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2026.03.01
3月1日の放送では、 アカデミー賞の新部門「キャスティング」に注目!

世界的大ヒットドラマ「SHOGUN 将軍」で
キャスティングディレクターを努めた、川村恵(ケイ)さんにお話伺いました。

小川:今月控えているビッグイベントといえば、第98回アカデミー賞です。
アメリカ時間では3月15日、日本では16日に行われます。
注目作も多い中、今回のアカデミー賞では「キャスティング賞」という新たな部門が設けられました。映画やドラマのエンドロールで「キャスティング」という肩書きを目にすることはあっても、その仕事に注目したことがある方は意外と少ないのではないでしょうか。今日は、その「キャスティング」という仕事に焦点を当てていきたいと思います。ゲストは、ドラマ『SHOGUN 将軍』で日本人俳優のキャスティングを担当し、日本人として初めてエミー賞®キャスティング賞を受賞された、キャスティングディレクターの川村恵さんです。よろしくお願いします。

川村:よろしくお願いします。

小川:まずは、川村さんがこのキャスティングという仕事にたどり着いた経緯から教えてください。

川村:大学卒業後、電通のグループ会社に入社し、さまざまな部署を経験しました。その中で最も長く携わったのが雑誌メディアの部署です。そこで多くのエンタテインメント関係者と知り合い、自然とネットワークが広がっていきました。その後、2003年に電通キャスティングアンドエンタテインメントに移り、約22年間キャスティングの仕事に携わってきました。現在は業務委託という形で関わっています。

小川:改めて、キャスティングとはどのようなお仕事なのでしょうか?

川村:映画やドラマに登場する役柄に対して、どの俳優がふさわしいかを決めていく仕事です。配役を決めることが主な役割になります。

小川:企画段階から関わることもあるんですか?

川村:ケースバイケースですが、私の場合は企画の初期段階から監督やプロデューサーと話し合い、主演を決めるところから関わることが多いです。一方で、主演が決まってから参加する場合もあります。

小川:『SHOGUN将軍』のような海外作品では、キャスティングの進め方も違うのでしょうか?

川村:海外作品では、基本的にすべてオーディションから始まります。日本人キャストを探す段階で声がかかり、正式に制作が決まった状態で参加することが多いですね。

小川:脚本を読んだ後、どのようにキャスティングが進んでいくのでしょうか?

川村:まず監督やプロデューサーと話し合いながら、主演にふさわしい俳優を候補として絞り込み、交渉を始めます。特に日本映画では、主演が決まらないと作品自体が成立しないケースが多いため、最初に行う最も重要な仕事です。主演が決まり制作が正式に動き出したら、次に他の役を一つひとつ組み立てていきます。

小川:『SHOGUN将軍』では、言語的な条件も含め、難しいキャスティングだったのでは?

川村:はい。すべての役をオーディションで決めました。特にヒロイン役は、日本語と英語の両方が話せることに加え、作品を背負う魅力が求められました。世界中でオーディションを行い、時間も非常にかかりました。

小川:オンラインオーディションの普及も大きかったですか?

川村:そうですね。セルフテープ形式で世界中から参加できるようになり、俳優にとっても作品側にとっても可能性が大きく広がりました。

小川:川村さんがキャスティングで心がけていることは?

川村:まず脚本を読んだ段階で、自分の中に役の明確なイメージを持つことです。その上で、監督やプロデューサーと方向性をすり合わせていきます。また、日本ではオファー中心のキャスティングが多いため、なるべく新しい才能を提案することを意識しています。海外作品では特に、先入観を持たずに俳優を見ることを大切にしています。責任のある仕事なので、自分の目を信じつつ、演技力だけでなく、役や作品にどう向き合おうとしているかも含めて見ています。

小川:特に印象に残っている出来事はありますか?

川村:エミー賞授賞式のステージで、アメリカのキャスティングディレクターがトロフィーを私に持たせてくれて「みんなの真ん中に立ってください」と言ってくださったことです。キャスティング人生で一番嬉しい瞬間でした。

小川:アカデミー賞でのキャスティング賞の新設について、どう感じていますか?

川村:長い歴史の中でようやく実現した快挙だと思います。キャスティングという仕事が、より多くの人に認知されることを願っています。

小川:今日は貴重なお話をありがとうございました。

川村:ありがとうございました。

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