TOKYO TATEMONO
MUSIC OF THE SPHERES

ピアニスト、角野隼斗が音楽を通した様々な”出会い”を語る20分

TOKYO TATEMONO MUSIC OF THE SPHERES
2025.05.25
ドラマーの石若駿さんがご登場!?

5月25日の放送では、先週に引き続き石若駿さんがご登場!

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今回も石川県の金沢からお届けしています。そして先週に引き続き、ゲストにドラマーの石若駿さんをお迎えしています。

石若:よろしくお願いします、石若駿です。

角野:よろしくお願いします。改めてご紹介させていただきますと、石若さんは本当に多岐にわたって活躍されている、日本を代表するドラマーです。

東京藝術大学の附属高校、打楽器専攻を経て、同大学を首席で卒業。
リーダープロジェクトとして「Answer to Remember」というバンドを率いる傍ら、くるり、millennium parade、椎名林檎さんなど、多くのライブや作品に参加。

2023年公開の劇場アニメ『BLUE GIANT』では、音楽を手がけた上原ひろみさんのトリオでドラムを演奏するなど、本当に多彩な活動をされています。

今回はオーケストラ・アンサンブル金沢との共演ということで。
フリードリヒ・グルダというピアニストが作曲した「コンチェルト・フォー・マイセルフ」という、途中でジャズにも展開するような面白いピアノ協奏曲を演奏するんですが、ベースがマーティ・ホロベックさん、指揮が川瀬賢太郎さんで。

名古屋でも、1ヶ月ほど前にやりましたが、楽しかったですね。

石若:楽しかったね。2日間あって、どちらも全然違う景色になったのがよかったんですよね。

角野:この曲はたしか80年代に作曲されたと思うんですけど、モーツァルトやベートーヴェンのピアノコンチェルトの形式に則っている中で、ブルースに行ったりラテンに行ったり、さまざまな景色が垣間見える。

それが、石若さんのドラムによってさらにモダンになっている感じがして、本当に楽しいです。

石若:楽しいですね。ドラムパートの譜面もかなり自由で、奏者に委ねられている部分が多いのもいいなと感じます。

オーケストラの中では打楽器はティンパニしかなくて、他のスネアとかバスドラ、シンバルとか、オーケストラとしての打楽器の役割も書かれていて、そのバランスもすごく楽しいです。

角野:打楽器奏者としての、クラシックの側面も一部ありますよね。

石若:そう。譜面を一生懸命見て、音色を選んでいく、その過程が楽しいですよね。

角野:僕、初めてレコーディングした時も思ったんですけど、石若さんのドラムが「打楽器」に聞こえない瞬間があるんですよ。
本来は叩くという行為だから、離散的な音のはずなんですけど、それがまるでオーケストラのように流れているというか。

今回もオーケストラとのアンサンブルなので、そういう瞬間が何度もあって、演奏していてすごく楽しかったです。

クラシックとの出会いはいつ頃だったんですか?

石若:クラシックはわりと小さい頃からですね。父が音楽の先生でブラスバンドの顧問をやっていて、母もピアノ教室を開いていて、ちびっこ向けに教えていたんです。

なので、自然と母からピアノを習っていて、ショパンとかも弾いていたんですけど、ドラムのほうが自分に合っていて、楽しくて。

それでジャズスクールに入って、ジャズにのめり込んでいって。

そこで、トランペッターの日野皓正さんに出会って、小学5年の冬、6年になる前くらいに「お前、すごいな」って褒めてくれて。
「中学卒業したら、うちのバンド入れよ」って言われたんです。

すごくうれしくて、「えっ、どうしよう」と思って。でも、高校にも行きたいし、もっと音楽を勉強したいし、どうしようかなって考えて、札幌から東京に出ようと思いました。

石若:音楽理論も全然わかっていなかったので、それをちゃんと学びたいと思って、東京芸大の附属高校を見つけて、そこを目指して勉強して。

中1のときに札幌交響楽団の打楽器奏者、大外聖進さんに習って、そこからクラシックの打楽器の扱い方や役割にのめり込んでいきました。

本格的にクラシックの打楽器をやりはじめたのは中学からですね。
オーケストラを聴くようになったのもその頃。パーカッション・コンチェルトを調べたり、現代音楽を聴いたりして、いろんな響きに興味を持っていきました。

石若:受験のために中3のとき、1回ジャズを封印したんですよ。

角野:えっ、受験のために?

