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STORY

2023.12.02

観世流能楽師の武田宗典さん


++ Introduction ++

もともとは神様に奉納するための芸能として始まり
現代まで続く世界最古の芸能である「能」。

現在、お客さんの年齢層は、
比較的、年齢の高い方が多く、
さらには能を習っている方だけがご覧になられている印象が強かったそう。
そういった現状の中、より裾野を広げたいということで
能楽師の武田宗典さんは能の魅力を伝えるため
体験型の公演を多く行うようになったそうです。
能の謡を謡う「謡サロン」や、摺り足や、舞を舞うといった体験など
その都度、体験できることを変え、公演を行っているとのこと。

日本の伝統芸能である能。
ストーリーや踊りなどが舞台の上で繰り広げられていますが
実はほとんどの公演でリハーサルは一度きりで、
場所によってはない場合も。

『予定調和を嫌うんですよ。
能って伝統芸能で格調高くて、
音楽でいうとクラシックに当たるかなと思われるんですが
実は能ってジャズセッションに近いんです。
即興性もありますし、盛り上がってくると
ワーっと全体にグルーヴ感が出てきたりするロック的な部分もあるんです。
こっちの謡いを聞いて、囃子の感じが変わったりとかがあるんです。
なので、1時間の演目も、
演者の組み合わせによっては1時間10分になることもあれば
55分で終わってしまうことも起こります。』

まだ能をご覧になったことない方へ
敷居が高そう、だったり、楽しみ方がわからない
眠くなってしまいそうなど
さまざまな不安があると思いますが
武田さんはそういった中でも
能は楽しめる効果があるとお話ししてくださいました。

『客席にリラックスして腰をかけていただくと
意外に声が聞こえてきたり、
動きに「こういうことやっているのでは・・・」と気が付けたりとか。
万が一、寝てしまったとしても
無意識に働きかける芸能なので
見終わった時に「気持ちよかったかも」とか
「スッキリしたかも」というふうにもなる芸能なんですよね。
能の舞台の上って着ている衣装も、使っている楽器も
マイクも置かず、
基本的には天然の素材しか存在していないので
その音とか、その組み合わせの心地良さっていうのはあるので
眠くなったり、体が緩んだりってなるので
無意識でも体に良い作用をもたらしていると思います。』



++ Until now ++

2歳11ヶ月で初舞台に立たれた武田宗典さん。
物心がつく前の幼い頃から能に触れられてきた中で
武田さんが「能は楽しい!」と感じるようになったのは
小学5?6年生の頃。1日3つの舞台を掛け持ちし
それぞれ役も違う中、行ったそうですが
終わったあと、すごく充実感を感じ
「舞台立つのが好きかも」と思った記憶があるとお話されていました。

そこからずっと能を専門にされてきたのかと思いきや
実は大学時代には演劇全体を学びたいと思い
早稲田大学の文学部演劇専修へ。
そこでミュージカルの演出や出演されていたそう。
それでも現在のお仕事である能楽師を選んだ理由とは・・・

『一つは年齢を重ねてきても必ず目標がある。
私の父が75歳なんですけども
11月に人生で初めて最大の大曲をしたんですね。
これってすごいことだなと思うんですけど。
そういうことって他の仕事では得にくいので。
あともう一つは人の心と体を元気にして寿命を伸ばすっていうのが
能の役割だって能の創始者の世阿弥が説いていて
それは尊いお仕事だなと思って
それをきっかけに改めて能をやっていこうって思った次第です。』

武田さんは海外公演もされていますが
現地の方にも能の持つ寿命を伸ばすような感覚を感じたという
声をいただいたそうです。

武田さんは銀座の観世能楽堂を
本拠地に普段は能を行っており、
特にドレスコードなどはなく、普段の服装のままふらっと
立ち寄れるとのことですので、
ぜひ体が活性化する能を体感してみてください。

++ Right now ++

自宅にいるのが苦手でオフの日は
どこかへ出かけることが多いとのこと。

『家にいると仕事したり、稽古したりしちゃうから
結局、今日はオフってなったら
出かけないとオフにならないですね。』

近場で小旅行をしたり、猫カフェに行ったりするそう。

武田さんは全国にお弟子さんを教えている稽古場があり
長崎の稽古場の時には
ハウステンボスの年間パスポートをお持ちで
そこで歌劇を見るのにハマっているとのこと。



++ From now on ++

武田さんの今後のご予定は・・・

●12月11日(月) GINZA SIXの観世能楽堂で
「東京GINZA能」 という能の体験と公演が行われています。
こちらは初心者向きの公演になっているとのこと。

●1月25日(木) 東京アート&ライブシティが主催となる
観世能楽堂とクラシックの銀座・王子ホールのコラボレーション、
「天鼓 I Love Music」という
能とクラシック音楽のコラボレーション公演が行われます。

●2月17日(土)には本格的な能楽公演 朋之会「阿漕」も行われます。

さまざまな形で能の魅力を伝えてきた武田さんですが
今後、武田さんがチャレンジしてみたいこととは・・・

『元々、コロナの前に海外公演のオファーとかいただくことがあって
そんな中で海外のいろんな名所とか、
能は屋外でやるのもすごく合うので
結構、宗教施設とか、お寺とか神社ではない
教会とか雰囲気が合うので
能楽堂・能舞台ではない、世界のいろんな名所で
能の公演ができたらいいなと
今、あたためているところです。』

そして武田さんの活動を通して伝えていきたいメッセージを
最後に教えていただきました。

『能のどこの部分を切り取ってご覧になるかって
本当に自由度が高いんですよね。
能って動きもシンプルですし、想像する余地がたくさんあるので
能のグルーヴ感でワーってなったのを
トランス状態的に楽しむこともできますし
静かなシーンは美しい装束が舞によって動いているのを
美術品を鑑賞するようにご覧いただくこともできますし。
お芝居としての楽しみ方もあるので
どこでも切り取ってもらってご覧いただけると楽しく、
その方に合った鑑賞方法が見つかるかなと思います。』

ON AIR LIST

  • OPHELIA / PINKPANTHERESS
  • MOONDANCE / VAN MORRISON
  • 踊り子 / 村下孝蔵
  • CARDIGAN / TAYLOR SWIFT

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