WORLD CONNECTION
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6月21日の放送では、
北欧ジャーナリスト・エッセイストの森百合子さんに
北欧の夏至の習慣や最近のカルチャー事情を伺いました!
小川:さあ、今日は「夏至」ということで、一年の中で昼間が最も長い日です。
私の中で夏至といえば、やっぱり北欧かなと思っています。
映画『ミッドサマー』の印象に引っ張られている部分もあるんですけど、
北欧の人たちは長く暗い冬を過ごしているので、
日が出ている時期の喜びは特別なんだろうなと思うんですよね。
その中でも、一番昼が長い夏至は最も重要なイベントの一つ。
今日はそんな夏至のお話や、北欧カルチャーの最新事情にフォーカスしたいと思います。
スタジオには、北欧の暮らしや映画について取材・執筆をされている森百合子さんをお迎えしました。
よろしくお願いします。
森:よろしくお願いします。
小川:スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、アイスランドなど、
北欧の国々をたくさん取材されていると思いますが、現地にとって夏至とはどんなものなんですか?
森:そうですね。やっぱり一年で最も明るい時期ですし、暗い冬の後に明るい夏がやってくるということで、喜びを祝う季節という感じがしますね。
小川:そうですよね。映画などで見ると、花を飾ってみんなで踊って、本当にお祭りというイメージがあります。実際にはどんな風に祝われているんですか?
森:夏至祭と聞いてまず思い浮かぶのは、やっぱり『ミッドサマー』ですね。
あれはスウェーデンが舞台なんですが、実際にああいう大きなお祝いをするんです。
「メイポール」と呼ばれる葉っぱで覆われた大きな柱を立てて、その周りで歌ったり踊ったりします。
映画に出てくるような光景は本当にあるんですよ。
小川:へえ。
森:それから夏至になると、新じゃがやいちごが旬を迎えます。
北欧の人たちにとって初夏から夏の味覚ですね。夏至祭の食卓には、
新じゃが、いちご、そしてニシンが欠かせません。
小川:いいですね。見た目も華やかですし、踊りもあって、食も楽しめる。本当に夏を満喫するイベントなんですね。
ちなみに今日のストックホルムですが、日の出が午前3時半、日の入りが午後10時8分。
日照時間はなんと約18時間半です。
森さんは、この時期に現地へ行かれたことはありますか?
森:あります。私が最初に北欧を旅したのは2005年の7月なんですが、
まさに日がなかなか沈まない時期でした。
ストックホルムやヘルシンキに滞在していたんですけど、夜10時、11時になってもまだ明るいんです。
街の人たちもずっと飲んだり楽しんだりしていて。
小川:確かに、時間は夜だと分かっていても、明るいと活動できそうな気がしてしまいますよね。
森:そうなんです。旅行者としても、日が長いといろいろ見て回れるので楽しいんですけど、現地の人たちのペースに合わせていると体力が削られます(笑)。
小川:現地の人たちは平気なんですかね?
森:きっと冬にたくさん寝て、夏は寝るのが惜しいんじゃないでしょうか。特に若い人たちはそんな感じに見えますね。
小川:日本でもこの時期は朝早く目が覚めたりしますけど、北欧だとちゃんと眠れるのかなって心配になります。
森:最初に行った時、大きなホテルには必ず遮光カーテンが付いていて、閉めると真っ暗になるんです。
でも一度、フィンランドからスウェーデンへ向かう船旅をしたことがあって。
夕方5時に出発して、船内で一泊して翌朝ストックホルムに着くルートだったんですが、
せっかくだから窓付きの部屋を取ったんです。
小川:はい。
森:ところが明るすぎて眠れないんですよ(笑)。
小川:船だと揺れますしね。
森:そうなんです。揺れるし、ふと目が覚めてもずっと明るいし。なかなか疲れが取れなくて。
『ミッドサマー』のキャッチコピーに「明るいのに恐ろしい」とありましたけど、ちょっとその感覚を味わいましたね。
小川:逆に冬の暗い時期はどうなんですか?
