++ Introduction ++

昨年、お金とは何かということをゼロから考え直す
「お金のむこうに人がいる」という本を出版された
元ゴールドマン・サックスのトレーダーで、作家の田内学さん。

小さい頃に見た、ご実家のお蕎麦屋さんでの
お客さんとのお金のやり取りから始まり、
そして大人になってからの金融の世界へ入ってからも
「お金とは何か」という疑問がずっとあったそう。
そんな長年思い続けてきた疑問を改めて考えた時に
「誰かに働いてもらうためのチケット」
という捉え方になったそう。

『お金だけあっても生きていけなくて、
そこには働いている人がいて、
「お金」という一種のコミュニケーションツールみたいなので
人と人との支え合いっていうのを
実現しているという感じの話を書きました。』

目の前のお金という存在だけに注目するのではなく
“お金の向こう側”の
人と人との結びつきや、支え合いを感じることで
自分が働いた時の達成感、
そして働いてくれている人への気遣いができるようになるのでは
とお話しされている田内さん。

『例えば、送料も働いてくれている人たちへ向けたお金で。
だけど不在していたりとかで再配達をお願いする時、
「再配達ってどうせタダだし、いいか。」って思いがちなんだけど
実はそれで労働は増えていて
みんながそれに気がついて、思いやれると
自分も逆に無駄な仕事をさせられることもなくなるかなって。』

今回の本を書かれたきっかけは
田内さんのお子さんへ向けたお金の教育をされる際に
書店では「お金の増やし方」や「節約術」といった本は並ぶ中
労働によって、人々が支え合っているといった本がなかったため
ご自身で書かれることにしたそうです。



++ Until now ++

これまでの歩みを振り返ってみて田内さんは
小学校4年生の時に
ご実家のお蕎麦屋さんが畳まれたことが
人生のターニングポイントになったなと感じているそう。
その時に、お父様から言われた
「人生逆転するなら東大に行った方がいい」という言葉で
当時、茨城に住まれていた田内さんは、
東大を目指すために神戸の進学校に行くか選択を任されたそう。

『それからやっぱり人生って
自分で決めて動かしていくもんだな
って小学校4年生ながらに思って・・・』

その後、東京大学へ進まれ、
就職はそれまで教育資金など支えてくれたご家族のことも
考えないとということで、
収入の見込めるゴールドマン・サックスのトレーダーに。

ですが2019年に退社。
その理由とは・・・

『お金を扱うのってストレスがあって
ちょっと失敗すると数億円損してしまう世界で
そこで頑張って儲けたところで
社会に意味があるのかなと思い始め、
違う仕事してもいいかなと思って。
それで自分の子供に
お金の教育をする本がなかったという話に繋がるんですけど、
今までゴールドマンで感じてきたお金とか経済とか
そういったものを形にして社会に広めていったら
いいのかなって思いまして。』

++ Right now ++

田内さんが今ハマっていることはInstagramのライブ配信。

きっかけは本を出版されたタイミングで
インスタライブ内で本の内容や、
経済のことをわかりやすく説明をされていたそうです。

そういった形で、配信を続け
どんどんと配信を見てくれる人が増えているとのこと。
最近では経済やお金の話はもちろんのこと
アイスクリームを食べたりするプライベートの様子も。

金融の最前線にいた田内さんがオススメする
経済/金融を扱った映画は
「マネー・ショート 華麗なる大逆転」

リーマンショックの原因となった
サブプライムローンを題材にした物語。

『初めはそのサブプライムローンっていうのを
信じているんですね。
でも1人だけこれやばいんじゃない？って気付くんです。
その人の話をちゃんと聞けばみんな気づくはずなんだけど
みんながやっているから大丈夫だって思っちゃうんですね。
面白なと思ったのがどんな世界でもそうですけど
みんなが正しいと思う事がつい正しいと思いがちで
だけど真実に気づいた人がいて
それがどんどんと広がっていくっていうのが
すごく面白なと思いました。』



++ From now on ++

今回の「お金のむこうに人がいる」の内容を
多くの人に知って欲しい、
そこでまずは子供たちのための
お金の教育から始めていきたいとのこと。

『今年の4月から高校教育で
金融の教育が始まるらしいんですけど
そこでのお金の教育って
結局、家計のやりくりとか、
投資とかでどうやってお金を増やしていくか
っていう話だけなので
それを実際に人と人とがどうやって繋がっていって
自分のお金の使い方とか、投資の仕方によって
将来の社会っていうのがどういう風に変わっていくとか
自分や社会の幸せっていうのが
どういう風に変わっていくのかというところまで
学べればいいかなと思っています。』

投資などでお金の増やす事が
どうしてもメインとなりがちですが
重要なのは「未来の社会をどのように作っていくか」
っていうところ。
未来の世界でどういうものがあったら
自分たちの生活が豊かになるのかを考え、
そんな未来に到達するために
どういった会社が必要になってくるか、
応援という形で投資する事が必要だとお話ししてくださいました。

田内さんの今回の著書は子供だけではなく、
社会の本質的な事が中心となって書かれていますので
ぜひ大人の方も、
お金の向こう側を考える良いきっかけになるかもしれません。