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STORY

2022.09.10

発酵デザイナー 小倉ヒラクさん

++ Introduction ++

デザインの力を使って目に見えない発酵菌の働きを見えるようにする
発酵デザイナーとして活動をされている小倉ヒラクさん。

発酵デザイナーとしての活動の始まりは
歌って踊って、お味噌の作り方と発酵の原理がわかる
「手前みそのうた」というアニメーションを作り
保育園や、地域のコミュニティーセンターで
子供たちに向けた「手前味噌」の食育プログラムを企画したところから。
最近では発酵食品のお店を手掛けたり、
日本各地の発酵文化の情報取集して展覧会にしたりと、
発酵をテーマに幅広くご活躍されています。

下北沢では発酵の専門店「発酵デパートメント」を展開。
全国各地のこだわりの発酵食品や
中にはタレを混ぜずに食べることができる
チューブに入った「アウトドア納豆」といったオリジナル商品、
そのほかにも食品に限らず、発酵食品を作る時に必要な道具だったり、
仕込むときに使う微生物、さらに微生物を使った消臭剤など
500点ほどの発酵にまつわる様々な商品を取り揃えています。

商品を買い付ける時のポイントとは…

『まず一つ目はその土地のローカル文化を表しているもの。
その土地ならではのものだったりとか何百年も継承されていたりするもの。
二つ目は僕か、お店の誰かが実際に行って、
作っている人に出会うというのを原則としていて、
だからお店に置いてある商品が、
誰がどこで作っているのか知っているんですよね。
三つ目が追い風が吹いていないものも、ちゃんと扱うというものあって、
やっぱり発酵食品ってすごくトレンドなので
例えば甘酒だったり塩麹だったり、すごく人気がある商品もあるんですけど
僕たちの場合は全く誰も知らない、この土地の人しか知らないみたいなものでも
これも一つの文化であるというふうに、
きちんと大事に扱おうというポリシーはあります。
発酵食品を通じてその土地の歴史だったり
人の暮らしぶりっていうのが、本で読むのとは違う感じで
生き生きと見えてくるというのは、発酵食品の面白いところですね。』



++ Until now ++

元々、デザイナーとして活動されていた小倉さん。
ですが、小さい頃から体調を崩しやすい体質で
デザイナーとして多忙な日々を過ごしているうちに
倒れてしまったそう。

そんな時に、ご実家が味噌屋さんを経営されている同僚の方が
体調を崩されていた小倉さんの姿を見て
「私の先生に会いにいきましょう」と誘っていただいたことから
発酵で有名な東京農業大学の先生に会うことになったそう。
そこで普段の生活でお味噌汁やお漬物などの
発酵食品を取り入れるよう言われ
毎朝、発酵食品を取り入れた伝統的な和食を作り、食べ始めたところ
徐々に体調が回復していったとのこと。
その経験から先生の発酵の本を読んだり、
ご自身でお味噌作りを始めるようになりました。

『そしたら発酵食品ってもちろん健康に良いという側面もあるし
美味しいという側面もあるけど
どっちかというと結構ミクロのスケールで生命の仕組みだったり
自分がどういうふうに食べ物を消化しているのかや、
どういうふうに病原菌から身を守っているのかとか、
ミクロの仕組みを学ぶのと同時に、
日本全国、世界各地にいろんな不思議な発酵食品や微生物がいて
それがどうしてできたのか、どうしてその微生物はそこにいるのか、
どうやって手懐けるのかというマクロの世界も広がっていて
面白いなと思ったんですよね。』

発酵食品の奥深さに感化され、
東京農業大学で2年半ほど発酵のことを学び直されました。
さらに世界の発酵食品を知るために各地を旅された小倉さん、
お茶の調味料など珍しい発酵食品から
日本ではお馴染みの昆布茶の意外なルーツを知ることとなったそう。

++ Right now ++

8年ほど前から山梨県に移住されている小倉さん。
デザイナー時代から山梨でお仕事をする機会が多かったそうで
小倉さんを発酵の先生に紹介してくれた同僚のお味噌屋さんも
山梨にあり、そのお味噌屋さんと食育のお仕事をしているうちに
段々と山梨の景色が好きになっていったとのこと。

『僕が住んでいるのは甲州市というところで
日本一のワインの生産地なんですけども
丘一面にブドウ畑が広がっていて
すごく素敵な場所なんですね。
こういう景色が見えるところに住みたいなと思ったのがきっかけです。』

東京に住まわれていた時とは変わり
夜、遊びに誘われることがないため
静かな夜に考え事をしたり、調べ物をしたり、
朝も早起きになって、散歩したりなど
1人でじっくり過ごす時間が増えたそう。

最近は山を見ながら焚き火をし、お茶を飲む時間が
リラックスするひとときだとお話ししてくださいました。

『アウトドアグッズを使ってお茶を沸かして、
一番良いのは、その場所で湧いている水とかで
お茶を沸かして、山とかブドウ畑とか見ながらお茶を飲む
というのがすごく好きで。
僕、お茶がすごく好きで、コレクションとかでお茶がいっぱいあるんですよ。
それをゆっくり飲むっていうのが好きなんです。』



++ From now on ++

9月17日から福井県あわら市にある現代美術館
金津創作の森美術館アートコアにて
「発酵ツーリズム にっぽん/ほくりく」を開催。

お味噌や醤油から、宮崎県の海藻の発酵食品「むかでのり」や
青森県の麹と納豆を合わせて発酵させた「ごど」、
北陸のフグの毒を発酵によって解毒させた「ふぐの子」など
日本全国、そして北陸の発酵文化たちが一堂に会して
発酵のことを楽しく学びつつ
実際にそういった商品たちを購入できるといった展示会になっているとのこと。
さらに展覧会自体に様々なユニークなデザインが施されていたり、
北陸エリアの発酵の魅力を体感できる旅のプログラムもあるそうです。

最後に小倉さんの活動を通して伝えていきたいことを伺いました。

『僕がやっている「発酵デパートメント」というお店の合言葉が
「世界の発酵、みんな集まれ!」っていうんですね。
これは僕自身の願いでもあって、
まだまだ知らない国の知らない発酵食品がいっぱいあるので
そういうところを訪ねて、
例えば今回やる展覧会やツーリズムのプログラムを海外でやるとか、
日本の発酵文化が僕のベースなんですけども
その上でいろんな世界の発酵文化と
交流できたらいいなと思っています。
しかも共通言語じゃないですか、どこの国にもあるので。
だからお互いにローカルなものを手前味噌自慢しあって盛り上がれる
という意味ではすごく良いのではと思っていますね。』

ON AIR LIST

  • I'D RATHER DANCE WITH YOU / KINGS OF CONVENIENCE
  • SMALL VICTORIES / LEMON TWIGS
  • GOOD NEWS / 蓮沼執太,U ZHAAN
  • DON'T DREAM IT'S OVER /SIXPENCE NONE THE RICHER

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