++ Introduction ++

福島県郡山市出身のクリエイティブディレクター箭内道彦さん。
毎年、3月11日は仕事をしない人と決め、
必ずご実家で過ごされ、そこから生配信をしていたそうですが
東京藝術大学の教授をされているため
数年前から大学の入試の業務を行なうことに。
しかし今年も事前に映像を収録し、3月11日に配信をされました。

『やっぱりその日をどう過ごしていいかわからない
っていう人がたくさんいて。
なんか誰かと一緒にいたいけど
テレビをつけると震災の話をしているし苦しくなるな、
っていう人が集まる場所になっていたんですよね。』

今年は入試業務をしながらも、
研究室で2時46分には黙祷を捧げたそう。

東北出身であり、地元のご友人たちが
震災から今まで歩んできたことを
近くで見てきたからこそ
メディアなどで震災や東北のことを話せる部分や
今、行っている福島での活動があると語る箭内さん。

『ちゃんと知ってほしい。
2011年の情報で止まってしまっている人もいるので
それをアップデートしてほしい。もちろん来て欲しい。
来てくれたら好きになってほしい。
あとは、直接じゃなくても東北じゃなくても
あなたはあなたの故郷を大切にしてくれたら
それはそれで東北の人も嬉しいと思うし
それくらい大きく簡単に考えた方がいいなと思うときもあります。』

箭内さんの現在の活動としては
「ふるさとに風が吹く〜福島からの発信と地域ブランディングの明日」
という本を執筆中とのこと。
箭内さんが福島で見たことなどを書くことで、
同じ問題を抱えている別の地域で
ヒントとなれたらという想いが込められているそう。

そして昨今の電気代の高騰に伴い
箭内さんが教授を務める東京藝術大学も
大変な状況に。
そこで箭内さんと誕生日も、血液型、干支など
共通する部分が多いシンガーソングライターのさだまさしさんと
「まさしと道彦の部屋〜電気代を稼ぐコンサート」を企画。
東京藝大奏楽堂で行われ
利益金額を東京藝術大学の電気代に充てるとのこと。

こちらのイベントには、さださん、箭内さんの他、
立川談春さん、Mummy-Dさんなども出演。
学生たちのライブペインティングも行われるそうです。



++ Until now ++

中学生の時に、詩を書いていたという箭内さん。
そのころに書いた詩を大人になってからも覚えており
お仕事に生かされたそう。

『アルコール飲料のCMだったんですけど
「白い紙に 白い色鉛筆で 君のこと好きだって書いた。」っていう
ませた中学生ですよね(笑)
だからこの詩は誰にも見せてないんですよ。
ずっと自分の中にしまっておいて。
大人になってアルコール飲料のCMの撮影があった時に
撮影の日の朝、思い出して
「こういう詩がありますけど、
こういうナレーションも録ってみてもいいでしょうか」
みたいなことを言ってみたら
「いいですね！」ってクライアントさんが言ってくださって
結果それになったんですよね。』

現在、東京藝術大学の教授もされている箭内さんですが
生徒たちに教える時に大切にしていることとは・・・

『どんどん技術が進歩して
自分達の頃のやり方をそのまま当てはめるということは
できないのかなと一瞬思うけど
目の前にいる20歳の彼らも、すぐに古くなるんですよ。
いろんな技術って、
昨日こうだったけど来週には変わっているみたいな世界で
そのやり方を知ったり、ただ追いかけていくだけじゃなくて
その手前で同じ人間として何を共有できるかとか
そういう方が大事だなと思い
楽しく刺激し合いながらやっていますね。』

「何も教えない先生」になりたいという箭内さん、
何かやり方を教えるよりも
生徒たち自身が作った作品に対して
よりクリエイティブと向き合えるような手助けをされているそう。

++ Right now ++

今、熱中されているのはチャーハン作り。
元々、料理が得意なわけではないとのこと。
だからこそ、具材を刻んでいる時間は
切ることに集中するので、他のことが考えられないとか。

普段の生活の中で、ふと何を目にすると
そのものに対して、改善策やアイディアなどを考えてしまい
疲れてしまうそうです。
そのため具材を切るということが一番の無心になれて
好きな時間とのことでした。



++ From now on ++

4月8日（土）に
福島県福島市の飯坂温泉街で行われる音楽イベント
飯坂温泉ュージックフェスティバル「おと酔いウォーク」
今回のイベントには「亀田誠治と箭内道彦（1964年生まれ同い年）」
という名義でご出演されるとのことですが、
まだ、何をするかは考え中。お楽しみに。

そして4月28日〜5月8日には
渋谷PARCO　PARCO MUSEUM TOKYOにて
展覧会「風とロックで みんな笑ってる」が行われます。
箭内さんが2003年に「風とロック有限会社」を設立してから
今年で20周年。
これまでフリーペーパーやラジオ、音楽フェスなど
さまざまな媒体で活動を行ってきましたが
そういったこれまでの活動を一堂に見ることができる展示館となっているそう。

さらに今年も9月9日〜9月10日で
福島県白河市しらさかの森スポーツ公園で
「風とロック芋煮会」が開催されるとのこと。
4月中にはチケットの情報が出るとのことですので
近々、情報をお待ちください。

最後に箭内さんに
表現者として、未来に伝えていきたいメッセージを伺ったところ
ご自身の活動の一つにもなっている
「NO MUSIC, NO LIFE.」を上げてくださいました。

『音楽って絶対に無くならないし
音楽に助けられている人ってたくさんいるし
僕自身もそうだし、大切にしていきたいと思います。』