J-WAVE 81.3 FM
SATURDAY 21:00 - 21:54

STORY

2023.06.24

アートテラー・とに〜さん


++ Introduction ++

「敷居が高い…」「小難しい…」など
そんな“アート”のイメージを払拭すべく、
魅力をわかりやすく、かつ面白くトークで伝える
アートテラーのとに〜さん。

美術作品から、展覧会、美術館の紹介、
最近では学芸員さんや現代アーティストの
トークイベントのMCとして呼ばれたりするなど
多岐に渡り、アート界でご活躍されています。

『映画を見に行くときに事前にある程度
あらすじを知った上で見に行っているはずですし、
誰が作ったのか調べていくし、
小説とか本を買う時だって、なんとなく知った上で読み始めている。
ただ美術だけはノーヒントで見ましょうみたいになっていて。
それって映画を何も知らずに字幕なしで見ているような状態だから、
やっぱりある程度の情報は必要かなと思っていて
その情報を伝える側の仕事ではあるかな。
「こういうことを知っていた方がより楽しめますよ。」みたいな。』

例えば、フランスの画家クロード・モネの代表作「睡蓮」。
250点以上の連作になっていますが、
実はモネは時間・天気・季節などによって光の当たり方が変わる
色んな睡蓮を描きたかったため250点以上もの連作になったそう。
なので一つのモネの睡蓮を見ても
本当にモネがやりたかったことは分からない。
同じモチーフを色んなバージョンで描いていたということを知ることで
よりモネの作品を楽しめるとのこと。

そしてとに〜さんは活動を通じて
日本、特に東京に居ながらにして
美術に興味がないのはもったいないと伝えたいそう。

『特に東京なんですけど、
世界中の料理が食べられる東京ってすごいよ、みたいに言われるが
こんなにも世界中の美術品が見られる国って
世界的にも珍しいし、
作品がルーブル美術館から来る、アメリカから来る・・・
こんな国ってないですよね。こんな国にいるのに
美術に興味がないのはもったいなくないですか?っていうのを
一番伝えたいところ。しかも2000円くらいで見られちゃう。』

さらに美術を見ることは人生に役立つことだと
とに〜さんはお話しして下さいました。

『美術作品を見るときって考えないといけないじゃないですか。
ストーリーがあるようでないので
何を描きたいのかな、何をやっているんだろうと想像することって
人生にとって大事なことというか
世の中の大抵の問題は想像力さえあれば
解決する気がしているんですよ。
相手のことを思いやるとか、
こんなことをしたら炎上してしまうんじゃないかとか、
色んなことを想像すれば
「やめとこうかな」というふうにできるわけじゃないですか。
だから美術を見ることって想像力を鍛えることでもあるから
感性を磨くのも大事だけど、ものを考える場所。』



++ Until now ++

元々は2007年にお笑い芸人としてデビューされたとに〜さん。
中学生時代から組んでいた相方さんが大学4年生の時に
イタリアのサマースクールに行き、ウフィツィ美術館で感化され
帰国後、美術館へ一緒に行こうと、とに?さんを誘われました。
それまで美術に興味がなかったとに〜さんですが
交通費と展覧会代を出してくれるということで渋々行ってみることに。
すると展覧会で相方さんが美術作品にアテレコするボケをしていたそう。
それが面白かったことや、当時お笑いのネタを書かれていたとに〜さんは
ギャグ漫画やコメディ映画を見ると、
どうやって笑いをとっているか分析していたそうで
展覧会でも、そこで展示されていたオランダの風俗画を見ている時に
笑いの要素がたくさん散りばめられていると分析。
しかし周りを見てみると誰も笑っていないことにびっくりしたとか。

『当時、芸人だったので震えたというか
せっかく面白いことをやっているのに誰も笑っていないって
地獄じゃないかと。
当時のギャグ画家みたいな感じだと思うんですよ。
「これは面白いでしょ!」って言って描いているのに
みんなが「素敵ね」「色が綺麗ね」って言っているのって
せっかくネタをやっているのに「すごく衣装が色とりどりね」って感じで
そこじゃないじゃんみたいな感じで。(笑)
相方のおかげで美術って単純に面白いなと思ったのと
これをちゃんと伝えてあげる人がいてもいいよなというのは
同時に思ったのが一番最初の体験かなという感じはしますね。』

