++ Introduction ++

「脱力劇画家」とも言われる、
独特なタッチのイラストで人気の五月女さん。
今のスタイルになったのは
大学を卒業された頃に
テレビ番組の「徹子の部屋」をテーマに
テレビでは見ることのない
別の部屋はどんな風になっているのか
というネタをイラスト化したのがスタート。
それまでガーリーな作風のものを描かれていたそう。

実際に今イラストを描かれる際に
特にこだわっているポイントは「表情」

『絵の中に複雑なものを勝手に込めるのが好きで
驚いている顔の中にも、驚いているだけじゃなくて
嬉しくて驚いているとか、
お腹空いているのに驚くというような
そういうことを勝手に考えて絵に込めるのが好きで
いつも表情描くときには
時間をかけて描いています。』

五月女さんの今の独特なイラストのスタートとなった
「徹子の別の部屋はどうなってるか」。
その時に参考にしたのが
昭和70〜80年代頃の少年誌のグラビアなんだとか。
普通の部屋や怪獣の解剖から宇宙人のことなど
毎週、シュールな中におどろおどろしい絵が描かれていたそう。

『昭和にしかない、あのテンション。
やたら幸せな感じとか、
感情が今より１０倍、２０倍くらい
大きいような感じがするんですね。
そういう昭和のエネルギーみたいなものには
いつも勇気をもらっています。』
今でもそういった昭和の日本映画や洋画に出てくる
登場人物たちの表情を参考にしたり、
ファミレスなどのお店に行った際には
お客さんの話に聞き耳立てて
インスピレーションのネタにされているそう。

現在、五月女さんは
お子さんの反抗期についてや、性教育についてなど
日々の子育てを描いた「おマアさん」をTV Bros.で連載中。

そして5月から新たなチャレンジとして、
代官山ティーンズ・クリエイティブの講師を務めることに。
子供たちに向けた空想図鑑を作るワークショップを考えているそう。

『コロナでいろんなところに出かけられないから
そういう時に大事なのは
空想であり妄想であるなと思っていて。
自分がそれで補ってきたところがあるので、
想像力を広げるヒントとお手伝いができたらいいなと思っています。』



++ Until now ++

幼少の時から絵を描くことが好きだった五月女さん。
子供番組に出てくる人形劇をモチーフにしたものを描いていたり
少女漫画を描かれていたそう。

大学は美術の専門の学校ではなかったそうですが
イラストが得意だった五月女さんは
就職活動の代わりに毎日、絵を描き
そうして描き溜めたものを送って、仕事をもらったりという
イラストレーターとしての生活が始まりました。

BSフジの番組『宝島の地図』のコーナー
『新しい単位』 のイラストを手がけ、
それが書籍となり３０万部を超えるベストセラーに。
五月女さんの活動のターニングポイントとなった作品とのこと。

小さい頃にはエレクトーンもされていたそうで
そして元々ご両親が合唱団に在籍されていた影響もあり
クラシックが好きだった五月女さん。
一時は離れていた時期もあったそうですが
お子さんがピアノを始めたことで、またクラシックを聴くように。
そんな五月女さんはこの春から、新連載「ゆるクラ」をスタート。

『クラシックってお堅いイメージなんですけど
もっと面白エピソードが色々あるんですよね。
ドビュッシーは女好きとか、ショパンは意外と手が小さいとか・・・
そういったところを掘り下げていく連載で。』

++ Right now ++

プライベートでは今、反抗期を迎えているお子さんと
カップルのように仲良くされているそうで・・・

『イチャイチャする時はするんだけど
喧嘩する時はするっていうただのカップルみたいですね。(笑)
「宇宙一好きとか言ってたよね」と思うんですけど
反抗する時は「大嫌い！」とか言ってて。
けど必死に言っているのを見ていると
だんだんと可愛く見えてきて、「可愛いね」っていうと
ちょっと照れた顔になって、OKってなる時ありますね。』

お仕事の時は、呼吸を忘れるくらい
のめり込んで作業をされていると話す五月女さん。
なのでお風呂やお布団、風が吹いた時に深呼吸をして
気持ちを切り替えたり、リラックスされるそう。



++ From now on ++

一年おきに行っている五月女さんの個展が
今年も秋に開催を予定されているとのこと。

今後、五月女さんがチャレンジしたいことは
人以外の絵を描くことが苦手なので練習。
あとは物語も好きなので、
絵本や映画などにも携わりたいとお話ししてくださいました。

そして作品を海外の方にも見てもらいたいとのこと。

『日本が舞台になってはいるんですが
ちょっと広げて挑戦してみたいなと思うし
絵ってあまり具体的に役に立てることはないかもしれないのですが
役に立てるようなことをできるように知恵を巡らせて考えたいです。
言語がないからこそ伝わることも
たくさんあるんじゃないかなと思うので。』