++ Introduction ++

デビュー作「ボクたちはみんな大人になれなかった」で
注目を集めた小説家・エッセイストの燃え殻さん。
現在、Huluにてオリジナルドラマとして配信中の
「あなたに聴かせたい歌があるんだ」を
映像化のために書き下ろされました。

ストーリーは高校2年生の教室にて
27歳の女性教師の過去のグラビア写真が貼り出され
女性教師はクラス全員から冷やかしに合います。
そこで女性教師は
「皆さんもこれから10年経ったら、必ず27歳になります。
その時に後悔することが、
私なんかより一つでも少ないことを私は本気で願っています」と言い放ち
ラジカセでキリンジのエイリアンズを流すというところから
物語は始まります。

10年後、27歳になった当時の高校生たちが
それぞれどういう大人になっているのか。
後悔の少ない人生を送っているのか。
そして大人になった彼らが女性教師から言われた言葉を思い出し
当時、27歳だった先生は果たして不幸だったのか
女性教師と、その時、クラスにいた生徒たちの
10年間の挫折、喪失、再生を描いた物語となっております。

この作品は、燃え殻さんのデビュー作
「ボクたちはみんな大人になれなかった」を読んだ萩原監督からの
映像化の提案がきっかけだったそう。
ただ「ボクたちはみんな大人になれなかった」は映像化が
すでに進んでいたため、他のものをということで
今回の「あなたに聴かせたい歌があるんだ」を書き始めたそう。

これまで過去を振り返るといった二作品を手掛けた燃え殻さん。
普段からふとした時に過去を思い出すことが多いことから
日常を作品の中で描く時に過去を振り返るといった描写を
取り入れているそうです。

日常的に過去を思い出しているからこそ
今起こっていることに集中できず、
後々、思い返して、こうしておけばよかったといった
後悔が出てくるそう。
そうった後悔が作品作りに繋がっているとか。

『今回のものも近しいことが
僕が高校2年の時にあったんですよ。
その時に何も行動できなかった自分がいて
トラウマっぽくなったんです。
それを回収するために書いている。
あの時に先生にちゃんと言いたかったなとか
今、幸せになっていて欲しいなとかいうのを
回収するために書いた気がします。』



++ Until now ++

２０代の頃はテレビの美術制作に携わっていた燃え殻さん、
テロップやCGやフリップを作っていたそう。

『六本木の雑居ビルのみたいなところで
男4人とか5人とかでワンルームの部屋で
あまり休みなくやっていましたね。
バックヤードのバックヤードだったんで
華やかな人たちをたまにチラッと見るみたいな感じで
僕らバブルの「バ」の字も経験していないような
これからどうするんだろうって相変わらず思っていた頃ですね。』

小説を描き始めたのは43歳の頃。
Twitterで文章を描き始めたことから話題となり
作家さんや編集者さんから小説を描いた方がいいのでは
と声をかけていただいたことからスタートしたそう。

何もわからない状態からの作家活動を始められた燃え殻さん、
テレビ業界にいた時に培った「下請け力」が
今の作家の世界へ歩ませたとのこと。

『テレビの下請けだったので断っちゃダメで。
社長が「うちの会社はできないっていうなって言うな。
クライアントに何か言われたらできますって言って帰ってこい。
その後でみんなで考えればいいから。」
そこでできないとか言うと仕事が発生しないじゃないですか。
だからできますって言ってみんなで悩もうみたいな。』

テレビ業界のお仕事をされながら、新規事業の営業もされていたそう。
それまで営業をやったことなかった燃え殻さんは
営業のやり方を調べたり、友達に聞いたりして
身につけていったとか。

『その時に「今から営業を始めるの恥ずかしくない？とか
そういう囁きが入るじゃないですか。
自分も折れそうになったんですけど
まあ別に誰も見てないし、やろう！誰も見てないから恥をかいていこう！
みたいな感じで飛び込み営業みたいなことをやったりとかして。』

その時の経験から「普段から恥ずかしさが追い付く前に行動する」
ということが身についたとか。
今でも「普段から恥ずかしさが追い付く前に行動する」を
率先してやられているとのこと。

++ Right now ++

温泉好きという燃え殻さん、
時間があったら温泉に行きたいと考えているそう。

『僕、新宿で打ち合わせすると、
そのままロマンスカーに乗って
箱根湯本に行ってしまうことがあるんです。
「うわ！今行ってる！行ってる！」っていうのが好きなんです。(笑)
で温泉入って泊まっちゃったみたいな。
計画立ててじゃなくて、フラッと行っちゃう。』

ただ温泉でも外風呂はあまり好きではなく、
内風呂で自由に入っては出てを繰り返すのが好きなんだとか。



++ From now on ++

今後の燃え殻さんのお仕事のご予定は
昨年、朗読劇をされた「湯布院奇行」が
６月末に講談社より小説として発売予定。

『何となく東京に疲れた男が湯布院のほうに行って
そこで不思議なことが起きるみたいな話を描きました。』

実際に経験したことでないと描けないと語る燃え殻さん
今気になっている物事があり、北九州の小倉の方へ行き
実際に住んで体験してみたいとのこと。

現在J-WAVE「BEFORE DAWN」をご担当されていますが
燃え殻さん自体、学生の頃から深夜ラジオを聴いていたそうで
寝れない時や、明日学校行くことを想像して不安になった時に
深夜ラジオを聴いていると安心して眠れたという経験があったとか。
なので、聴いているうちに安心して眠れる番組にしたいと
お話ししてくださいました。