そこでmixiで日記のように展覧会のレビューを
とにかく面白く書こうと日々続けていると
全く面識がない美術ファンの方が興味を持ってくれたそう。
その数は次第に増えていき、
「実際にお話が聞きたい」と書き込みがあったことから
ギャラリートークを開催するために
美術館にツテはないですが、
ダメ元で横浜美術館に連絡をしたところ許可してくださり
美術ファン40人規模のギャラリートークを開催。
それを見ていた横浜美術館の学芸員より
「次回から正式にイベントしてやってほしい」とお誘いをいただき
その時にまだ芸人だったので、お仕事を分けるためにも
芸人とは違う名義を考えなくては、ということで、
「アートテラー・とに?」が誕生したそう。

++ Right now ++

常にアートテラーモードという、とに〜さん。
なので仕事を離れるという概念がないそうですが
3〜4年前くらいから
美術作品が描かれたアートTシャツを集めるという企画を
ご自身のブログで行っており
1アーティストにつき1枚などいくつかの条件を設け
100種類集められるかというチャレンジ中で
現在、70枚ほど集められたそう。
今、空き時間を見つけては
ネットや古着などでTシャツ探しをされているとか。

日々、様々な展覧会や美術館に足を運んでいる、とに〜さんですが
今、広島がアート的に熱い場所なんだとか。
「広島現代美術館」がリニューアルオープン、
さらに世界初の動く展示室がある「下瀬美術館」は
今年3月にオープン。
そして瞑想的なインスタレーション作品が楽しめる
「神勝寺 禅と庭のミュージアム」など・・・
同時多発的に広島がアートに力を入れていて、
今一番熱い場所だとお話しして下さいました。



++ From now on ++

最新刊「名画たちのホンネ」が現在発売中。
有名な作品を49点取り上げ、名画の登場人物が
自己紹介しながら解説してくれる本となっています。

アートにまつわる様々な活動を行っている、とに〜さんですが
興味がないジャンルの方やりやすいとのこと。

『何でも屋なので、美術館に頼まれたらなんでもやるんですが
興味がないジャンルの方がやりやすいんですよね。
興味がないジャンルっていうことは、
自分が面白いと思うところまで持っていけば
一般の人も楽しいと思ってもらえると思うので
自分がやったことのないテーマに出会うのが一番楽しい。』

一般の人たちに美術の魅力を紹介している、とに〜さんが
一番心がけているのは感受性を消すということ。

『僕、感受性はゼロだと思うんですね。
アートツアーとかやっているときに
一般の人に紹介して、感動しているのを見ると
「美術って感動できるんだ。羨ましいな。」と思ったり
人ってこんなにも感動できるんだと間近で見ながらも
自分はそっち側になってはいけないなと思うので。
言語化するために感受性をいかに消していくかの作業している感じですね。
あとは一般の方と会うようにする。
業界の人と喋っていると、どこまでが業界用語なのかってなっちゃうので。
永遠に素人でいなければいけないので色んな人と会うようにしている。』

最後に今後の大きな夢として
お笑いのショーレースのように、国民的関心ごととなる
美術の賞レースができたらいいなとお話しして下さいました。

『すごい才能があるはずなのに
なかなか日本人が関心を持ってくれないと
海外にそういう才能が流出してしまうのもあるから。』

ON AIR LIST

  • DOMINOES / JUNGLE
  • MER DU JAPON / AIR
  • 水流のロック / 日食なつこ
  • PALMDALE CRUISIN' / LOUIS COLE

ARCHIVE

MESSAGE TO STUDIO

メッセージを希望する方は、
下のボタンから専用フォームにて送信ください。

メッセージを送る
  • ORIENT STAR

INSTAGRAM

HOME