TOKYO TATEMONO
MUSIC OF THE SPHERES
ピアニスト、角野隼斗が音楽を通した様々な”出会い”を語る20分
3月15日の放送では、
小説家・朝井リョウさんとの
初対談の模様をお届けしました。
***
角野:今週は小説家の朝井リョウさんをお迎えしました。朝井さん、こんにちは。
朝井:こんにちは。よろしくお願いします。
角野:お忙しいところありがとうございます。
朝井:とんでもないです。
角野:いろんなメディアで拝見していますが、その金髪は最近ですか?
朝井:そうですね。昨年の夏ぐらいに染めました。
角野:かっこいいですね。
朝井:ありがとうございます(笑)
角野:ではまず、朝井さんのプロフィールから紹介させてください。
朝井さんは、1989年、岐阜県生まれ。
2009年、『桐島、部活やめるってよ』で、小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。
2013年には、『何者』で直木賞を受賞。
昨年出版された『生殖記』は、「キノベス!2025」の第1位に選出されました。
朝井:ありがとうございます。
角野:『桐島、部活やめるってよ』というタイトル、すごく印象的ですよね。
僕も最初は映画で知って、そのあと小説も読んだんですけど。
朝井:ありがとうございます。
あのタイトル、最近はいろんなところで転用していただけるようになっていて。
「〇〇、やめるってよ」みたいな感じで使われることが増えて、それはすごく嬉しいですね。
角野:小説を書くときって、どこから決まるんですか。結末からなのか、それともテーマからなのか。
朝井:そうですね。小説って、私にとってはちょっと珍しいメディアだと思っていて。
人の気持ちもそうですし、論理みたいなものも、すごく紆余曲折するものじゃないですか。
Aだと思ったらBになって、そこを経由してCに行ったり、Fに行ったり。
でも、そういう複雑な因果関係を一つの物体として世の中に送り出すことができるメディアって、
今は意外と少なくなっていると思うんです。
角野:なるほど。
朝井:今は短く切り抜かれて見られることが多いので。
そういう意味では、小説って、複雑な因果関係を丸ごと一つの形に閉じ込めて世の中に送り出せる。
だから私にとっては、すごく貴重なメディアだなと思っています。
例えば人と話しているときに、「今この話、ちゃんと説明したら一万字ぐらい必要だな」と思うことってありませんか。
角野:ありますね。
朝井:でもそれを説明し始めると会話が止まってしまうので、「難しい問題だよね」と言って流してしまう。
そういうトピックって誰にでもあると思うんですよ。
角野:うん、ありますね。
朝井:実はそういう話題って、自分の中ではすごく耕されているんですよね。
でも現実世界でアウトプットする適切なタイミングや場所がない。
角野:なるほど。
朝井:そういうときに、私にとって小説がすごくちょうどいいんです。
世の中では「いい」と思われていることにも暗がりがあるし、逆に「悪い」とされていることの中にも光があるかもしれない。
そういう、現実の会話だと止まってしまうようなことを、小説に任せるという感じですね。
角野:なるほど。「小説、お願い!」みたいな感じですね。
朝井:そうですね。「代弁している」と言われること
角野:ただ、その耕されたものをアウトプットできる人って、そんなに多くないと思うんですよ。
朝井さんが代わりに言ってくれている、みたいに感じることもあって。
朝井:本当ですか。
角野:人の気持ちの危機というか、そういうところへの着眼点がすごく多いんだろうなと思って読んでいます。
朝井:でも最近は「勝手に代弁するな」と言われることもありますよ。
角野:ああ(笑)
朝井:ある種、この世代の代表みたいに扱われることもあるんですよ。平成生まれ初の直木賞作家、みたいに。
角野:確かに。
朝井:冗談ですけど、次の次の元号ぐらいになったら「平成生まれ初の60歳」とか自分から言おうかなと思っています(笑)
角野:(笑)
朝井:そういう扱いをされると、「あいつに代弁されたくない」という声が出るのも分かるので。
自分としては代弁しているつもりはないんですけどね。
角野:Penthouseも聴いてくださっているそうですね。
朝井:そうなんです。ちょっと恥ずかしいんですが、メンバーの方が私のSNSをフォローしてくださっていて。
角野:あ、そうなんですね。
朝井:それがきっかけでちゃんと聴いたんです。そしたら「ちょっと待って、かっこよすぎるじゃん」と思って。
角野:嬉しいですね。
朝井:同世代で音楽をやっている人だったら、ちょっと悔しくなるレベルだと思いました。
***
角野:朝井さんは早稲田大学ですよね。
朝井:はい。
角野:大学在学中に小説家デビューされたんですよね。
朝井:そうです。
進学先を決めるときに、好きな小説家の堀江敏幸さんが早稲田の文学部にいらっしゃると知って。
角野:なるほど。
朝井:岐阜出身なので、作家って実在するのかな、みたいな距離感だったんですよ。
でも「ここに行けば会えるんだ」と思って、その学部を受験しました。
朝井:当時、小説家が世に出る方法って新人賞ぐらいしかなかったんですよ。
毎年1000作ぐらい応募があって、受賞は1〜2作。
角野:1000分の1ですね。
朝井:だから通るとは思っていなくて。
大学2年生のとき、駅のホームで知らない番号から電話がかかってきて出たら、「集英社です」と言われて。
「最終候補3作に残っています」と言われたんです。その瞬間、世界がカラフルに見えました。
角野:これからバイトなのに。
朝井:そうなんです(笑)。
***
角野
まだまだお話を伺いたいんですが、そろそろ時間となってしまいました。
お知らせがあればお願いします。
朝井:私は藤井隆さんの大ファンなんですが、藤井隆さんのファミリーコンサートが2026年も開催されます。
現在チケットの先行受付も始まっているので、ぜひ検索してみてください。
角野:朝井さんご自身のお知らせも(笑)
朝井:検索していただければ、何かしら出てくると思います。
角野:では僕から(笑)
昨年9月に発表された『イン・ザ・メガチャーチ』が日本経済新聞出版より発売中です。
朝井:ありがとうございます(笑)
角野:来週も引き続きご出演いただきます。よろしくお願いします。
朝井:よろしくお願いします。
***
角野隼斗がお届けしてきました、東京建物 MUSIC OF THE SPHERES。
毎週5名の方にオリジナルロゴ入りノートをプレゼントしています。
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「ノート希望」と書いてご応募ください。
来週もゲストに、小説家の朝井リョウさんをお迎えします。



