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STORY

2023.12.09

水族館プロデューサーの中村元さん。


++ Introduction ++

集客力と顧客満足度の高い水族館や展示を実現することが仕事である
「水族館プロデューサー」。
今回のゲスト中村元さんは、その水族館プロデューサーとして
これまで数々の水族館のマーケティングから開発理念などの基本構想、
そして実際の展示水槽やギャラリーの計画をまとめや
プロモーションも手掛けなど水族館をプロデュースされてきました。

そんな中村さんが手がけた展示といえば、
サンシャイン水族館の「空飛ぶペンギン」など
これまでにはなかった企画が多くあります。
そんな空間デザインやそのアイデアの原点は・・・

『美術館だったりとか、時々自然の写真を見たりだとか。
そういうのを見た時に
「これだと人に伝わるな」「この色の使い方すごいな」
とか思うところから水槽にビビビっといくことが多いです。
例えば、日本の海は割とプランクトンが豊富なので緑なんですよ。
そのまま緑にすると、あまり人は見ないんです。
青系にした方が心が動くし、
生き物も生き生きと見えるところもありますね。』

水槽の水中感を生み出すために
中村さんは「水塊」を大切にされているとのこと。

『海とか川ですごいなとか感動したとかっていうシーンを
そのまま塊にして持ってきたら、
それが一番良い展示だよねっていう風に思っている。
ペンギンに本当の海の水中で出会った時に撮影したこととか
イルカと泳いだ時だとか、
すごい波がきて、その波を下から見上げた時とかね、
そういった光景をいかに作り出すことができるか。』

そして水塊の他にも中村さんが水族館をプロデュースされる際に
大切にしている考え方は「弱点を武器にする」。

『例えば小学校で一番足が速くても
オリンピックで金メダルは取れないじゃない。
だから長所で戦うともっとすごい人がいるので
そうでもない長所を使ったら損だと思っているんです。
逆に弱点っていうのはみんなが見向きもしなったところだし
その弱点をうまいこと使っていくと良いものができる。』

中村さんが手がけたサンシャイン水族館の
「空飛ぶペンギン」でも、水族館自体がビルの上にあり
限られたスペースしかなく、水の重さにも制限ある。
そんな弱点をうまく活用し
見上げることで水の色と空の色が同化し
少ない水でも大きな水槽のよう見えるなど
工夫から生み出された展示なのだとか。



++ Until now ++

水族館プロデューサーとしてご活躍されている中村さんですが
小さい頃から今でも、海の生物に特別興味があったわけではないそう。

大学卒業頃は、
文章を書くのが得意だったことから
メディア系のお仕事につきたいと考えていたとのことですが
自分よりすごい人がもっといることに気づき
大学時代、あまり勉強をしてこなかったという中村さんは
就活に難航していたそう。

その時に鳥羽水族館の経営の部門でお誘いをいただき
それまで水族館にあまり行ったことなかったものの、
水族館のお客さんたちに見せて伝えるというところが
メディアに通ずるものがあると感じ鳥羽水族館に就職されました。

最初は飼育の方も経験。
そこで飼育員さんは生き物の飼育に興味があり
展示のことはあまり興味がないと感じた中村さんは
自分は生き物の知識は勝てないけど
一番お客さんの気持ちに近く、
展示の部分で一番になれるかもしれない、ということで
お客さんがどのように見ているのかを観察するようになり、
「展示」の道へ進み始めたとのこと。

そんなお客さんを楽しませることとしてまず考えたのは
イルカの出産シーンの撮影。
その映像が全国のメディアで放送されことからお客さんの来場が増加、
手応えを感じたことから
広報とお客さんが喜ぶ水槽作りという部署を作り
徐々に来場者数を伸ばしていったとのこと。

『水族館とか動物園にいる動物がめちゃくちゃかわいそうだったんです。
野生ですごいことをやっている子たちなのに
狭いところで、捕まえられて連れてこられて、
一生を送ることになって、すごくかわいそうだと思ったんです。
でも彼らで仕事をしているわけなので
彼らに対して命の責任を取らないといけないなと。
それはどうするのが一番良いかというと
彼らをいっぱい見せることで、
こういう生き物が地球上に住んでいるんだぞ、
彼らがいるところはこういう海なんだぞ、その海を大事にしよう。
連れてこられた子たちは気の毒だけど
その仲間には良い未来を作っていけるような展示をしないといけないな
ってすごく思い、だんだん展示のことを大事に考えていくようになりました。』

++ Right now ++

温泉が好きという中村さん、
オフの日はお部屋に露天風呂付きの温泉宿で
温泉に行ったら仕事のことは考えず
ゆっくりするのが好きとのこと。
お風呂に入ったり、本を読んだり、映画を見たりして
楽しまれているそうです。

中村さんは水族館プロデューサーとしてもご活躍されている一方で
障がい者の方や、高齢者に向けて
バリアフリーの観光のプロジェクトも手がけています。

『みんな歩けないと思っているけど、そうではなくて
そこまで来ることができる人はいろんなことができるんですよ。
今までは何かしてあげなくちゃいけないとか
かわいそうな人だと思っていたけど
僕はそうではなくて、普通の人で動くのがゆっくりなだけとか。
その人たちは何を求めて観光地に来るかというと
ユニバーサルデザインを求めて観光地に来るわけではないんです。
良い景色や行きたいところとか、美味しい食事だとかがあるので
それをできるように、望みを叶える方法を色々と探して
相談ができるというセンターを作って
もう20年以上やっています。』


++ From now on ++

2024年2月24日 渋谷の東京カルチャーカルチャーにて
中村さんのトークライブ
『中村元の超水族館ナイト2024春 vol.46』 を開催。
毎回、水族館のことなどテーマを設け、お話ししていくそうです。
ゲストの方も後半では登場予定。
ぜひチェックしてみてください。

そして、水族館プロデューサーとして、
今後の活動で伝えていきたいメッセージは「命の大切さ」。
年3回トークライブをこうして行なっているのも
水族館だけではなく、そういった想いも伝えていきたいとのことで
行っているそうです。

『野生の生き物たちに仕事させてもらってきたんだから
死んでから彼らに言い訳ができるようにはしておきたいなと思っています。
自分だけでやろうと思っても歳も歳で限界があるなと思っているので
僕に門下生っていうのがいてくれて
全国の水族館や動物園の若手たちが展示の方法だったり
そういったことを学びに集まってきてくれているんですよ。
彼らにできるだけ僕の思想だったり、哲学とか、技術、
全て渡して息を引き取りたいなと思っています。』

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