++ Introduction ++

これまで1年の半分ほどを旅先で過ごされていた
トラベルジャーナリストの寺田直子さん。
そんな中、昨年から伊豆大島に拠点を移住されました。
来年で60歳を迎えるにあたり、
今後の人生についてここ数年ずっと考えていたところに
伊豆大島の古民家と出会い、
ご縁から譲っていただくことに。
伊豆大島自体、
馴染み深く、よく遊びに訪れていた場所だったと。

『ものを書くってことはどこででもできることなので
ここで何かできないかなというのがきっかけで
理由とかも自分自身もわからないんですけども
本当に相性があったというか・・・』

そして伊豆大島にピンと来るものがあったという寺田さん、
そこから住民票を移し、古民家も住めるよう改装しました。
今年2月には１階部分でカフェをオープン。
その古民家のある「波浮港」という場所の名称と
デンマーク語で海と意味を示す「Hav」をかけて
「Hav Café」と名付けられました。
現在は執筆活動を続けながら、カフェを営んでいます。

寺田さんの伊豆大島オススメスポットは
現在、拠点を置かれている「波浮港」。
かつては風が強い日や、海が荒れている時などは
波浮港に漁船を止めて、街へ銭湯や飲食、そして娯楽など
大変、賑わっていた場所だったとか。
今では人口も減ってしまいましたが
そういった昭和のレトロな雰囲気が残っているそうです。

また伊豆大島は活火山である三原山を中心に
トレッキングやサイクリングなどで自然に触れ合える
ジオパークになっているそう。
『今までは私が興味がある場所や物や人に会いに
自分から取材や視察に行っていましたが
カフェという拠点ができたことによって
いろんな人が来てくれるのがすごく面白くて。
職業が全然違う人もいらっしゃれば、
観光で訪れる人もいらっしゃるし、
そういったいろんな人との出会いのケミストリーが面白くて。』



++ Until now ++

幼い頃は読書が好きでどちらかというとインドアだった寺田さん。
読書が好きだったこともあり、ずっとライターや書店員など
活字に関わるお仕事につきたいと考えていたそう。

社会人になってからは
旅行会社勤務を経て
ガイドブックを手掛けている編集プロダクションに就職。
そこから旅と活字好きが結びついたそう。

長きに渡ってトラベルジャーナリストとして活躍されてきた寺田さん。
時代と共に旅行のトレンドの変化も見てきました。
編集プロダクションに入った当時はツアー旅行が主流でしたが
だんだんと一人一人が
自分の旅のスタイルを見つけるようになってきたそう。
それに合わせて格安航空や直行便の普及し
個人旅行が成熟いったとのこと。

今回、寺田さんにオススメ “鉄道旅”について伺いました。

＊チワワ太平洋鉄道(メキシコ)
『途中のディビサデロ駅のすぐ横のホテルに泊まっていたんですけど
次の朝、そこから見た朝日の中の
グランドキャニオンのような風景を見た時には
鳥肌立つくらいに感動しました。
メキシコっていうとビーチか遺跡か、
メキシコシティみたいな大都市となるけれども
本当に壮大な場所があるということを知るだけでも
メキシコの奥深さがある。』

＊テキーラ鉄道
『私も乗っていないんですけど、乗っている間に
乗客にテキーラがドボドボと注がれていく。
なのでこれはいつか行かないと思っていて。』

＊TOHOKU EMOTION(八戸〜久慈)
『今でこそ観光列車ってすごく増えていると思うんですけど
TOHOKU EMOTIONは2013年の開業で
震災後の復興のシンボルでもあったと思うんですけども
途中で周辺の方々が大漁旗とか降ってお見送りをやってくれるというの
ジーンと来るというか・・・』

++ Right now ++

現在、伊豆大島で暮らしていらっしゃる寺田さん。
伊豆大島ライフの中で、一番リラックス出来る瞬間は
波浮港の風景を見ること。
ご自宅から徒歩２０歩で港なので
毎朝のルーティーンになっているそう。

『曇りの日もあれば、快晴の日も、風が強い日もあるし
その五感で楽しむというか、
今日も一日頑張るぞ！みたいな感じになります。』

お仕事でもプライベートでも旅をする際には
その土地を歩くということを大切にされているそう。

『自分でいろんなものを見つけていきたいんですよね。
歩いて行った先に何があるのかとか
ここ曲がるとどうなるのかというのは
旅人の勘所でもあるじゃないですか。
そういう五感を駆使してガイドブックに乗っていないような
場所だったり、人だったりを見つけていきたいなと思って歩いたり・・・』



++ From now on ++

旅は平和産業だと語る寺田さん。
コロナ禍になり旅が難しい世の中になってしまいましたが
そもそも安心で安全だからこそ旅をするわけであり
旅をすることによって平和だということを再確認する。
これからの旅に必要なのは
ただ楽しいだけの旅ではなく、そこから何かを学んだり、
その土地に貢献するような意識をしながら旅をしてほしいと
お話ししてくださいました。

偉人などのお墓を巡礼する「墓マイラー」の寺田さん、
寺田さんが今後行ってみたいところは南極
探検家のアーネスト・シャクルトンのお墓が南極にあり
今後、見に行きたいと考えているとか。

これからの寺田さんご自身の目標や展望について
最後に伺いました。

『今、伊豆大島を拠点に活動をしていますけど
本当に私の中ではシームレスに旅が続いている感じなんですね。
30年以上旅をしていますけど
今しみじみ思うのは世界中の誰もが旅を楽しめる環境を作ってあげたいし
そういう世界になってもらいたいなと思いますね。』