森:あります。最近も2月にノルウェーへ行きましたし、クリスマスシーズンに取材したこともあります。
今度は本当に太陽がなかなか昇らないんです。朝10時くらいになってようやく明るくなって、お昼前にしっかり日が昇る感じですね。
小川:そうなんですね。
森:そして3時、4時にはもう暗くなってしまう。朝8時に起きても真っ暗です。
小川:なかなか活動モードになれなさそうですね。
森:現地の子どもたちは真っ暗な中を通学していますし、大人も通勤しています。本当にすごいなと思います。
小川:夏至祭のイメージが強いですが、他に夏ならではのイベントで印象に残っているものはありますか?
森:あります。ストックホルムから車で2時間ほどのところに、ヘラングという小さな町があるんですが、そこで7月の1か月間、「スイングダンス」のイベントが開かれるんです。
小川:1か月間ですか!?
森:はい。1週間ごとにレベルが変わっていって、日中はワークショップ、夜はパーティー。まさに踊り三昧です。
小川:ゲームみたいですね(笑)。
森:私はもともとスイングダンスをやっていて、スウェーデンには上手なダンサーが多いので、現地で参加したいと思ったのが北欧に興味を持った大きなきっかけでした。
小川:ダンスが入口だったんですね。
森:そうなんです。デザインも好きでしたが、ダンスはかなり大きな目的でした。
2回目の北欧旅行では、その1週間のダンス合宿にも参加しました。本当にみなさん夜通し踊るんですよ。
小川:トランス状態になりそうですね。
森:そうなんです。日も沈まないし、自然もきれいだし、憧れの先生もいるしで最初は盛り上がるんですが、海外から来た参加者はだんだん体力が持たなくなって、バタバタ倒れていくんです(笑)。
小川:なんだか『ミッドサマー』みたいな世界観ですね。
でも私も、いつか夏至の時期の北欧に行ってみたいなと改めて思いました。
〜〜〜〜〜
小川:森さん、つい最近も北欧に行かれたそうですね。いつ頃、どちらへ行かれたんですか?
森:5月の終わりから6月上旬にかけてですね。ここ数年、毎年北欧の街を巡るツアーを企画していて、
私も同行してご案内しているんです。今年はスウェーデンの小さな街を巡る旅ということで行ってきました。
小川:どんな街を巡られたんですか?
森:まず最初はスウェーデン第3の都市、マルメです。ここはお隣のデンマークの首都コペンハーゲンから電車で30分ほどで行ける街なんです。
そこからルンドという大学都市へ行きました。歴史ある建物が残る、とても美しい街です。その後はヘルシンボリへ。ここはデンマークとの距離がとても近くて、対岸までわずか4キロほどなんですよ。
小川:近いですね。
森:本当に泳いで行けそうなくらいで(笑)。デンマークがすぐ目の前に見えるんです。
その後は森の中のカフェを訪ねたりしながら、第2の都市ヨーテボリへ向かいました。
そこで毎年5月末に開催される「メガロッピス」というイベントに行ったんです。
小川:メガロッピス?
