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STORY

2021.10.23

靴磨き職人の長谷川裕也さん

++ Introduction ++

※コロナウイルスの感染拡大予防のためリモート出演頂きました。

2008年に南青山の靴磨き専門店 「Brift H」をオープンされた
靴磨き職人の長谷川裕也さん。
こちらのお店ではバーのようなカウンタースタイルの店内で
お客さんの目の前で職人さんたちが靴を磨きます。
よく見られるアメリカスタイルの靴磨きとは異なり
お客さんには靴を脱いでスリッパに履き替えていただき
靴の中から、外までお手入れをしていくというもの。

『僕ら、靴磨き職人の腕の見せ所は表面磨きという
靴をエナメルのようにピカピカに光らせる技術があるんですが
それがどれだけ早くうまくできるかというのが
職人の上手い下手だったりするんです。』

ピカピカにしてもらいたいという方もいれば
ツヤが抑えめのじんわりした光り具合にして欲しいという方も。
他にも靴の色を濃いめにするなど、
お客さんからの細かいオーダーにも対応しているとのこと。

昨年は、虎ノ門に「THE SHOESHINE & BAR」というお店もオープン!
BARという名前が付いているようにお酒が楽しみながら
靴磨きをしていただけるといった場所になっているそう。

靴磨き職人・長谷川さんが思う靴磨きの魅力とは・・・

『靴がピカピカに生まれ変わるんですよね。
イメージとしては新しくお気に入りの服を買って下ろすという気持ちに
毎回なれるんですよね。
靴がピカピカになると歩き方がシャッキっとして
元気になって帰っていくんですけど。
いちばん影響があるのは気分が良くなるというところがあると思います。
あとはそれをきっかけにファッションにのめり込む人もいますし
所作が美しくなったりとか、歩き方も気をつけるようになるので
小さなことなんですが、
人生の角度が変わるきっかけになることはあると思いますね。』



++ Until now ++

日雇いのアルバイトで生計を立てていた20歳の頃の長谷川さん、
ある時、2〜3日お仕事がなく、生活がギリギリに。
そこで始めたのが靴磨きだったとのこと。

東京駅で100円ショップで買い揃えた道具を使い
靴磨きをスタート、初日は12時間営業し、7000円ほど売り上げたとか。
それまでしていた日雇いのアルバイトと同じ金額を稼ぐことができたため
そこから路上で靴磨きの方へシフトしていったそう。

24歳の頃に現在のお店「Brift H」を南青山に開きます。
路上で行っていた時は1足500円で10分ほどかけて磨いていましたが
靴磨き職人という職業が見下されないよう、
そして南青山という場所に負けないよう、日本一高い金額で靴磨きをしようと思い
オープン当初は金額を1500円に。

『わざわざ靴を磨いてもらいにいくという文化を作りたかったので。
大体靴磨きって何かのついでなんですよね。
ついでだと価値が上がらないし、靴磨き職人の地位も上がらないなと思って
駅から遠いところへわざわざ靴を磨きにいくというものにしたいなと思って
それで値段を高くして、靴磨きも路上ではできないような
フルサービスにしようと思って、
今の時間を1時間弱をもらって靴をフルに磨くっていうのにしたんですけど。』

今では1足1万円という金額で靴磨きを行っていますが
そこにはお金儲けではなく、
世の中の靴磨き職人という
職の価値を上げたいという想いが込められているそう。

++ Right now ++

釣りやサーフィンが趣味だった長谷川さん、
最近では茶道にハマっているとのこと。

茶会には4年前から通い始め
今年にはお茶のお稽古を始めたそうですが
1つ1つの作法に込められたメッセージ、
そして掛け軸や花、茶器などから
亭主が言わずとも、
茶会のテーマをお客さん側が察するという
日本人らしい文化である
お茶の世界に刺激を受けることが多いとか。

『お手前でお茶碗を濯いでフキンで拭くとか
一個一個丁寧に扱って
お客様の目の前でやるっていうのが
靴磨きにもすごく通ずるなと思うので。』

2017年に靴磨き世界大会で優勝された時も
お茶の美しい所作のように
靴磨きを美しくするということを心がけたとか。



++ From now on ++

靴磨きを芸術の世界に運んでいきたいと考えている長谷川さん。
これからの靴磨きの未来に向け、40歳で靴磨き職人は引退し、
その後は靴磨き家として日本流の靴磨きの文化を海外に向け
披露していくような活動にシフトしていきたいそう。

『20歳で始めた靴磨き、
人生の半分を靴磨き職人としてやってきたので
次の20年は靴磨き家として違う形で
靴磨きを広めていくことをやりたいなということで
今、職人を教育したりだとか、いろいろ挑戦しています。』

昔は家事のような感覚で日常生活の中で
普通に行われていた靴磨きが、
最近ではお店にいらっしゃるお客さんとお話ししていると
「靴磨き始めたんですけど・・・」「なかなかうまく磨けない」など
靴磨きが趣味になり得るんだなと
新たな発見につながったと話す長谷川さん。

『ものを大切にするとか
靴を磨いて黙々とやっていると
すごく集中して無心になれるんですよね。
そういう時間を生活の中で作るとか
これからの時代にも違う形で
いろいろ靴磨きが花開くのではないかなと思うので
そのために頑張るという感じですかね。』

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  • WALK ON THE LEFT / LOU REED
  • GOLDEN SLUMBERS / BEATLES
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