TOKYO TATEMONO
MUSIC OF THE SPHERES
ピアニスト、角野隼斗が音楽を通した様々な”出会い”を語る20分
12月14日の放送では、角野隼斗がエンディングテーマを手がけた
映画「ナイトフラワー」について語りました。
内田英治監督からメッセージも!
***
ただ今、ウィーンの空港にいまして、少々まわりがうるさいかもしれませんが、すみません。
今週は毎日ヨーロッパの別の国を転々としていまして、フランクフルトからイタリアのトリノ、そしてパリ、ウィーン、これからスイスのルガーノというところに向かう予定です。
朝は空港、夜はコンサート、みたいな生活ですね。
それはさておき、現在公開中の映画『ナイトフラワー』のエンディングテーマ「Spring Lullaby?」を書き下ろしました。
これは『ミッドナイトスワン』でおなじみの内田英治さんの最新作で、借金取りに追われる母親が、娘たちの夢を叶えるために危険な世界へと足を踏み入れていく姿をスリリングに描いた作品です。
そんなメッセージ性の強い映画なんですが、なんと今回、
そんな内田英治さんから、この番組宛てにメッセージを寄せていただいています。聞いてみましょう。
内田英治監督)
角野隼斗さん、J-WAVEをお聴きの皆さん、こんにちは。
映画監督の内田英治です。
今回私が監督しました、現在公開中の映画『ナイトフラワー』のエンディングテーマを角野さんにご担当いただきました。本当にありがとうございます。
角野さんとはですね、前作『サイレント・ラブ』という映画で、久石譲さんが手がけた音楽に角野さんがピアノ演奏で参加されていたのが最初の出会いでした。
その時に久石さんが、「すごいやつがいるんだよ、ニューヨークに」って紹介してくださって、お会いしたのが角野さんでした。
初対面で、なんて爽やかな方なんだろうと思ったんですが、ひとたびピアノの前に座ると、ガラッと雰囲気が変わるのが印象的でした。
そこから何年かして、今回『ナイトフラワー』を作るにあたって、あの時の角野さんのピアノを思い出して、オリジナルで書いていただけないかとプロデューサー陣に相談し、今回に至りました。
打ち合わせの中でも、角野さんがとても真摯にいろいろ質問してくださって、そこから少しずつ曲作りに入っていった印象があります。
完成した曲を聴いた最初の感想は、「これはもう映画そのものだな」というものでした。
2時間の物語を1曲の音楽に落とし込んでいて、変調する部分や人間の感情の揺れがとても繊細に、ピアノで描かれている。
もうひとつの映画なんじゃないかと思うくらい、感動しました。
***
内田さん、メッセージありがとうございました。
そうですね。初めての出会いはおっしゃる通り『サイレント・ラブ』で、久石譲さんが手がける音楽に、僕がピアノ演奏で参加させていただいたのがきっかけでした。
『ナイトフラワー』のお話をいただいたのは今年の初め頃だったと思います。映画を送っていただいて、それを観て曲作りを始めたんですが、観終わったあと、感情がどこに向かっているのか自分でも分からないような、心を大きく揺り動かされる作品だと感じました。
その“心の着地点”を見つけるために、このエンディングテーマが必要なんだろうと解釈して、「Spring Lullaby?」という曲を書かせていただきました。
先々週くらいに映画館でも改めて観ましたが、本当に感動しましたし、皆さんの演技が迫真で、引き込まれるシーンばかりでした。
その最後に自分の音楽が流れるというのは、本当に光栄なことだなと思っています。
***
11月29日にKアリーナ横浜で開催したピアノリサイタル「Klassik Arena」。
ご来場くださった皆さま、ありがとうございました。
1万8500人のオーディエンスの皆さんと、これまでに経験したことのない規模のコンサートを行うことができました。
なんとこれが、屋内のソロピアノリサイタルとして、販売チケット枚数最多となり、ギネス世界記録にも認定されました。本当にありがとうございます。
演出を担当してくださったライゾマティクスの真鍋大度さんにも先週この番組に来ていただきましたが、これだけ特別な空間なので、何か特別な試みをしたいと思っていました。
アリーナでのピアノリサイタル、派手に盛り上げるわけにもいかない中で、「自分が弾いた音がそのままビジュアルとして立ち上がったら面白いんじゃないか」と思ったのが始まりでした。
幸運なことにライゾマティクスにお願いすることができて、今回のコンサートが実現しました。
自分の頭の中にあったイメージや景色が、音楽とともに視覚化される体験は、本当に刺激的でした。
プリペアド・ピアノも使いました。ピアノの弦の間に物を挟んで音を変える奏法ですね。
普通のグランドピアノの横に置いて使ったりして、とにかく楽しかったです。
その音楽を静寂の中で聴いてくださった1万8500人の皆さんに、心から感謝しています。
昨日はウィーンのコンツェルトハウスでコンサートがあり、明日はスイスのルガーノへ向かいます。
ウィーンはやはり特別な雰囲気の街で、歴史や芸術が醸し出す空気感に魅了されました。
今回は20時間ほどの滞在でしたが、5月にも行く予定なので、次はゆっくり街を回れたらいいなと思っています。
今日の番組のテーマがクリスマスということで、僕のクリスマスの思い出をひとつ。
小学生の頃、サンタクロースが毎年来ていたんですが、欲しいものがあまり思いつかず、結構お任せしていたんです。
ある年はおもちゃ、ある年は図鑑、といろいろもらいました。
小学5年生くらいの時、親に「サンタさんに何欲しいの?」と聞かれて、「現金」と答えたら、「それはやめた方がいいんじゃない?」と言われて、「じゃあ図書券で」と言ったんですね。
すると本当に図書券が届いたんですが、その次の年からサンタさんは来なくなりました。
そんな苦い思い出があります(笑)。
***
角野隼斗がお届けしてきました「TOKYO TATEMONO MUSIC OF THE SPHERES」、そろそろお時間です。
最後にお知らせです。
来年1月21日にニューアルバム『CHOPIN ORBIT』をリリースします。
全国ツアー2026 Chopin Orbitも、2月1日からスタートします。
チケットの一般発売は12月13日から。多くの会場はソールドアウトとなっていますが、まだ購入できる公演もありますので、ぜひチェックしてみてください。



