CASE FILE
講談社
2 0 1 7 0 3 2 3
「貧血から、どんな病気が考えられるのか?」(お話:東北大学 血液免疫病学分野 血液内科 専門医の加藤浩貴さん)

貧血の原因となる病気は非常に多岐にわたります。
その原因は、赤血球の産生の障害、破壊の亢進、失血の主に3つに分類する事が出来ます。
貧血がひどくなると、血液の酸素運搬能が低下し、体中の細胞に十分な酸素供給ができなくなり、
ひいては命に関わることもあります。通常そこまで重症化する前に、
めまいや動機、労作時の息切れ、手足のむくみなどの症状が出てくることが多いです。
もちろん放っておいてはよくありません。
鉄やビタミンなどの不足であれば補充する事で改善する事が出来ますし、
逆に栄養素の不足以外による貧血の場合は何らかの血液の病気が関与している可能性が有る為、
しっかりと原因を診断する必要があります。
また、例えば鉄欠乏性貧血と診断された場合にも、貧血自体は鉄剤の補充で改善する事が多いですが、
なぜ鉄欠乏になってしまったのかしっかりと原因を究明する事が大切です。
つまり、鉄欠乏の原因の多くは慢性的な出血によるものと考えられますから、
生理出血が多くなってしまうような婦人科的な疾患がないか?ですとか、
消化管からの出血が起こるような消化器科的な疾患がないか?など十分に検討する必要があります。
消化管からの出血がある場合には便の色が黒くなる、
いわゆる黒色便が認められることがありますのでその様な変化も重要な所見になります。
その他の貧血としては、免疫学的な機序などにより骨髄の血液細胞の産生が低下してしまう再生不良性貧血、
同じく免疫学的な機序で自分の赤血球に対する抗体が産生されて赤血球が破壊されてしまう自己免疫性溶血性貧血、
白血病やリンパ腫などの血液のがんなど、実に様々な原因が考えられます。
それぞれの病態に応じて、その後の経過や治療法は大きく異なりますので、
しっかりと原因を診断していく事が重要です。しかし、実際の臨床現場では、
精密検査を行っても原因が分からない貧血や治療が難しい貧血も未だに多く存在します。
そういった病態の解明の為には今後もさらなる研究が必要であると考えています。