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STORY

2021.11.06

作曲家の岩崎太整さん

++ Introduction ++

今年大きな話題となった細田守監督作品『竜とそばかすの姫』では、
音楽監督として携わっていらっしゃった
作曲家の岩崎太整さん。

複数人で作曲するということをコンセプトに
シーンに合わせて作曲者のプランニングや
ご自身でも作曲をされたりしていたとのこと。
映画音楽を複数人で手がけることはあまりないことなんだとか。

『無いことはないですが、
大体セパレートしてしまうと言いますか
みんなが曲提供ということはあるのですが
そういうのはあまり興味なくて
この人のフレーズをこの人が使ったり・・・っていうことを
みんなで相談しながら友達を集めてやったという感じですかね(笑)』

コンテを見ながら、細田監督と入念に話し合い
それぞれ作曲者にあった担当を指示されていたそう。

今回の作品でこだわったポイントは「音質」。
従来の映画音楽で行われてきた分業とはまた違う、
それぞれが手掛けている担当のシーンを
作曲者同士でシェアしていってクオリティを上げる
ということをされていたそう。
だからこそなし得た今回の「音質」。

『音っていうのは一つの弁当箱みたいなのに入っていて
僕は定量だと思っているんですね。
だから誰が今主役なのか、それは音楽じゃないし
セリフだったり、演出的な無音だったり、
っていうのをちゃんとみんなでシェアするっていうことを
みんなでやりたいなと思っていて
そういう意味では音楽だけを目立たせたいわけではなくて
映画全体の音質として
海を渡っても大丈夫なものを作りたいなと思っていたので。』

通常の音源制作とはまた違った
登場人物や、そのシーンの後押しとなるような音を作るのが
劇伴作りには大切なこと。
そこが面白さの一つでもあるとお話してくださいました。



++ Until now ++

学生時代は日本大学芸術学部映画学科に進学し
脚本をメインに学ばれていた岩崎さん。
小さい頃からジャズなどの音楽が好きではありましたが
好きなものとの良い距離感を保ちたいという気持ちから
最初は音楽の道には進まなかったそう。

それでも音楽の道に行かれたのは、
ブラックミュージックが好きだったこともあり
「ジャズを始めてみようかな」と思って始めたのがスタート。
当時はジャズギターを担当されていた岩崎さん、
パソコンも扱えたため、
楽曲制作の方も始めてみたのがきっかけとなり
作曲の道へ進まれたそう。

これまで数多くの作品に携わってきた岩崎さんが思う
映画音楽の制作の楽しさとは・・・

『本当に自由な瞬間があるということと、
とんでもなく力を生む時があるというか、
音楽だけでは到底辿りつかないような場所に
音楽と映像と物語がセットになって行き着く場合がある。
物語がお膳立てしてくれる時があるので
「ここで、こういう音楽がかかったら良い」とか
やはり音楽だけではなかなか行かないところに行ったりするのが
楽しいところですかね。』

++ Right now ++

テレビや映画などの音楽を手がける
作曲家 ヨハン・ヨハンソンのコンサートを観に行った岩崎さん。
その時に感じたのは、彼の音楽は録音芸術だったということ。

『この人の音楽は録音・映像とセットなんだ。
オーケストラがその譜面を演奏しただけでは
あんなマジカルなことにはならないんだというのは
一つ衝撃的でした。』

楽曲制作も機材の技術も進み
音質・音色の再現性が高くなってきており
さらには実際の生音よりも
訴求力を持っている音もあるそう。

『例えばヒップホップのキックとか。
バスドラムを踏んでも、あの色気のあるキックの音にはならないので。
でも色々いじるからあの音になって、
逆にキックだけでも聴いていられるみたいなのは
やっぱりヘッドフォンミュージックが主流になってきて
一番面白いところというか。』

音楽と関係なく、今ハマっていることは
デジタルトレーディングカード。
元々、アメリカのプロバスケットボールリーグ
「NBA」が好きだった岩崎さん、
ウェブ上でしか見ることができない、NBAの限定の動画が
ブロックチェーンによりトレーディングカード化されており
今、それを集めることにハマっているとか。
このNBAのデジタルトレーディングカードの魅力とは・・・

『スポーツの瞬間って価値があるなと思って、
逆に価値は下がらないんじゃないかなと。
例えば仮想通貨に価値があるなんて
すごくわかりづらいのですが
ただそこにスポーツの瞬間っていうものが入ったら、
そこには価値があるし、その価値は減らないと思って
そしてその瞬間のモーメントを持っているとなったら
とても面白いことなんじゃないかなと思って
所有することにハマっています。』



++ From now on ++

今後、静止物に音楽をつけるということをしたいと語る岩崎さん。
絵画や彫刻、物などの静止しているものに
時間芸術の音楽を使って時間の感覚を与えることはできるのかと
挑戦をされたそうですが、しっくりくるものができなかったとか。

歌を作る上で、言語のそのもののリズムと、
音楽が密接な関係になるのが重要になってくるそう。
そのため、これからはそういった言語の持つリズムを
深く研究して、楽曲制作に役立てていきたいとのこと。

これまで何度か世界を回り
それぞれの国でいろんな音楽を録っていて、
このコロナ禍でできていなかったので
また海外へ自由に行ける日が来たら再開させたいと。

『言語や文化、働き方が違って
そういう面白さがあったり、
録音だけじゃなく一緒に演奏したりとかも含めて
引き続きやりたいんですけどね。』

ON AIR LIST

  • KING JAMES / ANDERSON.PAAK
  • はなればなれの君へ PART1 / 中村佳穂
  • 非情のライセンス / 野際陽子
  • LOVING IS EASY / REX ORANGE COUNTY FEAT.BENNY SINGS

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