STORY
コラムニスト/美食評論家の中村孝則さん
++ Introduction ++
コラムニスト/美食評論家として活躍されている中村孝則さん。
レストランを評価する時にお皿の中の料理だけでなく、
食べる環境や文化的背景なども
含めて総合的に執筆していることから
評論家という肩書きを名乗っていらっしゃるそうです。
中村さんが日本のチェアマンを務める「世界のベストレストラン50」は
2002年にイギリスで始まった「食のアカデミー賞」と言われるアワードで、
世界中に1,000人位いる食の評論家が年に一回投票してベストレストランを決定し、
ランキングを発表するもので、中村さんは日本の評議委員長として票をまとめたり
審査員を決める仕事をされています。
近年の食産業の世界的な流れについて・・・
『美味しいレストランというとフランスとイタリアは特に王道だとは思いますが、
ここ10年くらい、それ以外の国、
例えばスペインの「エル・ブジ」というレストランに
象徴されるスペインの美食であったり、
北欧に「ノーマ」という美食レストランがあります。
あとは中南米ブームなのでペルーとかコロンビアといった
これまで美食は無いと思われていたエリアに美食レストランが次々とできていて、
それを求めて人々が旅をするというのが一つのムーブメントになっています』。
日本は食材、食文化の多様性で世界を凌駕しているので、
世界中の多くのシェフは日本に来て日本の食材や食文化を学んでいるし
そういう意味では世界中でお寿司ブームだったり
“食のジャポニズム”が世界中で巻き起こっているということです。
中村さんが海外で驚いた和食ベースの料理、日本の影響を受けた料理について・・・
『お刺身は真似されて出ていますし、懐石料理のフォーマットを取り入れている店が
多くなったような気がします。日本のお寿司屋さんでは“おまかせ”が多いですが
世界のトップ・レストランでも“おまかせ”がキーワードになっています。
おまかせ一本のコース料理を提供するファイン・ダイニングが海外でも増えました』。
++ Until now ++
葉山生まれで高校まで鎌倉で過ごした中村さんは美食の目覚めについて・・・
『あとになって振り返って思うのは、当時、高校生の頃まで鎌倉にはコンビニも
ファミレスもほとんど無くて、食は地元の港で揚った地の魚や野菜を食べていて、
それが味覚にとって良かったのかなと思います。
家族全員食べるのが好きだったので、近くにあった漁港に揚った地の魚を
母が買ってきて刺し身なのか、焼くのか煮るのかといったやり取りを家庭でして、
その時に食べることの楽しみを知ったというか』。
大学を卒業後、出版社で雑誌編集の仕事に就いた中村さんは
ファッション、ビューティー、旅、食など多岐にわたるジャンルを扱っていましたが、
食は専門領域ということで当初は近づきたくなかったとか。
徐々に食が料理だけではなくて旅も食の一部で、お酒も食に欠かせないものなので
周辺の取材をしていく中で徐々にレストランにシフトしていったということで
今は食を中心とした仕事が7〜8割を占めているということです。
『単に“美味しい”“不味い”というだけでは評論にならないと思っています。
それを超えたところに何をもって感動があるのか、何が味わいどころなのか、
何が新しいのかといったことをきちっと論じることはあまり多くないので
そこを突き詰めて評論的なことでアプローチしないといけないと思っています。
美食評論を本当にできるのかは今も模索中で、フランス料理だけでも何百年かの
歴史があるし日本料理も歴史が深いので、そういったいろいろなジャンルを縦横で
掘り下げなければいけないので一生をかけてできるかどうかという感じですね』。
++ Right now ++
幼い頃から40年間続けているのが剣道。今でも週3〜4回ペースで道場に通い
試合にも出場されており、仕事柄、外食する機会も多いそうですが
ハードな稽古で体調をコントロールしているそうです。
著書「名店レシピの巡礼修業」は、
名店といわれる料理店に行って厨房で
シェフと一緒にその店のスペシャリテを作るという
雑誌「料理通信」の企画をまとめた一冊。
これまでに100を超える店に足を運んだとか。
『時間がある時に家で再現して作っています。お薦めはバジルペーストで
普通にバジルとオリーブオイルとグラナパダーノ・チーズに、
僕はカシューナッツも入れてミキサーでペーストにしてご飯にかけて食べます。
今はバジルの代わりに沖縄にある長命草にしてペーストにして豚肉やパロマハムを
乗せたりして楽しんだり、常備菜としてたくさん作り置きしています』。
++ From now on ++
美食を求めて国内外を旅されている中村さんがお薦めする旅先の一つが
1,300年続く神仏習合の文化がある大分県の国東半島。
発祥当時から変わらない風景と文化が残っていて、海の幸や山の幸も美味しく
自然と文化が両方残っている素晴らしい場所だということです。
美食評論家としての今後の活動については・・・
『3月26日にマカオで「アジア・ベストレストラン50」というアワードが
開催されますが、これはアジア中のレストランが対象になっていて、
今僕が注目しているのはミャンマー、ラオス、フィリピンです。
実はすごく美味しくて、こういった国の料理とかシェフに注目していますね。
これからも皆さんが知らないお店や料理を発掘していきたいと思っています』。
ON AIR LIST
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