TOKYO TATEMONO
MUSIC OF THE SPHERES

ピアニスト、角野隼斗が音楽を通した様々な”出会い”を語る20分

TOKYO TATEMONO MUSIC OF THE SPHERES
2025.07.27
30歳の誕生日を迎えたワルシャワ、 ドイツ、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭

7月27日の放送では、30歳の誕生日を迎えたワルシャワ、
ドイツ、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭のエピソードを語りました。

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僕はいまフランクフルト空港にいまして、ドイツのハンブルクからの乗り継ぎで、このあとロサンゼルスに向かうところです。
空港からお届けしているので、もしかしたらちょっと周りが騒がしいかもしれませんが、ご了承ください。

先日、7月14日に30歳の誕生日を迎えまして、ついに僕も30代に突入しました。
いや〜30代、なにが起こるか楽しみにしながら…まだ1週間しか経ってないんですけど、ポーランドのワルシャワで誕生日を過ごしたのは初めてでした。

実は4年前にもポーランドの、ワルシャワではない別の街で、ひっそり一人で誕生日を過ごしたことがあって、それ以来でしたかね。
やっぱりポーランド、特にワルシャワは4年前にショパン・コンクールを受けたときに1か月くらい滞在していた思い出があるので、その時に行った公園とかバーとか、また訪れて、いろいろと思い出がよみがえってきました。

誕生日の前日には、ワルシャワでコンサートがありまして。それが僕の20代最後のコンサートになりました。
ロイヤル・キャッスルの中庭に、大きなテントを立てて、その中で演奏するっていうスタイルだったんですけど、テントってことで最初は音響大丈夫かな?と思ったけど、予想以上に良かったですね。
ピアノはちょっと難しかったんですけど、すごくいいコンサートになりました。

ワルシャワでコンサートするのは今回が初めてで、演奏自体は4年前のコンクール以来でしたけど、本当に情熱的なオーディエンスが待っていてくれて、僕はすごく胸が熱くなりました。

ここで1曲お届けしましょう。ポーランドといえば、やっぱりショパン。
ということで、僕の好きなショパンの演奏家、ルービンシュタインの演奏で「子守歌」をお聴きください。

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ドイツの後はハンブルクに飛びまして、そこからさらに少し北に行ったリュードベックという町で、「シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭」に出演して、ラフマニノフのコンチェルトを演奏してきました。

この「シュレスヴィヒ=ホルシュタイン」っていう名前、なかなか覚えにくくて、誰が正しく発音できるんだっていうぐらい難しいんですが(笑)、ドイツの北の地方の名前らしいですね。

なぜそこに行ったかというと、「レナード・バーンスタイン賞」という賞を僕が受賞しまして、そのアワードセレモニーがこの音楽祭で開催されたんです。

この音楽祭は、バーンスタイン自身も生前に深く関わっていたフェスティバルで、とても教育的な側面があるんですね。
オーケストラも、世界中から集められた優秀な若手で構成されていて、メンバーのほとんどが20歳前後ぐらいの、普段のプロオケとは全然雰囲気の違う、すごくエネルギッシュなオーケストラでした。

リハーサルの前日には「オープン・リハーサル」があって、そこにもびっくり。
お客さんが満員で、これほぼ本番じゃない?っていう雰囲気で(笑)、なかなかそういう経験はなかったので驚きました。

このラフマニノフの2番っていう曲、僕の経験だと、だいたい僕のほうが速くなってしまってオケとズレることが多いんですけど、今回は逆にオーケストラのほうが先走っちゃって、それを合わせていく作業が新鮮でしたね。

でも、やっぱり若い人たちなので、吸収力とか変化のスピードがものすごくて、僕の出した音に即座に反応しようとしてくれる、その柔軟さが本当にエキサイティングでした。

で、今回「バーンスタイン賞」をいただいたということで、せっかくならバーンスタインの曲を演奏したいなと思ったんですが、彼ってあまりピアノソロの曲がないんですよね。

なので、自分でアレンジしようと思いまして。ご存知の方も多いと思いますが、「マンボ」っていう、とても有名で短めの曲があるんです。
これをピアノソロにアレンジして、今回初めて演奏してみました。

原曲はオーケストラで、しかもパーカッションがめちゃくちゃ多いんで、ピアノソロでやるって決めたはいいけど、どうやってアレンジしようかな〜と、かなり悩みました。

そこで役に立ったのが「左足」と「指パッチン」。僕、よくフィンガースナップをやるんですけど、それを取り入れてみることで、原曲のパーカッシブな雰囲気を少しでも再現できるかなと。

そんなふうにして、ちょっと工夫して演奏しました。
いつかこのアレンジを世に出せたらいいなと思ってます。

というわけで、今日はその僕の演奏じゃなくて(笑)、オリジナルのオーケストラバージョンでお届けします。
演奏はシュマリー・ゴールドスミス、オーケストラはサンパウロ交響楽団です。

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最後にお知らせをさせてください。
昨年夏に開催された日本武道館公演のライブBlu-rayが、現在発売中です!

そして、角野隼斗ピアノリサイタル「Klassik Arena」が、11月29日、Kアリーナ横浜にて開催されます。
本日23時59分まで、e+(イープラス)にて先行予約受付中です!
ぜひ「角野隼斗 イープラス」で検索してみてください。

また、このコーナーでは、番組の新しいグッズ「オリジナルロゴ入りノート」を、毎週5名様にプレゼント中です。
メッセージフォームから、「ノート希望」と書いてご応募ください。

近々お便り回も開催予定ですので、僕・角野隼斗へのメッセージや質問も、ぜひ添えて送ってくださいね。


MUSIC SELECT
Berceuse, Op. 57 in D-Flat / アルトゥール・ルービンシュタイン
Mambo / サンパウロ交響楽団&マリン・オールソップ

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