++ Introduction ++

先月リリースされたaikoさんの
ニューアルバム『今の二人をお互いが見てる』の中の
6曲のアレンジを手がけている
音楽プロデューサー/アレンジャーの島田昌典さん。

アーティストが弾き語りした楽曲のデモから
どんな楽曲にしたいのか、
アーティストとコミュニケーションをとり
曲のイメージを膨らませてアレンジをして
最終的には完成形まで持っていくのが
アレンジャーとしてのお仕事なんだとか。

島田さんがアレンジされる際に心がけていることとは・・・

『昔は曲がFMとかでかかった時に
耳に残るというか、
フックだったり印象に残るような楽器の使い方だったりとか目指して
印象に残るようにやっていたんですけども
最近はアレンジじゃなくても
楽曲が音を含めて全部最初からあったというような、
アレンジを効かせないような曲にしたいなという風に思っていますね。
最初からそのアレンジがあったみたいな。』

オンエアでは童話「春の小川」に
イントロをつけ、切ないブルース風なアレンジに、
そしてaikoさんの楽曲風のアレンジに、
ピアノを使って実演してくださいました。



++ Until now ++

昭和30〜40年ごろはピアノ教室が流行っていたそうで
その影響から島田さんも
小学校一年生の頃からピアノを習い始めたそうですが
練習がとにかく嫌で、曲も崩して弾いていたとか。
そんな嫌いだった音楽が好きになったのは中学生の頃、
友達からThe Beatlesを勧められ
聞いた時の衝撃から、友達と自宅で演奏したり
アナログテープに録音して音楽に夢中になっていたとのこと。

島田さんはアレンジやプロデュースをする上での
こだわりとして様々な楽器を持っていらっしゃいます。
AIやコンピューターも発達している中でも
なぜ楽器にこだわるのか伺いました。

『今、本当にコンピュータはすごくて
かなり近い音でできるのですが
音楽って一個一個楽器を積み重ねていくんですね
ちょっとした違いが多くなっていくと
結構大きな違いになってきて
そのちょっとしたこだわりで・・・』

そのこだわりの楽器の中でも特に愛着があるのは
1960年代に作られたメロトロンという特殊な楽器。
一つ一つの鍵盤にアナログテープが入っており
鍵盤を押すとテープに録音されている音が
再生されるシステムの楽器なんだとか。
アナログテープに録音されている音なので、
どこか歪んでいたり、ノイズが入っていますが
それこそがメロトロンの持ち味なんだとか。

『メロトロンは隠し味にも使えるし
本物のストリングスの音よりも、哀愁がある音なので
あえてメロトロンのストリングスを入れたりもしますね。
テープなので弾いていない時でも「シャー」っと聞こえるんですよね。
それがまた音符と音符の間を繋いでいるというか。
懐古趣味になってしまうと逆に伝わりづらくなってしまうんですね。
今のサウンドにうまく入れていったりしながら
アナログの暖かさとかを曲を通して皆さんに伝えていきたいですね。』

++ Right now ++

プライベートの息抜きの時間も音楽を聴いてリラックスしている島田さん。
そして最近では配信動画サイトでアップされている
ダンス動画を見ながらなんの音楽なんだろうと
曲名を調べたりされているそう。

そんな島田さんが今、特に注目しているアーティストは
6人組ツイン“リード”ヴォーカル・バンド「Penthouse」

『昔の日本のシティーポップっていうジャンルを
いま風に落とし込んでいるので
めちゃめちゃかっこいいなと思って、すごく注目ですね。』




++ From now on ++

現在の音楽は60年代〜70年代の先人たちが
発明したものであり、
そこからどんどんと進化していき、今の音楽がある。
だからこそ、その先人たちの音楽を学び
ちゃんとリスペクトの気持ちを持ち
次の音楽へと繋げていってほしいと島田さんは語ります。

『たとえば好きになったアーティストを深掘りしていって
そのアーティストは何を聴いていたのか、何がルーツなのか、
そこまで入っていただくと、
そこから何か昔の音楽を聴いていただくと
新しい音楽が見つかるかなと思いますね。』

最後に島田さんのこれからの目標を伺いました。

『自分がワクワクできるような仕事だったりとか
出会いだったりとか、セッションをしたりだとか
人とやることが良い時もあれば悪い時もあるんですけども
それが自分の経験になるし、ワクワクしますし
そういうことを未来に向けてやっていきたいですね。』