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STORY

2024.01.13

現代美術家の舘鼻則孝さん


++ Introduction ++

昨年末完成した、埼玉県吉川市にある
バスケットボールのリノベーション・コートのアートワークを担当された
現代美術家の舘鼻則孝さん。

アートを活用してバスケットボールコートをリノベーションする、
アメリカの慈善事業団体「プロジェクト・バックボード」との
アップサイクルなプロジェクト。
コートの床にヨコ34メートル、タテ17メートルという
舘鼻さんによる巨大絵画が描かれています。
このプロジェクトが舘鼻さん自身にとって、
最も大きな絵画作品であり、初めてのパブリックアートだったそう。

今回のデザインにはどういった思いが込められているのか・・・

『真ん中に太陽が描かれているような図案なんですけども
やっぱり外のバスケットコートだったので
実際にプレーをしている人たちの意見を聞くと
雨が降ったらできないので、
だからこそ普段から晴れてほしいということを思っている
ということをおっしゃっていて。
そういう話を聞いたときに
普段は雷と雲の図案を使って絵を描いているんですけども
そこに初めて太陽を入れたんですよね。』

バスケットボールが盛んなアメリカでは
屋外のコートも多数ある中で
やはりある程度、時間が経つとコートが劣化して
荒れてきてしまうそう。
そんな中で今回のようなプロジェクトで塗装することによって
コーティングされ、コートが長持ちする効果もあるとか。



++ Until now ++

自然に囲まれた場所で育ったため
昆虫や生き物がとても好きで、野山を駆け巡っていたそう。
もの作りに興味を持つようになったのは、
シュタイナー教育のウォルドルフ人形の
人形作家と講師をされていたお母様の影響で
ものづくりには幼い頃から関心があったとのこと。
今のお仕事もその頃の経験の延長線上にあるのかもしれないと
お話ししてくださました。

現在は日本の伝統文化などからインスピレーションを受け
作品作りをされていますが
高校生時代は海外に憧れがあり
ファッション業界を志したとのこと。
しかし海外で活躍するための
自分の強みは「日本の文化」ではないかと思い
東京藝術大学 美術学部 工芸科 染織専攻へ。
着物を染めたり、下駄を作ったり、
花魁のファッションを研究されたそうです。
その頃から「新しいものを作る=過去を振り返り、現代の表現に。」
という考え方になったそうです。

そういった中で生まれたのが
レディー・ガガも愛用した「ヒールレスシューズ」。
実はこのヒールレスシューズは舘鼻さんの卒業制作だったそう。
それまで伝統的な技法や文化的な背景を学ばれていた中での
初めての自由制作が卒業制作だったとか。
当時、研究されていた花魁の高下駄から着想を得て
現代版、日本の厚底靴を作ったのがヒールレスシューズなんだとか。

『でも、大学時代はそれまでずっと伝統に倣って制作をしていたので
先生たちからすると拍子抜けした感じで
だから全然評価されなかったです。
大学では評価されなかったんですけど
自分を信じてはいたので
誰か評価してくれる人はいるはずと思って
海外のファッションの関係者の方のホームページの
お問合せフォームみたいなところから
こういう活動をしていますっていう写真を送ったりして
その中で返事をくれたのが
その当時のレディー・ガガさんのスタイリストのニコラさんという方でした。』

++ Right now ++

現在、2児の父である舘鼻さん。
お子さんが生まれる前は
土日も関係なく、お仕事をされていたそうですが
今ではライフスタイルも変わり、
土日は基本的にはお仕事はお休みにして
お子さんたちと出かける多いそう。

お休みの時間は、仕事から離れるということを意識されており
美術館やアートに触れるというよりは
お子さんたちと公園や虫取りや自然の中へ。

自然と触れ合うのは出かける他にも、
家の中では胞子から培養し
ビカクシダという変わったシダ植物を育てていたりするそう。

『胞子ってものすごく小さいんですけど
それを蒔いて、いわゆる芽が出るようなタイミングがあって
最初は苔みたいな感じなんです。
そこから少し葉っぱが出てきて
だから最初は2ミリくらいで、最終的には大きくなるんですけども。
ある程度形が認識できるようになるまでは
2年くらいとかかかると思います。
ある程度まで大きくなると成長は早いんですけど
そこまでは毎日世話して、霧吹きしたり・・・
でもちょっとずつ大きくなっていく感じが愛おしいというか。(笑)』



++ From now on ++

東京都が主催する「江戸東京きらりプロジェクト」の
推進員をつとめる舘鼻さん。
これまでも展覧会のディレクションをされてきましたが
この春、展覧会開催予定のため
現在、準備を進めているとのこと。

『東京都内の伝統工芸、伝統産業に関わるような職人さんと
コラボレーションして作品を作ります。
例えば組紐を制作したヒールレスシューズであったりとか
そういうものも展覧会の中で発表して。
それと同時に関わってくださった職人さんの工房の
過去の歴史的な資料なども
一緒に公開して、魅力も知ってもらおうというような内容になっています。
僕がディレクションをして、
全ての作業が工房で完結するものもあれば
部材を作っていただいて僕らの方で制作することもありますし
さまざまなコラボレーションが行われています。』

さらに今年、11月ごろにも舘鼻さんの所属している
「KOSAKU KANECHIKA」というギャラリーで
個展を予定しているとのこと。

最後にさらに先の舘鼻さんの今後の目標について伺いました。

『いろんなプロジェクトをこれだけいただいて
作品を作っていっていますが
自分の活動でできる幅というのはある程度決まっているので
そういう中で最善を尽くせればなという風には思いますけど
工芸に関わることが多いので
日本の工芸って世界的に見た時に特殊というか
日本だと「美術工芸」とか「生活工芸」とか呼び方はありますけど
海外に持っていくと工芸は「craft」という言葉以外に
訳すのは難しくはなってしまうんです。
ただ単純にそういった言葉で形容されるのが
日本の工芸ではふさわしいのかと言われると難しいなというふうに
個人的には思っていて。
もっとアーティスティックな側面だったり、文化的背景だったり
そういうものを作品を通して翻訳して
世界に伝えられるといいなと思いますね。』

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