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STORY

2017.10.28

予防医学研究者の石川善樹さん

++ Introduction ++
石川さんが研究をされている予防医学とは、健康を研究する学問。
“健康とはなにか”をずっと研究しています。
医学が進み寿命も延びてきたけど、「病気を除くことは難しい」
というところに行きついた中で、健康で生きるとはどういうことか、
幅広く考えようという研究をしています。
精神的なアプローチで幸せとはなにか?、社会的な側面で人と人とのつながり、
あるいは国全体の格差が健康にどう影響するかなど、色々な角度から迫っています。

そんな中、『ウェルビーイング』は予防医学の最重要キーワードで、
その人が単に病気がないだけでなく、
自分なりに満足している状態にいられるかどうか、
を目指しているのが予防医学とのこと。

今の具体的な活動内容は、誰と誰が出会ったかというビッグデータを活用して、
次、誰と出会ったらいいかという<コンパス・出会いの羅針盤>ができないか、、、
という研究をしているのだそう。

なぜ、そのような研究をしているのかというと、予防医学の大発見として、
人と人との繋がりが健康に最も影響を与えることが分かったのだとか。
なので、常に新しい人と出会う<出会いの羅針盤>があったら良いだろうな…
という思いから研究をスタートしたのだそう。
また、最近は健康の最も基本の一つである食の研究もしているといいます。
世界各地のレシピデータを集めてきて、
例えば「和食ってなんだろう?フレンチってなんだろう?」となったときに、
研究にするためには数式で定義しなくてはならない。
で、数式にできた瞬間に次に何が起きるかというと、
コンピュータに「新しい和食を作ってくれ」ということが出来たりします。
それを最初にやったのが、シェフワトソンという新しいレシピを作る人工知能。
ただ、シェフワトソンはベースがアメリカの料理のため、
石川さんはそのグローバル版を研究しているそうです。


++ Until now ++
石川さんは、広島県の瀬戸内海に浮かぶ生口島という島の出身。
そこで父親がへき地医療をやっていました。
生まれたとき島では子どもが、ほぼ石川さんしかいなかったため、
島の人からはとても可愛がられたそう。
父親がへき地医療をやっていた兼ね合いで、転校が多かったため、
一人で寂しく過ごしたことが多かったとか。
父親も予防医学をやっていたので、自然と医学の道を選んでいたとのこと。
でも父親には小さい頃からずっと「医者になるな」と言われていたそう。
免許を持って生きるような人生はダメだ、と教えられ、免許に頼らずに生きていく・・・
ということだけは小さいころから洗脳されていたため、研究者の道を選んだといいます。

大学3年生の冬、1回ハーバード大学に行こう!と動いたときに
人生を変える出来事が。
ハーバード大学医学部の学長だったフェダマン先生。
伝説の先生と言われ仏のような笑顔を浮かべているような人だったそう。
フェダマン先生に10分間の面談時間をもらったそうですが、
石川さんが唯一聞いた質問が、「フェダマン先生はなんで医学をしているんですか?」。
それに対して、フェダマン先生は「peace」とだけ答えたんだとか。
その答えに衝撃を受けたことが印象的だったといいます。

++ Right now ++
オンとオフのバランスは大切だと思うそうですが、
研究者は一般的にオンとオフのバランスが「オフ」に偏りすぎているのだとか。
石川さんの1日の生活を考えると、散歩しているか喫茶店に入っているか、
友人と雑談をしながら数式を書いているか、、、
といったようにオフの時間が長いそう。
散歩しているときも仕事のことは考えない。考えるときは論文を書く時ぐらいで、
普段はよくボーっと世の中を見ていることが多いんだそうです。
よく散歩するのは明治神宮で、近場以外だと最近は京都にハマっているとのこと。
京都の人は時間の感覚がかなり違う。
時間軸がすごく長くて刺激的になる…とおっしゃっていました。

幼少期、転校が多かったので、人間関係をリセットしたくなることが多い・・・。
それを東京で繰り返してきたが、
拠点の一つとして京都や前橋など今まで関わりがなかったところに飛びこんで
ゼロから人間関係を作りたいと思っている。


++ From now on ++
シェフワトソンについて…
今、石川さんが作っている食の人工知能というのは2つ機能があり、
ひとつは、その人の味の好みを把握する。
ふたつめは、その好みに基づいて新しくておいしい料理を提案してくれる。
世界の料理を見るとひとつの料理に含まれる平均の食材数は
調味料を含んで10なんだそう。

その10の組み合わせを食の人工知能が考えることで、
シェフが考える料理より新たな組み合わせが出てくるのだとか。
料理というのはイノベーションが起きていない分野で、
実はほとんどの組み合わせが試されていないといいます。
そういった中で、石川さんたちが発見した面白い組み合わせは、
「コーヒーとビール」。
実際にコーヒーとビールってすごく合うのだそう!
あと牛肉とコーヒーも合う。牛肉のコーヒー炒めがとても美味しいのだそう。

究極のレシピはなにか考えたときに、世界のレシピを見ると大きく3つに分かれる。
日本のように旨味をベースにした地域。
インドのようにスパイスをベースにした地域。
西洋のようにフレーバーをベースにした地域。
この3つはトレードオフ構造になっていて、
3つのハーモニーをとった究極のレシピは世の中に存在していないのだそう。
そしてそれに今一番近いのが、ペルー料理だとか。

『究極のレシピっていうのをこの間作ったんですよ、僕。
ニースでシェフをしている松嶋啓介さんと一緒に人工知能の研究をしているんですね。
ペルー料理にヒントを得て、人工知能と合わせて作ったんですけど、
ちょっと食べたことがないぐらいめちゃくちゃ旨かったんですよ!
それは、魚料理だったんですけど、
それをハンバーグにしたらどうだろう?と考えたんですよ。
究極のハンバーグが出来たら面白いかもしれないですね。
ネーミングは「ファイナルハンバーグ」!これ以上、先はない!
本当にやりたいですね!やってみますわ!
ちょっとすぐ人工知能君に計算してもらいます!』


++ 石川善樹さん(予防医学研究者)++
1981年広島県生まれ。東京大学医学部健康学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がよりよく生きるとは何か」をテーマとして、企業や大学と、学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。
講演や雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。

石川善樹ウェブサイト

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