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STORY

2023.04.22

アーティスト/CLEAN&ART代表の傍嶋 賢さん


++ Introduction ++

渋谷区を中心に落書きの消去事業、
壁画の制作を行なっている「CLEAN&ART」。
この「CLEAN&ART」の代表理事を務めている
アーティストの傍嶋賢さん。

東京藝術大学の壁画科を修了された傍嶋さんは
2010年から荒川区で電車の高架下などに
落書き対策などで壁画を制作。
その経験から2017年、東京都内の落書きの被害をリサーチしたところ
渋谷区の被害が特に多く、
地域の方々にお話を伺ってみると
非常に困っているという状況だったそう。
そこで「CLEAN&ART」を立ち上げられました。

現在は白い壁に戻す、落書きの消去作業が多いとか・・・

『不思議な話、コロナ禍でも活動はしていたんですが
ほぼほぼ絵を描く仕事がなくなっていた中で
壁を白くして色んな人に感謝されるという
謎の現象が起こっていて。
これが芸術家として壁画を描いていた人間にとって
めっちゃ複雑な心境なのと同時に
自分はこの白い壁を越える芸術を
作らないといけないんだなって。
だから安易に街に壁画を描こうよとは簡単には言えない。』

ただ落書きを消すだけではなく
ツギハギのように他の壁と色が違ったり
落書きが残っていたりすると
消した後にも落書きが再発する可能性高いので
「CLEAN&ART」の壁画の消去事業後は
綺麗な落書きの跡もない
元の壁と同じような消去作業を行なっているとのこと。
これにより再発率は下がっているとか。

街の落書きを消去する傍嶋さんですが
闇雲に全ての落書きが悪いとは考えていないようです。

『どなたが描いた絵であっても
全ては著作物であり、アートであるというのが根源であるんですよ。
落書きであろうと、僕はアートとして認めている。
ただそれが合法か、違法かに別れる訳じゃないですか。
許可をとっていないのが落書きと呼ばれる分野であり、
描かれている場所が公共物か、民間のものかで分かれるわけですよね。
公共のものは皆さんの税金で作られているので
やっぱり消した方がいいという考え方になるわけですよ。
ただ民間のものは所有者に依存されるので、
そうなると行為自体は違法であるけれども
最終的に所有者がOKであれば合法になる。
だから僕らも闇雲に消すわけではなくて
まずは被害に遭われている方の話を聞きに行って
「ウチはいいよ」って言われたら
「そうだよね」っていう考え方も理解できますし、
本当に困っている人がいれば
ちゃんとフォローしないと、
そのカルチャー自体の嫌悪感が起こってしまうというのがあるので
どっちも理解できる立場でやっています。』

そして傍嶋さんは街をアートで活性化させる取り組みとして
「Art Round East」の副理事もつとめていらっしゃいます。

『沿線とか各自治体にアート団体っていうのがあるんですよ。
そこの中で行政と手を取り合いながら
NPOとか一般社団法人が街に対してアートをやっているわけですね。
そういったアート団体が街にたくさんあるというのを
本にしたり、冊子にしたりっていうので情報発信していて
それが東東京エリアで美術の民間の活動が盛んに行われている。
そういった面からこのエリアを紹介できればいいなと思って
こういった団体をやっています。』



++ Until now ++

傍嶋さんは昨年完成した
「SHIBUYA みんながつながる インクルーシブ・アート」の
活動にも携わっています。
渋谷区にある都バス営業所の200mにわたる壁には
落書きがされ20年ほど放置されていました。
地域の人々はこの問題に頭を悩ましていたとのこと。
そこで「団体渋谷区障害者団体連合会」と
「一般社団法人CLEAN&ART」がタッグを組み
行われたプロジェクトが
「SHIBUYA みんながつながる インクルーシブ・アート」。

落書きの消去後に再発防止のため
カラフルな大型インクルーシブ・アート壁画を作成。
三角や四角など7つのピースを
子供たちや障がいがある方など、さまざまな方に配り
いろんな形に組み合わせできた作品を原画とし
その原画をも壁画として描き、作り上げられました。

『皆さんが作ったものが社会の役に立つっていうことで
自分達が社会に参加して壁画の一部になって
落書きされないような落書きされないような壁になるということに
皆さん感激されていまして、完成を喜ばれていました。
自分が壁を白く消して、
僕の原画で描きましょうということもできるのですが
1人の人間が1つのデザインを考えるより
300人の想いの詰まった壁画には勝てないよなっていうので
さまざまな方の協力のもと制作することになりました。』