森:はい。「ロッピス」が蚤の市という意味で、「メガロッピス」は直訳すると「巨大な蚤の市」です。
小川:へえ。
森:本当に街全体を使った大規模なイベントで、東京で例えるなら六本木から広尾、恵比寿あたりまで全部使っているような規模感ですね。
小川:それは楽しそうです。
森:基本的には、そのエリアに住んでいる方々が家の前で不用品やコレクションを販売しているんです。
小川:いいですね。
森:私、もう4回くらい通っているんですけど、毎回会うおじさんがいるんですよ(笑)。
小川:すごい(笑)。
森:「この家に住んでるんだよ」って家の中まで見せてもらったこともあります。
私がヴィンテージの食器や置物が好きなので、「見ていく?」なんて声をかけてくれて。
小川:フレンドリーですね。
森:そういうローカルな雰囲気が、このイベントの魅力ですね。
小川:本当に一期一会の出会いがありそうです。
森:そうですね。北欧は1950年代から70年代にかけて、食器やテキスタイル、
家具のデザインがとても華やかだったので、その時代のものが好きな方には掘り出し物もたくさんあります。
小川:森さんのお宅の写真なども拝見したことがありますが、照明やインテリアなど、
現地で見つけてきたものがたくさんありますよね。
森:そうなんです。有名ブランドのものじゃなくても味わいがありますし、
「あのおじさんから買ったな」とか、その時の思い出も一緒に残るので、やっぱり特別ですね。
小川:それだけ街を挙げて蚤の市ができるというのは、物を大切に使う文化が根付いているからなんでしょうか。
森:そう思います。北欧ではもともと蚤の市文化が盛んですし、5月末から9月頃までは各地で開催されています。
もちろん掘り出し物探しも楽しいんですが、
その根底には「循環型社会を目指したい」という考え方があります。
実はメガロッピスでは、イベント終了前になると市内のリサイクルショップが
大きなトラックでやって来るんです。
小川:へえ。
森:売れ残ったものをその場で寄付できる仕組みになっていて、出店した人が持ち帰らなくてもいいんです。
小川:すごいですね。ちゃんとシステムとして成立しているんですね。
森:本当にそう思います。
小川:蚤の市以外でも、暮らしの中で環境意識の高さを感じることはありますか?
森:今回の旅で印象的だったのがホテルの朝食会場でした。
ビュッフェ形式だったんですが、「好きなだけ食べてください。
でも地球に負担をかけない形で楽しみましょう」というメッセージが掲示されていたんです。
小川:へえ。
森:さらに、「昨日は12キロの食品廃棄が出てしまいました。今日はもっと減らせるといいですね」と書かれていて。
小川:なるほど。
森:そう言われると、ついあれもこれも取りたくなるビュッフェでも
「ちゃんと食べ切れる量にしよう」と思いますよね。
小川:確かに。ちょっとした言葉でも意識が変わりますね。
森:そうなんです。
あと、私がよく泊めてもらうコペンハーゲンの友人がいるんですが、80代の女性なんです。
もともと豚肉が大好きな方なんですが、「最近は肉を減らしているの。特に牛肉は控えるようにしている」と話していました。
小川:へえ。
森:「これだけ言われたら、さすがに考えるわよ」と。
どういうことか聞くと、ニュースやテレビ番組で環境負荷や気候変動について日常的に取り上げられていて、「今年の夏はなぜこんなに暑いのでしょう」といった形で、常に問題意識が共有されているそうなんです。
小川:メディアの伝え方も違うんですね。
ただ「暑いですね」ではなく、「なぜこうなっているのか」「私たちに何ができるのか」というところまで考えさせてくれる。
森:そうですね。
小川:日本でも暑さ対策はもちろん大事ですが、その原因や背景を考える機会がもっと増えるといいなと思いました。
ありがとうございます。
森さんは『探しものは北欧で』、『待ち合わせは北欧で』など、北欧にまつわる書籍も出版されていますので、ぜひ皆さん手に取ってみてください。
最後に、まだ北欧へ行ったことがない方へ向けて、おすすめの楽しみ方を教えていただけますか?
森:そうですね。最初の旅はやっぱり明るい季節がおすすめです。
ただ、夏至の時期はお店が休みになることも多いので、そこだけは日程に気を付けた方がいいかもしれません。
私は街歩きが大好きなんですが、コーヒーショップに入るだけでも素敵なインテリアや食器に出会えますし、蚤の市では地元の暮らしや人々の雰囲気を感じられます。
最近は洋服もたくさん出品されているので、おしゃれが好きな方は古着探しも楽しいと思います。
小川:いいですね。今日お話を伺って、「メガロッピス」には絶対に行ってみたいと思いました。
森:ぜひぜひ。
小川:今日は北欧ジャーナリスト、エッセイストの森百合子さんにお話を伺いました。ありがとうございました。
森:ありがとうございました。

