++ Introduction ++

心理占星術研究家・翻訳家の鏡リュウジさん。
これまでの占星術は「これからどんな物事が起こるのか」
ということを考えますが
「心理占星術」では相手の抱える問題から
どんな人なのか、星の言葉と照らし合わせて考え
より深く問題を向き合うことができるというもの。

1970年〜90年までは
イギリスの方でそういった流れが強かったそうで
ですが日本では見られなかったため
鏡さんは「心理占星術」を日本で紹介するべく
研究し始めたとのこと。

『心理学って元々「psychology」っていうじゃないですか。
これはサイキの学問なんですね。
サイキってプシュケーというギリシャ語から来ているらしくって。
元々は魂という意味なんです。
昔のルネサンス時代の人たちにとってプシュケーは
自分の体の中の脳にある小さなものじゃなくて
世界全体、宇宙全体が生きていると思っていたみたいで、
その僕たちを包んでくれている、生きている宇宙と
自分の魂の交換関係を考えるっていうのが
占星術だったらしいんですね。』

占いは統計をとって導き出しているのではなく
その人に向けたものだと話す鏡さん。
例えば、海岸の石の平均値を導き出すことはできても
その平均の大きさとぴったり合う石はないということ。
つまり占いとは平均的な結果ではなく
その人個人に向けた結果を導き出しているとのこと。

鏡さんは、翻訳家としても活躍され
特に占星術関連の本の翻訳をされています。
訳す時もただ言葉を日本語にするだけではなく
占いの意味を崩さず、そして日本人の感覚に近い言葉で
翻訳されているそうです。



++ Until now ++

11歳の頃にタロットカード付きの本に
出会ったことがきっかけに占いの世界へ。
鏡さんが子供の頃の1974年前後が
日本におけるオカルト元年だったそう。
ユリゲラーの来日から、映画オーメンの公開、
澁澤龍彦さんなどの幻想文学が普及したのも
その時期にあたるそう。
そのブームの中にタロットもかなり人気を集めていたとのこと。

その時出会ったタロットつきの本に
「タロットは占星術と深く関わりがあります。」
と書かれていたことから
子供ながらに占星術も勉強しないとと思い
当時、翻訳された西洋の占星術に関する本が少なかったため
イギリスやアメリカから本を取り寄せるようになり
今の翻訳のお仕事につながっているとのこと。

タロットが生まれたのはルネサンス時代、
当時の貴族のお洒落な遊びで
占いというよりもギャンブルに近かったとか。
さらに当時は印刷技術も普及していないため
全て手書きだったので高級な贈答品になっていたそうです。
その時に使われたいろんな絵柄は
「正義」や「死」「愛」「時間」など抽象的な概念のものを
擬人化して描いていたそう。
その後、１８世期頃にはタロットは
古代エジプトで生まれたのでは？！といった説も出てきたりと
どんどんとオカルト化して行ったとのこと。

++ Right now ++

コロナ禍前には年に２〜３回は占星術関係の学会があり
イギリスに行かれていた鏡さん。

イギリスへ行ったら必ず足を運ぶのは大英博物館。
いろんな神様の銅像が展示されていたりするため
お参りしていたそう。
そして大英博物館に行かれた際にオススメの場所は
メイン展示の一つとなっている
１６世期のエリザベス女王のお抱えの
数学者で占星術師で魔術師だったジョンディー博士の展示。
ジョンディー博士はエリザベス女王の戴冠式の時間を
星占いで決められたそう。
そんな彼が晩年、天使を呼び出し
コミュニケーションをとった時に使っていたと言われる
水晶玉と魔法の道具が展示されているそうです。

そして大英博物館の正門を出て
目の前のミュージアムストリートを3分ほど歩くと
アトランティスブックショップという老舗魔法専門書店があり
店主は本物の魔女と名乗っているとのこと。
そしてそこからさらに10分ほど歩くと
アストロジーショップという占星術専門のお店もあったり、
近くにはフリーメーソンの本部があるそう。
ぜひイギリスへ足を運ばれる際は
占星術巡りをしてみては？



++ From now on ++

2021年の年末から木星が魚座に移動、
すでに海王星も魚座にいるので
今年前半は魚座が強いそう。
十二星座の最後に位置し海を象徴する魚座。
このコロナ禍でディスタンスをとるようにしていましたが
海という意味ではフィジカルではなく
人と人とのボーダーが消えていくような
年になっていくのではと鏡さん。

そして魚座はアートや芸術に縁がある星ということで
クリエイターの方々のコロナ禍で
なかなか表に出せる機会がなかった作品たちが
今年は花開き、
大豊作の年になると鏡さんは予想。

5〜6月ごろには木星が牡羊座に移動するため
この頃には何かの始まりの時期になると。

最後に鏡さんの今後の目標を伺いました。

『大先輩にあたる占星術をやってらっしゃった
ルネ・ヴァン・ダール・ワタナベさんから、亡くなる直前くらいに
ご著書をいただいて、そこにサインと言葉が添えてあって
「夢の続きを」って書いてあったんです。
それがお会いした最後になって。
ご存知だったんでしょうね、ご自分のお体のことを。
それで僕は弟子でもないんですけど
「夢の続きを」っていう言葉を託されたなという風に思って
だからいろんな人の夢の続きを
やらせていただいたらいいなと思っています。』