他にも傍嶋さんは
常磐線沿線の4区4市と東京藝術大学、
JR東日本首都圏本部の10団体の構成されている
「JOBANアートライン」のプロジェクトも行っています。
中でも柱となっているイベントが
JRの引き取り手のない忘れ物の傘を譲り受け
親子で参加できる
ビニール傘に絵を描くワークショップ。
他にもそのワークショップでは
東京藝大の学生による様々なライブペイントや
音楽の演奏なども行っているそうです。

実は傍嶋さんのお父様も
学生時代は東京藝大に通われていたそう。
その影響で、小さい頃から
自然と絵を描いていたとのこと。
しかし、そんな環境の中で
お父様は絵に関して教えることはなかったとか。
だからこそアートを好きになれたので
お父様に感謝していると傍嶋さんはお話ししてくださいました。

『僕、ものすごく絵が下手くそだったんです。
中学くらいまでは藝大に受かるレベルじゃない。
ただすごく楽しくて、ずっとやってられるんですよね。
やっぱり好きなことをやっている人間って強いですよね。
向上心もあるし、上手くなるので、
だから自分がそういったプロセスを経て
無理に親から教えられなかったのは良かったかな。』

東京藝術大学の油絵科に進学された傍嶋さんは
今、学んでいることについて疑問を持ち始めたとのこと。
そんな時に東京都現代美術館で展示されていた
現代美術家の中村政人さんの
コンビニの入り口の看板をモチーフにした作品を見て
衝撃を受けたそう。
そして傍嶋さんが卒業されるタイミングで
中村さんが東京藝術大学の助教授になることがわかり
傍嶋さんは大学院に進学。
中村さんのもとで「街とアート」について学ばれたそう。

『今までの藝大の先生とまるで違う考え方で
社会と芸術家の機能っていうのはどういうものなのか
パブリックにおけるルールだったり
美術館のものが外に出たら全然通用しないということもあるんです。
それをすごく学べたのは大きかったですね。』

++ Right now ++

現在、けん玉にハマっているという傍嶋さん。
きっかけは昨年パリのアートフェアに出展された際
一緒に、けん玉を持って行き、
作品を見るのに飽きた人に、けん玉を渡したところ
喜んで遊んでくれたそう。
すると作品以外にも、けん玉を目当てに人集りになったとか。
そこで帰国後、傍嶋さんもやってみたところ
思いのほか上手に出来て
ご自身のけん玉の才能に気づいたとのだとか。

そしていずれ行ってみたいところは「宇宙」。
その中でも月は地球で一番見られているメディアと考える傍嶋さんは、
月にニッコリと笑った壁画を施して
地球のみんなを笑顔にしたいとお話ししてくださいました。



++ From now on ++

来月、ニューヨークで開催されるアートフェア
「FOCUS NEW YORK 2023」に
傍嶋さんの作品が出展されるそう。
凹凸のある壁面に世界の国旗全てを描いた作品となっていて、
正面から見ると国旗が見え、
斜めから見ると国旗が見えなくなるという
トリックアートの要素も含まれているとのこと。

『実際、落書きとか「街とアート」もそうですが
境界や、ボーダーっていうのが自分の中で
作品のテーマになっていて、
昨年から世界情勢が不安定になっていて
「国とは?」とか「国境とは?」とか
コロナとかもあって人と人との境界だったりとうものを
考えないといけない中で
そういったものを自分の中で作品として残したいと思ったときに
国のシンボルである国旗っていうものを扱って
しかもそれは正面からしか見えなくて
斜めから見るとそれが混ざり合って見えなくなるっていう。
なので本当に国境はあるのかどうか、
人間だけが決めている国境とはなんだろうかということを
問う作品になっています。』

「CLEAN&ART」を通じて、渋谷区の落書きを消去していますが
日本のみならず、世界の国でも落書きにより
困っている方のために、このプロジェクトをはじめとする
綺麗にするという日本の文化を
世界に逆輸入したいと考えていると
最後にお話ししてくださいました。

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  • BEAUTIFUL ESCAPE / TOM MISCH FEAT.ZAK ABEL
  • WINTER FALL / L'ARC EN CIEL
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