TOKYO TATEMONO
MUSIC OF THE SPHERES

ピアニスト、角野隼斗が音楽を通した様々な”出会い”を語る20分

TOKYO TATEMONO MUSIC OF THE SPHERES
2024.06.16
坂東祐大さん

ニューヨークを拠点に活動するピアニスト・角野隼斗が
音楽を通した様々な”出会い”をもとに選曲と語りをお届けする
「TOKYO TATEMONO MUSIC OF THE SPHERES」
前回に引き続き、坂東祐大さんをゲストにお迎えし、劇伴について語り合いました。

角野)
怪獣8号の音楽も担当されてて、
何曲か聞かせていただいたんですけど、今までと全然作風が違くて、
こんなこともできるんだと思いました。

坂東さん)
全然違うことやってみたいなと思って、
気づいたらあんなサウンドになってたという感じですね。

角野)
先週、映像の音楽には前から興味あったといってましたけど、
映像ならではの楽しさとか、難しさとかあるんですか。

坂東さん)
アニメーションの場合は。完成するまでが長いんですよ。
やっぱり作業自体は手前からやってなきゃいけないので。
それが結構わかんないんですよね。
割とラフな絵コンテみたいな状態から作曲を始めなきゃいけないので。
それは試されてる感じがありますね。

角野)
僕も実は最近1個だけやらせてもらったことがあって。
初めてやらせてもらって、大変だなって思ったのが、1、2秒とか前後することが
普通に起こりうる。
こうだと思って作ったものがちょっと伸びたり縮んだりするから、そういう難しさがあるなと。
大変なのを楽しむみたいなところがあるんですかね。

坂東さん)
怪獣8号に関して言うと、いわゆるアニメの普通の音楽の作り方のルーティーンを1から 見直して作ってみますっていうことを許してくれたプロダクションだったので、
チャレンジングではあった感じですね。
普通は、どのシーンにどういう風に曲を当てるか、どういう風に演出の意図を汲んで音楽をつけるかって、日本のシステムだと、別の選曲家の方に頼むのが通常ルーティーンなんですよね。
僕は、そういう風に作曲をできないので、ちゃんと計算して、ここにこうだみたいなやつをやらせてくれないとやらないっていうのを最初に言い切っちゃったんで、超大変なんですけど。

角野)
それは意味はありますね。とっても。

坂東さん)
音響的な意味で言うと、セリフと、効果と音楽をミックスするMAも普通はあんま立ち入らないんですけど、もうガンガン立ち入ってて。
というのも、今回、佐藤宏明さんと言う名エンジニアに音楽のミックスもMAのミックスもしてもらってるんですよ。
セリフと、効果と音楽が全部両立してるかっていうのを、音楽のミックスに近い形でやるっていう。

角野)
これはまた別の難しさがありそうですね。

坂東さん)
1話につきセリフだけでもすごい35時間とかかけてて、だから絶対聞き取りにくいってことは絶対にないです。
その上で音楽を映像用にミックスするっていう感じのことをやってて、
だからサウンドトラックで先行配信されてるものに関しては、あれ、もう1回ミックスし直してるんです。

角野)
理にかなってますね。
話聞いてみたいな。どういう発音の時にどういうミックスがいいのか。

坂東さん)
ほんとに理にかなってて、お話聞かせてもらうと音声言語学的な、音声学、そういう話になってきます。

角野)
英語と日本語の違いで1つ聞いたことがあるのは、英語は波形を見ても一定で、ずっと続いていく。日本語は1文字1文字を 発音していくから切れる部分が生じる。

坂東さん)
子音の数も違いますしね。
日本語の場合、子音と母音が1つずつセットだから。

角野)
作曲家っていう立場ですと、演奏家に弾いてもらうわけじゃないですか。
僕は即興の延長に作曲があったみたいな感じで、割と一体化してるんですけど、
演奏を自分が思ったように伝えるとか、楽譜にするとかって割と大変なことだよなって最近思います。

坂東さん)
ずっとその訓練ばっかしてきたって言うのはあるんですけど、
過不足なく楽譜に情報が書かれてるっていう上で、リハーサルでどれだけ良くしていくかみたいなのが染みつき過ぎてるっていうのはあるかもしれないですね。

クラシックの楽器に対しては、そういう訓練をすごくしてきたんですけど、ドラムとか、ギターとかベースラインとかが同じように書いたら、うまくいくかっていうと、全然そんなことなくて。
そこはやっぱりある程度、さじ加減があるなみたいなのは、最初わかんなかったんですけど、
やっとわかってくるようになったかなと言う感じです。

角野)
それこそ、怪獣8号だと、普通のクラシックの作品で楽譜書いて弾いてもらうっていう枠組みとは違うOSを使うことになりますよね。

坂東さん)
そうですね。
チャンネルを切り替えるみたいな感じですね。
角野さんバンドとかされてるじゃないですか。
ああいう時って楽譜とかどうするんですか。

角野)
基本的にはデモでやり取りをしています。
最終的にRECする時に コードの確認という意味合いぐらいかな。それでコード譜は書きますけど。ドラムが何やってるかドラムが決めるし、ベースが何やってるかも大体はベースが決めるし。

坂東さん)
音楽として全然違う感じじゃないですか。
普通なかなかそこって飛び越えるの難しいと思うんですけど、自然にされてるのかなって思って。

角野)
僕は小さい頃からそういうのが好きだったから、テレビで流れてたcmの曲を 自分で弾いてみるとか。それが自然にあって、それがクラシックの楽譜を見てそれを弾くっていう訓練とは別のところに存在していたような感じですね。

坂東さん)
ちょっと話ずれるんですけど、大学の作曲科にいるときにもしかしたらと思って、
レゴやってる人すげえ多いんじゃないかなと思って。
作曲の構造を組み立てるって結構レゴに近いものがあるって勝手に思ってて。
パーツがあって、なんとなく見本図みたいなとこあるじゃないですか。
でも自由に組み立てていいよみたいな。
聞いてみたんですよ。「レゴやってた人」って、そうしたら100%で。

角野)
レゴはそんなところにも影響を与えてるんですね。
レゴは僕もやってましたね。
近いので、アイロンビーズにはまってました。

***

「怪獣8号」のサウンドトラックが6月26日にリリースされます!

さらに、9月10日に東京オペラシティリサイタルホールで開催される
「B→C(ビートゥーシー) バッハからコンテンポラリーへ」で
長谷川将山さんに尺八ソロを書かれているそう!


***

番組からのお知らせ
「TOKYO TATEMONO MUSIC OF THE SPHERES」のステッカーが完成しました。
角野さんが手書きでデザインしたロゴが入ったステッカーになっています。

6/16日の放送では10名様にプレゼント。
欲しい!という方は
ACROSS THE SKYのwebサイト、
「MESSAGE TO STUDIO」から
角野さん へのメッセージや質問とともに
「ステッカー希望」と書いて、ご応募ください!

*当選者の発表は、
賞品の発送をもって代えさせていただきます。

BACK NUMBER