多くはモーリタニア産だったりします。
法念:そうですね。私が研究しているガーナも、チョコレートだけではなく、野口英世が研究活動を行い、その地で亡くなった場所として日本とのつながりがあります。
小川:意外と私たちの暮らしとも結びついているんですよね。
ちなみに、日本国内でアフリカの文化や歴史に触れられる場所はありますか。
法念:たくさんあります。アフリカ料理店もありますし、直近では代々木公園で「アフリカヘリテイジフェスティバル」が開催されます。ワークショップやバザー、アフリカ各国のフードなども楽しめるそうなので、興味のある方はぜひ足を運んでみてください。
小川:タイムリーな情報ですね。ぜひみなさんも足を運んでみてください。
法念さんは現在、博士課程1年目ということですが、今後のご活躍も楽しみにしています。
法念:ありがとうございます。
小川:WORLD CONNECTION、今日はラッパーの法念さんをお迎えしました。ありがとうございました。
法念:ありがとうございました。