石若:はい。段ボールにジャズのCDを全部詰めて、ガムテープで封して、「もうクラシックしか聴かない!」って。

でも、オーケストラの中でティンパニを鳴らしたときにどんな感動があるのか想像して、そこを目指して勉強しました。

角野:なんか、いつも原動力がピュアでいいですね。

石若:そうですかね。チャイコフスキーの交響曲が好きで、特に5番が好きだったんですけど、芸高に入って最初の定期演奏会がチャイコフスキーの5番で、もう本当にうれしかったのを覚えています。

角野:あれ、ティンパニ楽しそう。

石若:めっちゃ楽しかった。けど、いろいろ壁にもぶち当たって。音色や奏法のことなど、ドラムのように叩いてたかもしれないなとか。今思うと、まだまだ勉強のしがいがあるなって思います。

角野:本当に活躍されてて、見ていて楽しいです。

石若:こちらこそ。4月から一緒に演奏することが増えて、毎回リハから感動してますよ。昨日、一昨日のリハもすごかった。

角野:マジですか?全然覚えてないです(笑)

石若:リハなのに、やばいなって思って。すごくいい演奏体験をさせてもらってます。

角野:こちらこそです。即興曲で、何も決めずに始めるみたいなやつ、楽しいですね。

石若:やればやるほど、どんどん見えてくるものがありますよね。これからもたくさんやりましょう。

角野:今年、フジロック出られるんですよね?

石若:はい。「Answer to Remember」で初フェス、そして初フジロックです!
バンドは大所帯なんですけど、すごくうれしいですね。7月25日、金曜日の初日に出演します。

角野:その時、何人編成ですか?

石若:おそらく10数名で行きます。自分のプロジェクトで出られるって、本当にうれしいです。

2日目には、僕も関わっている「岸本大地合奏形態」も出演します。もう今から緊張して、手汗がやばい(笑)

角野:緊張するんですね?

石若:しますよ!舞台袖が一番緊張します。間違ったらどうしようって。でも、名古屋の時に、開演1分前に楽屋からダッシュしてステージに上がったんですよ。それがすごくよくて。

角野:待機する時間がないと、緊張しないってこと?

石若:そうそう、「この手があったか!」って思いました。

角野:じゃあ、今日もそれでいきますか(笑)

石若:ぜひ(笑)

角野:フジロックで楽しめるのは、本当に楽しみです。
それでは、Answer to Rememberの楽曲をお聴きいただきながらお別れしたいと思います。曲紹介お願いします。

石若:Answer to Rememberの1stアルバムから、「Run feat. Kid Fresino」をお聴きください。

角野:ということで、2週にわたってご登場いただきました、ドラマーの石若駿さんでした。ありがとうございました。

角野:最後に、角野隼斗からのお知らせです。昨年夏に開催された日本武道館公演のライブBlu-rayが、7月14日に発売されます。

そして、11月29日にはKアリーナ横浜にて「角野隼斗ピアノリサイタル クラシックアリーナ」が開催されます。ぜひチェックしていただけたら嬉しいです。

東京建物「Music of the Spheres」では、オリジナルステッカーを毎週5名の方にプレゼントしています。
「Across The Sky」のウェブサイト、右上の「Message to Studio」バナーから、角野隼斗へのメッセージや質問とともに、「ステッカー希望」と書いてご応募ください。

MUSIC SELECT
RUN feat. Kid Fresino / Answer to Remember

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