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STORY

2024.01.20

文筆家の井川直子さん


++ Introduction ++

コロナ禍での連載「#何が正解なのかわからない」が話題となった
文筆家の井川直子さん。
井川さんは現在、
「ナポリピッツァ」と「日本のローカル」に注目されており
昨年、書籍『ピッツァ職人』を出版されました。
12年の歳月をかけて追い続けた、ピッツァ職人たちのノンフィクション。
中でもピッツェリアGGの中村拓巳さんには
東日本大震災後、雑誌のピッツェリア特集で初めて取材した際に
中村さんのピッツァを食べ衝撃を受けたことから
12年追いかけ始めたとのこと。

『何人かピッツァをテーマに取材を続けてきたこともあったんですが
食べたことのない雰囲気を纏ったピッツァ。
ネイティブなイタリア語を話す人みたいな。
日本人が話そうとしている丁寧なイタリア語ではなくって
感情のままに出てくるようなイタリア語のようなピッツァ。』

中村さんの取材をするようになってから
日本のナポリピッツァの歴史にもハマってしまったそう。
さらに中村さんが影響を受けた先輩の話など・・・
積み重なり今作に。

ピッツァが日本に入ってきた当時は
本場イタリアではピッツァは大衆食として
300円〜500円ほどの価格で食べられたものも
日本では2000円ほどの値段になり
少しお高めのワインと一緒に楽しむという形でしたが
現在は日本のピッツァのあり方も本場に近いものにするべきだ
という考え方になってきているようです。

『やっぱり材料費とかが輸入ではかかるので
難しいところではあるんですが。
この主人公のピッツェリアGGも「大衆のピッツァ」を掲げた
若者3人で始めたお店なんですけども
他にもなるべく量を捌いて、安く、
ナポリの大衆のピッツァにというお店も増えてきたと思います。』

ピッツァ職人は専門職であり
一枚一枚のピッツァにそれぞれの味がある。
そういったピッツァに日々向き合うピッツァ職人に魅力を感じていると
井川さんはお話ししてくださいました。



++ Until now ++

大人になってからもやりたいことが分からない中
仕事をされていましたが日々、「やりたいこと」を模索していたそう。

そんな時にある日、イタリアを旅で
日本人観光客がいない田舎町を訪れた際、
トラットリアを入った時に日本人のコックさんが働いていたそう。
そのお店の厨房では修行しにイタリアへ来た
日本人のコックが多く在籍されていました。

言葉もわからないまま、日本人もいないようなところに
やりたいことのために来ている人がいるという事実に
これまで「やりたいこと」がなかった井川さんはショックを受けたそう。
そこで井川さんは、この日本人コックたちに話を聞いたら
自分が変われると思い、
翌年、イタリアで修業する日本人コック24人に取材を始められました。
中には10万円だけもってイタリアへ修行に来た人や
無休で働いている人、
隣町へフラッと来るような感じで紙袋とリュックだけもって
イタリアに修行しに来た人など、さまざまな方にインタビュー。
インタビューで聞いた言葉を自分に言い聞かせるようにしていたそう。

中でも、現在は神戸「カ・セント」でオーナーシェフされている
福本伸也さんが語った「動かなあかん!」という言葉には
心を打たれたとのこと。

『彼がまだ何者でもない時、ミラノで修行されていて
イジメとか人種差別とかいろんなことがあって、
辞めて出てきちゃって
自分では逃げ出したと思っていたんですよね。
すごく落ち込んでドン底の時に「動かなあかん!」
と思ったらしいんですよ。
そんな落ち込んでいる時に動くんだと思ったんですけど
彼の立場になって考えてみると
落ち込んでいることすら贅沢だったんだろうなと思うんですよね。
クヨクヨしている時間が勿体無いって。
だから私も落ち込んだ時には
「動かなあかん!」っていうのを思っています。』

取材を始めてから「やりたいこと」の捉え方も変わったそう。

『やりたいことってすごく遠くの大目標だと思っていたんですよね。
でもピッツァ職人の中村さんも
最初の一歩は「こっちなのかな?」という小さい気づきから
踏み出した一歩の先にピッツァがあったので
歩き出したら風が吹くというか
大きい目標を考えると今でも足がすくんでしまうんですが
例えば「この人に話を聞きたい」とか「ここに興味がある」とか
目の前のことならやりたいことって見つかるんですよね。
それがやっとわかりました。』

++ Right now ++

オフの時間は午後3時頃にふわっと飲む活動「おやつ飲み」に
ハマっているとのこと。
お蕎麦屋さんでお酒を楽しむときもあれば、
洋食と一緒に楽しまれることも。
井川さんのオススメは神保町にある老舗洋食屋
ビヤホール ランチョン。

『通し営業で
ランチもすごい人気ですし、夜もみんなビールを飲みにくるので
ランチョンさんの3〜4時くらいはすごくオススメです。
洋食もすごく素晴らしくて、誠実な洋食なので。』

明治42年創業の老舗のお店であり
代々、ビールを注ぐのは当主だけと決まっているそう。
洋食もビールも魅力的なお店なんだとか。



++ From now on ++

食の雑誌「dancyu」で「東京で十年。」という連載をされている井川さん。
この連載は今年で10周年を迎えるそうです。

そしてDEAN & DELUCAのウェブサイト『Enjoy good Food』では、
「僕らの新しいローカリズム」を連載中。
これまでは食から文化や社会などを
都市部のレストランが引っ張って発信する流れでしたが
今、地方のレストランや作り手が地域の歴史や食文化を発信していく
「ローカルガストロノミー」なる言葉が生まれ、日本の地方が注目されています。
井川さんの連載「僕らの新しいローカリズム」では
そんな日本の地方(ローカル)で起こっている
面白い動きを紹介する連載になっています。第一回目は函館編。

『函館はワイナリーの農楽蔵さんですとか
レストランColz、山田農場 チーズ工房など
食の作り手たちが共感でつながりながら
食を盛り上げているっていう動きがあります。
今でこそ「ローカルガストロノミー」と言われていますけども
ちょっと前までは食の先駆者たちって
1人で孤軍奮闘している時代があったんですよね。
今はそうじゃなくて食に拘らず二拠点生活をする人も増えています。
だから都市と緩く繋がりながら、行ったり来たりしながら
地方の食を盛り上げるっていう新しいうねりとか
あと共感できる仲間がいるっていうコミュニティで食を盛り上げるっていう。』

最後に井川さんご自身の活動を通して伝えていきたいことを伺いました。

『私が取材相手から言葉をもらって歩いてこられたように、
必要な人へ、必要な言葉が届くといいなと思いながら、
毎回、本や雑誌の記事は世の中に送り出しています。』

ON AIR LIST

  • YOUR LOVE IS KING / SADE
  • WAIT FOR ME / DARYL HALL AND JOHN OATES
  • SO MANY SIDES OF YOU / BOBBY WOMACK
  • LOVESICK / LAUFEY

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