J-WAVE 81.3 FM
SATURDAY 21:00 - 21:54

STORY

2022.05.14

土の研究者、藤井一至さん

++ Introduction ++

農業などの基盤となる土の研究者である藤井一至さん。

『例えば、その土が黒かったり、茶色だったり、赤かったりすると
それは「なんでそういう風になったんだろう?」とか、
何を育てたらよく育つとか、
どうやって土を耕したらよく育つとか、長く使えるかとか
そういうような研究が土の研究。』

様々な場所に足を運び、土を掘り、それを持ち帰り、
ふるいをかけて細かい土に分ます。
そして成分の分析に移るそうです。

火山灰が混じったり、元々あった岩が砕け、土になったりなど
場所によって土の成分や、色などに違いが出てくるそう。
ですが意外にも大きく分けて世界の土の種類は12種類くらいで
日本ではそのうち3種類くらいの土が多いとか。

『例えば南米やアフリカだと
暑くなると鉄に錆が出来て赤くなりやすい。
火山があるところだと黒ボク土になっていたりするんですけど
その影響がないところだと
何千万年とか、もしくは何億年とか、ずっと地面が風化し続けて
赤くなって古い土になってくる。』



++ Until now ++

ジブリ映画の影響から
環境問題に興味を持った藤井さん。
環境問題の中で土が大切という映画の中のセリフに感化され
当時、石にも興味があったことから
すぐに土にも詳しくなれるのではということで
土の勉強を始められました。

勉強を始めたばかりの時は
土について驚くことばかりだったそう。

『例えば月というのは地球と
ほとんど岩の種類は同じなんですけど
水も空気もろくにないとほとんど風化が進まなくて
何より植物がないし、
土は砂と粘土と動植物の死んだものだという時に
砂があっても粘土と植物の腐ったものがないと。
だから月に土はないと。
土は今のところ地球にないと言われた時に
これは思ったより難しいかもしれないと思ったんです。』

地球の46億年という歴史の中で
陸地に植物が出てきたのは5億年前からだと言われており
なので土があるのはこの5億年前から。
さらに人間が出てきたのは700万年前ほど、
その内、最後の1万年くらいから土を耕し農業をし始めたとのこと。
なので地球という長い歴史から考えると
土と人間が付き合い始めたのはつい、最近のことなんだとか。

これまで土について研究を続けてきた藤井さん、
国内以外にも、世界中の土を掘り研究をされてきました。
その中でも驚いたのは永久凍土と言われる現象。

『土が凍っているっていうのは
なんとなく知っていたつもりなんですけど
夏、20〜25度とか北極圏も結構暑いんですよ。
それなのに土を掘ると
ちゃんと20センチ下とかに氷がずっとあるんですね。
「ここじゃ農業はできない」っていうのを
行って掘ってみて実感して、
やっぱり行ってみないとわからないんだなと思って。
行ってみて初めて凍っているんだって
当たり前のことに気づくっていう。』

周りには畑もなく、スーパーに行くと
輸入された白菜が高い値段で売られており、
農業の大切さを改めて実感し、
日本でも土を耕さなくなると同じような現象が起きると
危機感を感じたそうです。

++ Right now ++

プライベートでは家庭菜園をされているそうですが
なかなかうまく育たず、
ご近所にある畑の農家の方から心配されているとか。

『優しいから僕が失敗していても
「その野菜はこの土が合わないんだと思うよ」みたいに言われる。
私のこと土の研究者だと知らないから
いろいろ土のことを教えてくれるんです。(笑)
「もうちょっと土づくりからちゃんとしたほうがいいよ」って。』

土のプロとしていろんな人から
野菜づくりの相談を受けた時に答えられるよう始めた家庭菜園ですが
実際に育ててみて改めて感じたのは
土がちゃんとしているのは大前提の話で
その上で野菜をどうやって育てるのかが大切だということ。



++ From now on ++

藤井さんのご著書「大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち」
以前、白黒で出版されましたが
今年の7月にフルカラーの文庫版が出るとのこと。
色の変化がより分かりやすくなっているかも!
ぜひチェックしてみてください。

そして今後の藤井さんの研究について
小さい頃から石が好きだった藤井さん
石から土ができると言われていることを
研究を重ね、果たして事実なのかという追及をしたいとのこと。

『実際に専門家としては土はそんな簡単には作れませんので
守ってくださいってなるけど
研究者としては、本当にそれはできないことなのか
試すことはしてみたいっていう感じです。』

現在、フィリピンでは
土の中にいる微生物の影響によりパナマ病と言われる
枯れたりするバナナにとってのパンデミックが起こっており、
問題になっているとか。
現在、農薬などによる対策を行っているそうですが
それによりバナナの値段が高くなってしまうとのこと。
藤井さんはこうした事態に・・・

『土から病気に強くするとか、バナナ自体を病気に強くする
っていうことができたら
バナナが高級品になるっていうのを
ちょっとでも防げるかな。
で、どんな農家でもお金があっても無くてもできる
それが土を変えることの魅力というか。』

土のことを知り尽くしたら
子供たちに人気のある恐竜の研究者に
転身したいと語る藤井さん。
ですが、土については謎が多く、奥深い世界なので、
転身はまだまだ先の話になりそうだとのこと。

ON AIR LIST

  • MOVE ON / MIKE POSNER
  • BLACK WATER / DOOBIE BROTHERS
  • 夢の中へ / 井上陽水
  • ALWAYS FEEL THIS WAY / TRISTAN PRETTYMAN

ARCHIVE

MESSAGE TO STUDIO

メッセージを希望する方は、
下のボタンから専用フォームにて送信ください。

メッセージを送る
  • ORIENT STAR

INSTAGRAM

HOME