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STORY

2019.06.08

シンガーソングライターの宮沢和史さん

++ Introduction ++

THE BOOMのボーカリストとして25年にわたって活動し、
「島唄」や「風になりたい」など数々のヒット曲を生み出してきた
シンガーソングライターの宮沢和史さんは2014年にバンドを解散、
2016年にはシンガーとしての活動休止を宣言したことについて・・・

『ヘルニアで首を悪くして10数年間にわたって騙し騙しバンドをやっていましたが
2013年の時に治らないと分かって、THE BOOMを解散しようと思いました。
その後しばらくはソロで活動しましたが
歌手としては無理かなぁという感じがあって一度は引退したんですよ。
そんな自分の体と付き合っていこうと決めて体力作りとか姿勢を良くするという
一から自分を見直すみたいなことを始めていましたね、2016年から』。

中学の頃から曲作りを始めて学園祭に出演し、
大学在学中にTHE BOOMを立ち上げ
歩行者天国などで演奏して卒業と同時にデビューした宮沢さんにとっては
社会=ステージであり小走りに走っているような人生だったので
3年間くらいピタっと止まるのは初めてのことだったとか。

『同じものを見ても“あ!こんなに見てなかったのか”ということが多くて、
すごく新鮮な3年間でしたね。一度歌を辞めてマイクを置いた時は歌うどころか
聴くのも嫌で離れると音楽って聞こえてこないものだと感じたのも意外でした。
でも、離れてみて音楽は
何にも形が無いし重さも無いし3〜4分で終わってしまうけど
聴く者に物凄い想像力を与えてくれて、自分の感情が呼び覚まされて涙が溢れたり
笑顔になったりして、存在しないのに何でこんなに力があるんだろうということも
薄々は分かっていましたけど離れてみて改めて偉大さに気が付いた気がしますね』。

全編オリジナルによるニューアルバム「留まらざること 川の如く」の制作から
完成に至るまでの経緯について宮沢さんは・・・

『去年、もう一回人前に立ってみようと思い立ち、
そのためには新曲があったほうが
いいなと思って原点に帰る意味で出身地でもある山梨県の山の中に小屋を借りて
ギターだけ持って行って2週間くらい籠もりました。
今まではTHE BOOMでもソロにしても音楽的なコンセプトを伝えたいというか、
例えばブラジル音楽とロックの融合であったり、
どうすれば沖縄の音楽をポップスに
変えられるかといったサウンド面での勝負みたいなことが僕の音楽人生でしたが、
ギターとドラムとベースだけのシンプルな編成でミドルテンポでも言いたいことが
伝えられて自分自身の身の丈を表現できるということに気付いた2週間でした。
それは貴重な体験だったし、
アルバムに上手くパッケージできたかなと思っています』。


++ Until now ++

山梨県甲府市で子供時代を過ごした宮沢さんは地元について・・・

『すり鉢の底のようだと表現した人がいましたけど盆地なので隠し事ができないし
人の噂がすぐ耳に入ってきてちょっと窮屈だけど裏を返せば誰もがお互いのことを
知っているので困った人がいたりすると誰かが手を差し伸べてくれるというか。
イメージは真逆かもしれませんが
沖縄も海に囲まれていて閉鎖的な部分もありますが
沖縄の人と交流するようになって
似ているところが多いと感じるようになりました』。

坂本龍一さん、細野晴臣さん、久保田麻琴さんなど尊敬する先輩たちが
70〜80年代に沖縄にアプローチした曲を聴いていたという布石があったので
特別なものとしてではなくスムーズに沖縄音楽に入っていけたという宮沢さん。
三線の音色や独特のメロディー、そして意味は分からないけどとても美しい言葉に
魅了されて沖縄民謡が好きになったということで、それは恋と一緒だったとか。

『民謡が生まれた島を見たかったんです。どういう人たちがどのような思いで
こんなに美しい音楽を作れるんだろうというのを肌感覚で見たくて行ってみたら
想像以上に戦争の爪痕が残っていることを知りました。
当時、戦後40数年経った頃で大分昔の話だと思い込んでいたけどそうではなくて、
考えてみればたった40数年前だなと。それから沖縄の戦跡を回るようになって
沖縄戦というものを自分が如何に知らなかったかということに気付かされて
恥ずかしさや怒りがこみ上げてきたので
曲を作ることで自分の高ぶった感情を抑えて
自分が無知だと知ったことを伝えて、僕みたいに沖縄戦のことを知らない人にも
知ってもらいたいという思いからできたのが「島唄」でしたね』。

++ Right now ++

子供の頃から川釣りが趣味だったという宮沢さんですが歌手活動を辞めて
時間的に余裕があった時期は意外に行く機会がなく、
ここ最近の趣味は寺社仏閣巡り。
体を元気にさせて体幹を鍛えたいという思いから始めたそうで、目的地が無いと
つまらないと思い都内各所の寺社仏閣を回っていたら意外と面白かったとか。

『例えば代々木八幡はこんな近くに異空間みたいな所があったのかと。
入った時のふわっとした空気・・・あの感じがいつもザワザワっとして、
神聖な感じだし自分がここに存在しているということに
フッと郷愁を感じるというか、
そういう瞬間という感じがしますね』。

以前、番組ゲストとしてご出演頂いた、
モデル、俳優として活躍している氷魚さんの父親として宮沢さんは・・・

『後悔が大きいですね。彼は野球をやっていたので土日祝日は試合で外に出て、
僕も土日はコンサートなどの仕事ですれ違ってばかりで
父親らしくできなかったのは
後悔していますけど、
だからこそ音楽に対する姿勢というか向き合い方みたいなものを
見ていてくれていたらいいなと思いながら
コンサートに誘ったりはしていましたね』。



++ From now on ++

今後の歌手活動については“マイペース”という宮沢さん・・・

『歌いたいという気持ちが常にあって、
この歌を歌いたいんだという思いや意欲が
マックスになっている時にステージに立つのが一番いいと思うんですよね。
自分に一番合った歩幅、歩き方、ペースを今見つけつつあって、人からみたら多分
ゆっくりでのんびりだと思われるでしょうけど、それでいいかなと思っていますね。
“忙しい、忙しい”と言って逆に怠けて見えなくしているという自覚もあって
“忙しい”というのは言い訳だな〜
人生にとってというふうにちょっと思っています』。


現在、【時を泳げ魚の如く】のツアー中で7月5日(金)には
世田谷区民会館でコンサートがあります。
また、10月にはデビュー30周年を記念したコンサートが開催されます。
東京公演は10月18日(金)@ Bunkamuraオーチャードホールです。

ON AIR LIST

  • THE BARREL / ALDOUS HARDING
  • PAPER PLANE / 宮沢和史
  • 片思い / 大城美佐子
  • ACROSS THE UNIVERSE / FIONA APPLE

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