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STORY

2022.08.27

イェール大学助教授、 半熟仮想株式会社代表の成田悠輔さん。

++ Introduction ++

先月、著書「22世紀の民主主義」を発売された
イェール大学助教授 成田悠輔さん。
現在の日本では民主主義の劣化が起こっていると考える成田さん、
この本では、そういった中で行われている
選挙や政治のルール自体を作り変えるため
新たな選挙のやり方などを提唱されています。

経済を動かす仕組みとして資本主義が確立されており、
一方、政治の方では民主主義となっており
誰でも声を上げられる仕組み。
成田さんはこの2つは「水と油」のようだと考えており

『資本主義とか、1人とてつもない天才がいたり
1つとてつもない企業が生まれれば、
それで全部カバーできるという感じじゃないですか。
アメリカ経済とかも成長しているように見えるんですけど
過去数十年間の成長は、ほとんどがシリコンバレー周辺の
いくつかの企業だけが作り出しているんですよね。
そういう異常値みたいな存在、
とてつもない人たちが少数いれば上手くいってしまうのが
資本主義という仕組みなのかな。』

少数の天才がいれば成り立つ資本主義、
その裏側には犠牲者いて、
実際に成田さんはシリコンバレーの周辺に住んでいた際、
大企業の本社には快適な仕事環境が整っていますが、
そのすぐ近くには路上生活者たちなど
悲惨な生活をしている人たちが多く見受けられたとのこと。
そういった資本主義から外れてしまった人たちを
救う手段として使われるべきなのが、
選挙や民主主義だと話す成田さん。

世の中決めるべき論点がたくさんある中で
今は、多数論点を束ねて、
一番任せられる政治家や政党を選ぶため選挙が行われているが
そうなると重要で大きな問題対して多数派の意見ばかり注目され
マイノリティーである当事者の意見が反映されないということが
起こってしまう。
それを解決するために、いろんな意見を束ねるのではなく
論点ごとに決めるという「二次選択」が良いのではと成田さん。

『1人1票ではなくて、1人100票とか与えて
そのうち何票を、どの論点に入れるかというのを
それぞれの人が選ぶ。
例えば、子育て支援とか重要だと思ったら
そこに全部の票を入れる。
そうすると本当に重要だと思っている論点について
当事者たちの声が反映されるのではないかという考え方もある。』

ただ、この仕組みが広まっていかない理由として
世の中にある論点が多すぎるということ。
人々がそれぞれ問題だと思っているものが異なり
温度差も出てくるため、
その都度、選挙をやっているとキリがない。
なので、もう一つ成田さんがお話ししてくださったのは
「人間が頑張って投票しなくても、回っていく仕組み」
それが本の中で言及されている「無意識データ民主主義」

選挙のために投票所へいちいち行くのではなく
SNSでの書き込みや
日常生活での会話をお店や街のカメラやマイクで記録。
さらには声になっていないものも
体に身に着ける電子機器によって
テレビを見て、その時の顔の表情や、体温の上昇などの
無意識の情報から
世の中に無数とある論点を決めていくという仕組みが
「無意識データ民主主義」

『別に人間じゃなくても勝手にデータ読み込んで
勝手にそれぞれの意思で何をやるべきか決めてくれる
機械みたいなのをどんどんと入れていく方法が
出てくるんじゃないかなと。』



++ Until now ++

麻布中学から東京大学、マサチューセッツ工科大学、
そしてイェール大学の助教授へ…という華々しいキャリアですが、
人が多くいる場所が苦手で
学校には、あまり熱心に通っていなかったとか。
今でも組織の中で足並みを揃えて
人と関わるのが苦手だとお話しされている成田さん。

『大学の授業もあまり人と関わらなくてもいいんですよね。
授業も一方的に話して、
時間が来たらスッと去っていくというのをやっていれば
そんなに関わらなくても良いわけです。(笑)』

学生時代は友達と趣味が合わなかったという成田さん、
当時の趣味は古い雑誌を眺めること。

『1970年代とかって今の雑誌カルチャーとかの
起源みたいなところがあって
今って雑誌って本とかと違って
物としてデザインされているじゃないですか。
文章もあれば、写真もあってイラストもあって
それが組み合わさって
一個のアート作品みたいにするのが普通じゃないですか。
そういうのが始まったのが60年代〜70年代くらいで
その時代にありとあらゆるものを
全部混ぜ合わせる雑誌を作り始める文化が出始めたんですよね。
そういう時代のカオスな雑誌とか
古本とかで見つけてきて眺めていたりしましたね。』

++ Right now ++

プライベートとお仕事の区別があまりないという成田さん、
それでもお忙しい時間を縫って旅行をするようにしているそう。

そんな成田さんが最近気になっている場所は
北海道・ニセコ積丹小樽海岸国定公園の森の中にある
築150年の古民家を新たに
アートに囲まれた宿泊スタイル「ギャラリーステイ」を体感できる
「SHIGUCHI」という場所。

『ホテルとか旅館とか民家に泊まっているのか
それともギャラリーとかミュージアムにいるのか
わからないみたいな。
そういうところにちょっと現実逃避するのが好きですね。
部屋にお風呂がついているんですけど
それとかも風呂そのものがアート作品ぽくて
巨大な直径何メートルもある、
とてつもなくでかい岩をくり抜いて湯船にしているんですよ。
それとかは巨大な岩で作られたアート作品の風呂に入っているような
不思議な感覚になったりするんですよね。』

石や岩もお好きだという成田さん、
石の彫刻を作っている現場に行ったり
建築家のご友人に付いて行き
建築に使えるような岩を発掘するところを見たりするそう。

『石とかも家で触ったりしていると
少しづつ変化していくじゃないですか。
だから人間と対話するより、石と対話する方が良いな(笑)』



++ From now on ++

秋の新学期に向けて、
9月の頭にはアメリカへ帰られるとのこと。
アメリカでは静かに研究をしたり、
東海岸の方を行ってみたことのない場所に
転々と行ってみたり、自由に過ごしていると話す成田さん。

今後チャレンジしてみたい事は落語。

『落語家っぽいとか芸人ぽいとか言われるので
逃げてないで落語そのものにチャレンジして
見事に玉砕してみたいなと思っています。(笑)』

成田さん自身、活動を通して
これから発信していきたいという事があまりないそうですが
その「発信したい事がない人でも生きていける」というのを
発信していきたいとお話ししてくださいました。

『世の中で活躍している人って
はっきりした意志とか夢とか、やるべき事とか
ミッションを持っている人が多いじゃないですか。
普通の人が見ると疲れちゃうと思うんですよ。
だから降ってくるがままに
フラフラしている人間も生きていて良いし
そういう人も求められるというのも
伝えていけたら良いなと思っています。』

ON AIR LIST

  • THEM CHANGES / THUNDERCAT
  • BREAK THRU / DIRTY PROJECTORS
  • LOVE RIDDEN / FIONA APPLE
  • ANOTHER ONE / SAM SMITH

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