++ Introduction ++

昨年末、新刊
「とげとげしい言葉の正体はさびしさ
--5000人のカウンセリング経験から得た精神科医の知見」を上梓された
精神科医の精神科医の名越康文さん。
ですがこの本の著者名は、『精神科医 N』とされています。

『自分の本の宣伝をするのって本当に苦手なんです。
僕は今しかない人間なので。
ところが「精神科医 N」だから
こいつは元気がないから応援してあげようっていう感じで
割とプッシュしやすいです。
と言っても１０何年SNSをやっていて
その中で一番自分のアイデンティティを持てないというか
これ自分が書いたんだろうか？というのをセレクトしているんですよ。
僕は週に3回くらい絶望するんです。
その時って自分では言葉を紡げない時に
フッと斜め後方から言葉が祈りに応えて来てくれるんですよ。
それを書いているので、半分は自分を救うための言葉なんでしょうね。』

これまでのSNSでの言葉をセレクトして書かれたこの本ですが
実際に、この本を書かれるときに言葉の意図を伝わりやすくするために
名越さんが心掛けたのは「でも〜」という言葉を相手から引き出すこと。

対話をするときに
『「僕の主観だけどね」みたいなことを言う。
それは自己擁護のように使っていたんだけど
それをいうと相手に余裕が生まれて
「でも〜のような場合は？」というように持論を言えるようになるんです。
そしたら正解に近づけるみたいな。』



++ Until now ++

現在、精神科医としてお仕事をされている名越さんですが
ご本人は「他になるものがなかったから」とお話しされていました。
漫画家や会社員も考えられたようですが
ご自身の性格上難しいと思い、
ご家族が医師の家系だったこともあり、
医学の道へ進むため大学へ。
しかしそこでも医学に興味を持てなかったとのこと。

大学を辞め、ミュージシャンになろうと親御さんに話したところ
「医学部だけは卒業してほしい」と土下座してお願いされたそう。
なんとか頑張って卒業まで通い続けましたが
卒業後についてまだ悩んでいたところに
同級生から精神科医の野田俊作先生の
カウンセリング現場の見学に誘ってもらい
不登校で悩んでいる女の子のカウンセリングを見学。
たった40分ほどのカウンセリングで
女の子の表情が明るく。
そんな現場を見て精神科医の道へ進むことを決意されたそう。

人生の中で救いになった言葉は
大学時代に凹んでいた時に出会った
イスラム教のスーフィズムについて書かれた宗教本の中に
書かれていた「これもまた過ぎ去る」という言葉。
その宗教書に書かれた逸話ではピンチの時に、
その言葉を見て落ち着きを取り戻しピンチを免れ
凱旋することができたという話だったそう。

『そうか、今、最悪だけど最悪も過ぎ去るんだと。
どこかで変化が起こってきて
例えば30日我慢してやり過ごしたら
何か光が見えるかもしれないと。
そしたら僕の人生の中で
本当に最悪なことが何回もあったんですけど
30日経つと何かの光が見えます。』

++ Right now ++

音楽好きの名越さん、学生時代は大学を辞めて
ミュージシャンになりたいと考えていた当時、
音楽を学ぶため
ジャズスクールへ入れられていたそう。
今でもロックはもちろんのこと、ジャズもお好きなんだとか。
特に60年代〜70年代の音楽をよく聴くとのこと。

現在、THE BARDIC BANDというバンドで音楽活動もされている名越さん、
ボーカルと作詞作曲を担当されており
ライブをしたり、オリジナル曲も制作されているとか。
次のセカンドアルバムのリリースに向け、現在制作中とのこと。



++ From now on ++

空海の生誕1250年を記念して
4月13日〜6月9日に奈良国立博物館で
「空海　KŪKAI ―密教のルーツとマンダラ世界」
という展覧会が開催されます。

『僕もこの展覧会にいろんな形で絡ませていただくので
ぜひ全国からこの空海展に来ていただきたいと思います。
空海に関わらせていただいて光栄です！』

精神科医としてグループ療法もされている名越さん。
合宿で瞑想やダンスや、カウンセリングを行っているそう。
最近は忙しくできていないとのことなので
今年はそういったグループ療法をしたいと考えているとのこと。

さらに今年考えていることとしては名越さんのバンド
THE BARDIC BANDのセカンドアルバムのリリース。
今、候補曲が5曲ほどなのでさらに制作を進め
夏くらいまでには完成させたいそう。