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STORY

2021.09.18

義足エンジニアの遠藤謙さん

++ Introduction ++

※コロナウイルスの感染拡大予防のためリモート出演頂きました。

今年行われた東京2020パラリンピックにも
義足エンジニアとして携わった遠藤謙さん、
今回、2人の選手が遠藤さんのチームが開発した
競技用義足を使い出場。

選手の走り方から分析、
選手にも実際にどう走りたいのかヒアリングし
それぞれの選手の体にあった義足を作られているそう。

『スタートダッシュが得意なので
スタートの20〜30メートルに力が発揮できる形状とか
オランダの女性の選手は
トップスピードに乗った時に跳ねたいという気持ちが
スタートより大きいので
そこに合わせて作ったりとかしました。』

現在、四肢欠損の乙武洋匡さんの
義足で歩くプロジェクトにも携わり
足のロボット義足を開発されているとのこと。

『別に義足がすごいよっていうだけのプロジェクトじゃなくて
歩きたいときに歩ける
オプションがあればいいなと思っているんですね。
日常的に車椅子を使っていらっしゃるので
置き換わることはなかなかないと思うんですが、
シーンによって義足というオプションが
彼の生活の中にできたらなと思います。』



++ Until now ++

学生の頃は二足歩行ロボットを作りたいと思い
研究室に入られた遠藤さん。

そんな学生時代、所属していたバスケ部の後輩が
骨肉腫という病気に見舞われ
足の切断を余儀なくされました。
そのときに、ロボットの技術を使って
後輩に足のようなものを作ってあげたいと考えたことから
義足につながったと。

その後、マサチューセッツ工科大学に留学。
そこでヒュー・ハー教授に出会います。
彼は両足義足だったそうですが
遠藤さんはそれを見ても障害者だと思えなかったとのこと。

『かっこいいし、テクノロジーを使って
自分の足を作り替えていくということに
ワクワクしかしていなくて。
僕の足を見て
「その足は衰えていくだけ、僕はアップデートしていく」と。
逆転の発想というか、
これまでにない価値観を見せつけられて・・・』

また、その当時、パリンピックで
オスカー・ピストリウス選手の走りを見て
人間の固定概念を覆す領域なんだと思ったのが
きっかけで義足の道へ進まれました。

今、経済的に豊かな国でしか
障害者スポーツはできていない状況にありますが
課題となるのは「人間の思考」だと話す遠藤さん。

『足がないことによって差別を受ける国ってまだまだありますし。
でもちゃんとテクノロジーがあれば
障害者でも社会にちゃんと貢献できる人って
いっぱいいて
それはまだ技術が追いついていないから
差別を受けてしまっている
っていうことになっていると思うので、
まだまだやらないといけないことは
たくさんあると思います。』

遠藤さんが2017年から取り組んでいらっしゃる
「ギソクの図書館」
まだまだ走る用の義足はコスト面の課題があり
義足の子供たちが走る敷居が高い。
この「ギソクの図書館」は
そんな走る用の義足をレンタルし、
走ることができる場所。

『日本はパラリンピックがあったということの
レガシーってこういうものを広げていくことだと思うんですね。
だからパリンピックやってよかったなと思えるように
こういう場所が広がったよ
って言えるようになったらいいなと思います。』

++ Right now ++

昔から1人で行かれるほど
動物園が好きだと話す遠藤さん。

ここ数年、好きな動物はハシビロコウ、
その存在感に惹かれたとのこと。

他にもコビトカバやナマケモノなど
動物を見るのですが、
見方も遠藤さんならではの視点で
動物の動きに着目しているとのこと。

『あんな骨格しているけど脊椎は何個あるんだろうとか
腓腹筋はどこからどこまでついているんだろう
とかいう見方をしています。
バイオメカニズムという観点から言えば
知識の幅は広がりましたし、
やっぱり人間が当たり前だと思っちゃうんですよね。
哺乳類も似ていると言われながらも
ちょっとずつ違うので
それは環境に適した結果
そうなったというある程度、合理的な理由があるので』



++ From now on ++

義足やLGBQTなどが社会的に認められ
これまで当たり前だった価値観が
どんどんと崩れる世の中に変化していくと考える遠藤さん。

そのためこれから必要になってくるのは
変化に対して柔軟であること。

『LGBTQとかを母親に話すと
やはり違和感が先行してしまうんですよ。
けどそれは悪いわけではなくてしょうがない。
そういう時代の中で生きてきた価値観なので。
だからこっちはそれをどうやって
自分なりに受け入れていくかっていうのができていかないと
社会の中で生きづらくなってくるんじゃないかなと思います。』

遠藤さんのものづくりをする上で大切にしていることも
当たり前を崩すこと。
将来的にはパラリンピアンだけど
オリンピックチャンピオンに勝てたり、
今まで歩けないと思っていた乙武さんが
普通に街中を歩けたりと
今までの価値観を崩し、だんだんとそれが
新しい当たり前になってくるようなことをしていきたいと。

これから試してみたいことは
競走馬の怪我も
現在のような安楽死という選択から
別の選択ができるような方法にもつながると思うので
人間だけに止まらず、
哺乳類全般的に研究を進めていきたいとのことです。

ON AIR LIST

  • HIGHER POWER / COLDPLAY
  • RISING PHOENIX / DANIEL PEMBERTON FEAT.TONI HICKMAN, GEORGETRAGIC&KEITH JONES
  • BAD FEELING / BOOWY
  • A PLACE IN THE SUN / STEVIE WONDER

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